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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【五稜郭杯争奪戦予想】松浦の“ダービー王”を意識した走りに注目!/ヤマコウ展望

2021/05/18 (火) 12:00 6

元トップ選手で現在は解説者として活躍中のヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。選手心理から導き出した展開の読みは必見です。

 こんにちはヤマコウです。

 京王閣競輪場で行われた日本選手権競輪は松浦悠士の優勝で幕を閉じました。

「眞杉匠はなぜ引いてカマさなかったのか」と言う声を耳にします。私の見解ですが、「後ろの郡司に前を叩かせて先行するビジョン以外に考えてなかった」としか言いようがありません。

 眞杉はセオリー通り走った。ただ、レースはナマモノなので予想外の展開はいつでも起こります。その中で突差に判断できなかったのは経験不足からくる迷いでしょう。

 残り2周、明らかに眞杉は何回も後ろを見て「どうしよう…」と迷っていました。

 平原康多はnetkeirinのコラムで「郡司があのレースをすることは想定できた」と書いてますが、「どうして事前に眞杉に伝えなかったのか」と言う疑念は残ります。結果、平原は今回もダービー王にはなれませんでした。

 逆にチャンスをモノにしたのは松浦悠士でした。

 今回の函館記念、松浦はダービー王になってから中3日の参戦です。余韻が3日しかない中で気持ちを次に切り変えるのは大変だとは思いますが、なんとか決勝までたどり着いた。松浦本人が言うように調子が悪いようには見えません。むしろ、ダービーより動けているように見えます。彼は中3日しかない中で結果を残せるか?

 メンバーとライン構成は以下の通りです。

①松浦悠士(98期・広島)ー④柏野智典(88期・岡山)
③守澤太志(96期・秋田)ー⑤佐藤慎太郎(78期・福島)
⑥野口裕史(111期・千葉)ー⑨松谷秀幸(96期・神奈川)
⑦古性優作(100期・大阪)ー②村上義弘(73期・京都)ー⑧椎木尾拓哉(93期・和歌山)

 ここでポイントになるのは、⑥野口の後ろを取るラインはどこなのか? です。初手を考えることで見えてきます。

 松浦はいつもクリーンなレースをしますが、今節は特にダービー王を意識して走っているように見えます。準決1着の野口に「僕の土俵で戦ってくれた」と言わしめるほどでした。その松浦が、自ら動いて野口の中団を取るレースをするとは思えません。前を取って、レースの流れを見て一気に仕掛けるでしょう。

 ①松浦が前受けすると、その後ろは⑦古性が取って⑥野口の出方を探り、③守澤、⑥野口の順でレースが進むと思います。

S.①④、⑦②⑧、③⑤、⑥⑨

 ③守澤の基本作戦は⑥野口の3番手狙い。①松浦や⑦古性が3番手で粘るなら、番手追い上げも考えていると思います。

 ①松浦はそんなことを考えずに縦足一本で勝負するだろうから、粘るなら⑦古性、追い上げるなら③守澤。

 ⑦古性は3番手で粘るくらいなら⑨松谷の位置も視野に入れているでしょう。⑦古性が野口ラインを出させる、仮に③守澤まで入れたとしても5番手。そこから捲れるイメージが私には湧きません。

 前受けから引いてタイミングを取る①松浦の前団は、混戦になっている可能性が高いと思います

      ←①④
H.⑥⑨③⑤
   ⑦②⑧

 準決勝の野口は「松浦を引き付けて駆けたので、100メートルくらいもがく距離が短かった」と言い、対して松浦は「ここで行くかな(打鐘過ぎ)と思ったところで野口さんは仕掛けなかった」と言っています。

 準決の失敗があるので、⑥野口が決勝で同じ仕掛けを考えているなら、①松浦はカマすと思います。逆にいつもの仕掛けなら①松浦はまくるでしょう。

「結局、ダービー王は強かったね」で終わるような気がします。

①ー④=⑥⑨⑤

 我々が思っている以上に⑥野口が強かったら…
⑥ー⑦=⑨⑤②①

 北日本勢に目標がないのでどう戦うのでしょうか? 今シリーズの流れを見ると、佐藤慎太郎は守澤太志の前を回って欲しかったな…とも思います。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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