2023/11/25 (土) 11:00 11
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
小倉1R 朝日新聞社杯競輪祭(GI)S級一般
①岡村潤(86期=静岡・42歳)
②岩谷拓磨(115期=福岡・26歳)
③吉田有希(119期=茨城・22歳)
④横山尚則(100期=茨城・32歳)
⑤村田雅一(90期=兵庫・39歳)
⑥志村太賀(90期=山梨・40歳)
⑦東口善朋(85期=和歌山・44歳)
⑧野口裕史(111期=千葉・40歳)
⑨渡部哲男(84期=愛媛・43歳)
【並び予想】
←②⑨(混成)③④(関東)⑥(単騎)⑧①(南関東)⑦⑤(近畿)
【注目のヨーロッパ】
⑧野口裕史(1〜2着で狙える)
④横山尚則(1着狙いに妙味)
⑥志村太賀(3着候補として)
いわば王道の「ヨーロッパ穴狙い」ができそうなのが、このレース。デキのいい選手がまったく見当たらないことやコマ切れ戦となったことから、そうそう順当には決まらないはず。④横山尚と⑥志村太、⑧野口裕のいずれもが車券に絡む可能性がある、高配当を積極的に狙っていきたい一戦だ。⑦東口善が自力というのも、このレースが波乱含みだと判断した理由のひとつ。人気を集めるのは、③吉田有や⑨渡部哲あたりか。
もっとも狙い目のヨーロッパは⑧野口裕。初日から9着、8着、8着とまったくいいところがないが、これはデキが悪いだけでなく、パワー型である⑧野口裕と、現在の小倉バンクの相性が悪いというのが大きい。バンクコンディションは大きく変わらないので今日も苦戦するかもしれないが、ここまで相手関係が軽くなって人気もまったくないとなれば、リスクは承知の上で狙ってみる価値あり。主導権を奪っての逃げ切りも十分に考えられる。
③吉田有が主導権を奪う展開になった場合は、その番手を回る④横山尚の出番。このシリーズでの③吉田有はかなりデキが悪く、逃げたとしても最後まで粘りきれるイメージがまるでない。おのずと④横山尚に展開が向くはずで、③吉田有を差しての④→③も一応は押さえるべきだが、コマ切れ戦であるのを考えると、④横山尚の1着からのスジ違い決着を狙ったほうが面白そう。手広く流しても割に合うオッズとなるはずである。
さらに単騎の⑥志村太も、主導権を奪うラインの直後につけての流れ込みがあって不思議ではないはず。③吉田有が主導権ならば、③④⑥からの④→⑥決着もなくはない話だ。こちらは基本的には1〜2着ではなく「3着で狙う」のがよさそうで、⑧野口裕が主導権を奪った場合の⑧→①→⑥や①→⑧→⑥は、スジ決着でも間違いなく高配当に。ヒモ穴候補としてならば、かなり面白い。
いちばん期待できそうな⑧野口裕については、番手を回る①岡村潤との折り返しが本線。とはいえ、⑧野口裕からのスジ違いを狙うのも悪くない選択肢になりそうで、捲ってきた②岩谷拓や⑦東口善に流す②-⑧、⑦-⑧の折り返しは、キッチリ押さえておきたいところである。⑧野口裕が連対を果たしたのに車券がハズレという悔しい結果だけは、絶対に避けられるようにしておきたい。
【予想レース⓶】
小倉4R 朝日新聞社杯競輪祭(GI)S級選抜
①宿口陽一(91期=埼玉・39歳)
②伊藤颯馬(115期=沖縄・24歳)
③菅田壱道(91期=宮城・37歳)
④飯野祐太(90期=福島・39歳)
⑤阿竹智史(90期=徳島・41歳)
⑥大槻寛徳(85期=宮城・44歳)
⑦小川勇介(90期=福岡・39歳)
⑧太田竜馬(109期=徳島・27歳)
⑨芦澤大輔(90期=茨城・41歳)
【並び予想】
←③④⑥(北日本)①⑨(関東)②⑦(九州)⑧⑤(四国)
【注目のヨーロッパ】
⑧太田竜馬
四分戦となったここも、かなり難解な一戦。①宿口陽が先頭の関東ラインと、②伊藤颯が先頭の九州ライン、そして③菅田壱が先頭の北日本ラインはどれも一長一短といった印象で、オッズはかなり割れそうだ。狙いやすいのは唯一の3車ラインとなった北日本勢で、こちらはおそらく中団から。①宿口陽も捲りが主体となるはずで、主導権は②伊藤颯と⑧太田竜が争うことになるか。
人気を集めそうなのは、地元の⑦小川勇が番手を回る②伊藤颯のほう。確かに気合いが入るだろうが、四国勢の⑧太田竜と⑤阿竹智は同県であり、モチベーションの高さは⑧太田竜も負けてはいない。ここで思い出されるのが、今年6月の小倉F1で⑧太田竜がみせた力強い走り。初日特選から1着、1着で勝ち上がり、捲った決勝戦でも2着という結果を残している。小倉バンクとの相性のよさは、かなりのものだ。
ここまで7着、8着、3着と冴えない結果に終わっているのもあって、⑧太田竜は思いのほか人気がなさそう。しかし、デキのいい選手がほとんど見当たらないここならば、巻き返しがあって何の不思議もない。車番に恵まれなかったので初手は後ろ攻めとなるだろうが、このメンバー構成ならば、主導権を奪いにいった九州勢の直後3番手を取れる可能性もある。この人気のなさは逆に美味しいとみるが、どうか。
具体的な買い目については、ラインで決まる2車単⑤-⑧の折り返しが当然ながら本線。展開が読みづらいので、3連単はそこに九州ラインの②⑦や北日本ラインの③④、関東勢の①⑨が絡むカタチを手広く狙いたい。さすがに特大級の配当とはいかないだろうが、点数を絞って割のいい配当が狙えそうなレース。ここを的中させて、前半戦で今日の「勝ち確定」を狙っていきたい。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。