2024/01/08 (月) 12:00 2
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は大宮競輪場で開催されている東日本発祥倉茂記念杯の決勝レース展望です。
新年最初の記念競輪となった【東日本発祥倉茂記念杯】は、初日の8レースで3連単107万3380円と、大宮競輪場での記念大会では初めての100万車券となりました。
準決勝では落車したレースもあったものの、それでも3レースのうち2レースで3連単が10万車券が出るなど、荒れる大会となっています。
この時期の大宮競輪場は寒さも厳しく、ただでさえ長い500バンクに、空気の重たさも加わってきます。今年は暖冬傾向にあるとは言えども、走っている選手たちは風をもろに受けているので、体感気温はそれ以上に寒くなっているはずです。
そこに大宮バンクならではと言える直線の長さも相まって、4コーナー勝負のレースが続いていたことも、予想を難しくさせているのでしょう。
決勝の並びですが、5車が勝ち上がってきた地元の埼玉勢は、太田選手-宿口選手一-平原選手-中田選手-山田選手で結束しました。西日本ラインでの括りとなったのが清水選手-稲垣選手で、準決勝と同じく九州ラインでの連係となったのが、北津留選手-井上選手です。
1番車に平原選手が入ったこともありますし、ここは埼玉ラインが前を取ってからの、太田選手の突っ張り先行となるでしょう。
決勝の車番を見た時に勿体ないなと思ったのが、今大会好調だった北津留選手です。
この車番だと埼玉の5人の後ろが清水選手となり、北津留選手は8番手から前を抑えに行くことになりますが、太田選手に突っ張られた場合、再び元の位置に戻らざるを得なくなります。
もし、北津留選手と清水選手の車番が逆だったのならば、後方となった清水選手が太田選手を抑えに行ったタイミングで、一気に捲っていく手もあったはずです。この車番も埼玉ラインが有利に働いていると言えそうです。
その清水選手ですが、6番手から発進していった時には、宿口選手が番手から抜け出しを図っているはずです。
今大会の宿口選手は初日から3連勝と調子の良さが目立っていますが、さすがにここでは、3番手を回っている平原選手の方が役者が上だと思います。
3連単は平原選手=宿口選手の裏表からの相手探しが本線となります。紐荒れの2着候補には、捲ってくる清水選手もさることながら、準決勝で平原選手を差し切ったように、調子の良さが目立つ中田選手も入れておいた方がいいでしょう。
最終日も波乱傾向は続きそうですが、埼玉勢が結束した決勝だけは、堅く収まってくれるはずです。
最後に、1日に発生した能登半島地震で犠牲になられた方に、謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。被災地の一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。