2021/05/23 (日) 15:00 9
元トップ選手で現在は競輪解説者として活躍中のヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。選手心理から導き出した展開の読みは必見です。
こんにちは、ヤマコウです。
先日行われた函館記念競輪・五稜郭杯争奪戦は 松浦悠士(98期・広島)の優勝で幕を閉じました。「さすがダービー王」でした。
先行を期待された野口裕史(111期・千葉)は 前を取って自滅しました。ダービー王や古性優作(100期・大阪)、守澤太志(96期・秋田)ら、格上相手に受けて立つには戦法の幅が狭かったのが敗因でした。野口が後ろの選手を動かせて主導権が取りたかったのなら、外の選手をどかす技量は日頃から身に付けておかなければいけなかったと思います。
清水裕友(105期・山口)や松浦悠士、平原康多(87期・埼玉)らは、横の捌きが安定しているので調子の悪さを位置取りでカバーできます。ここが今の競輪で一番大事な所だと思います。
前橋記念競輪「三山王冠争奪戦」決勝を走る清水は松浦に続くことができるのか? メンバーとライン構成は以下の通りです。
①清水裕友(105期・山口)ー⑨小倉竜二(77期・徳島)
⑥脇本勇希(115期・福井)ー②東口善朋(85期・和歌山)
⑧渡邉雄太(105期・静岡)ー③海老根恵太(86期・千葉)
⑦竹内雄作(99期・岐阜)ー④吉田敏洋(85期・愛知)
⑤阿部力也(100期・宮城)
この中で調子がいい選手は、①清水、②東口、⑦竹内、⑤阿部といった所でしょう。
先手を取りたいのは⑥脇本。準決勝では、主導権を取れずに②東口に切り替えられながらも大外伸びて1着。「あんなレースでは兄貴に怒られる」ので、決勝戦は何が何でも先行したいと思います。
受けて立つのは①清水です。「函館の松浦さんを見たら疲れたとは言えない」と刺激になったようです。
⑥脇本の次にバック数が多いのは⑦竹内ですが、ラインとして一番外枠なので戦法の幅が限られます。
そして⑧渡邉、最初から見え見えのまくり狙いではなく、今節は勝負どころで動いて中団を取っています。決勝も近畿ラインの後ろを狙うと思います。
受けて立つのが①清水、⑥脇本は先行したいので、函館の野口を教訓にして前を嫌うはず。⑧渡邉も前受けなら後ろでレースが始まるので、できるだけ取りたくない。⑧渡邉は、①清水が前を取れば近畿ラインの後ろ(初手は近畿の前)は取れる車番です。
S.①⑨、⑦④、⑧③、⑥②、⑤
⑦竹内は押し出される形で前中団になると思います。この形なら、⑧渡邉が動いて⑥脇本を出させるでしょう。⑤阿部は「手堅く行くなら清水ラインの後ろかな…」とコメントしていますが、①清水が前受けなら、一旦9番手になるのでそこは嫌うと思います。
←⑦④
赤板.⑥②、⑤、⑧③、①⑨
⑥脇本と⑦竹内の主導権争いは竹内が勝つと思います。脇本も強くなっていますが、竹内のデキはさらに上だと感じました。
←①⑨
H.⑦④、②⑤⑧③
⑥
最終ホームで①清水が仕掛けます。今の清水なら⑦竹内を捉えるでしょう。今節、前の選手をしっかり追走出来ている⑨小倉が2着。①清水はホームからの仕掛けなので⑨オグの交わしは苦しいかな…
1ー9ー425
①清水が最終ホームで併せられたら、④吉田にチャンスが巡ってきます。
4ー2ー597
4ー2=1
清水は松浦に続くことができるのか楽しみな一戦です。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。