2023/11/26 (日) 11:00 5
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、推奨穴2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
小倉1R 朝日新聞社杯競輪祭(GI)S級一般
①中本匠栄(97期=熊本・36歳)
②宿口陽一(91期=埼玉・39歳)
③渡邉一成(88期=福島・40歳)
④岩谷拓磨(115期=福岡・26歳)
⑤田尾駿介(111期=高知・31歳)
⑥原田研太朗(98期=徳島・33歳)
⑦飯野祐太(90期=福島・39歳)
⑧横山尚則(100期=茨城・32歳)
⑨大塚健一郎(82期=大分・46歳)
【並び予想】
←③⑦(北日本)④①⑨(九州)⑤(単騎)⑥(単騎)②⑧(関東)
【注目のヨーロッパ】
④岩谷拓磨(1〜2着候補)
競輪祭の最終日、まずは最初のレースで高配当を狙ってみたい。ここまで惨憺たる結果に終わっている選手ばかりの難解な一戦で、おそらく人気の中心は、北日本ライン先頭の③渡邉一。いったん後方に引いてからのカマシ先行で主導権を奪い、番手を回る⑦飯野祐とのワンツーを狙うというのが、基本戦略となることだろう。②宿口陽が先頭の関東勢もソコソコ人気となりそう。こちらは、中団〜後方からの捲りで勝負か。
しかし、ここは最終日くらいはいい結果を出したいという、九州勢の“気合い”を買いたい。唯一の3車ラインで、車番的にも有利。先頭を任された④岩谷拓は9着、8着、8着、8着とここまでいいところがなく、レース内容にも見るべきものがない。ここまで動けていないとなると、たとえ地元・福岡勢といえども人気にはならないはずだ。自分で名前を挙げておいて言うのもどうかと思うが、けっして狙いやすい「穴」ではない。
しかし、デキが悪いのは他の選手も同じ。“数の利”を生かすためにまずはスタートを取って、前受けからの組み立てで中団が取れれば、ここならば好勝負ができておかしくないはずである。同じ「ヨーロッパ」でも、②宿口陽の番手を回る⑧横山尚や単騎となった⑥原田研よりは格段に車券絡みが期待できそう。カマシて主導権を奪う北日本勢の直後が取れさえすれば、“気合い”の差で捲りきれるとみた。
車券は、基本的には「九州ラインで決まる」カタチを推奨。このメンバー構成ならば、番手の①中本匠とで決まる①-④の折り返しでも、意外にいい配当になってくれそうだ。ライン3番手の⑨大塚健とで決まる④-⑨の折り返しも押さえるべきで、この組み合わせから②③⑤⑦あたりに流す3連単での勝負も面白そう。④岩谷拓を1着か2着に固定した車券で、最終日のオープニングを飾りたいものだ。
【予想レース⓶】
小倉10R 朝日新聞社杯競輪祭(GI)S級特別優秀
①平原康多(87期=埼玉・41歳)
②守澤太志(96期=秋田・38歳)
③郡司浩平(99期=神奈川・33歳)
④荒井崇博(82期=長崎・45歳)
⑤松谷秀幸(96期=神奈川・41歳)
⑥鈴木竜士(107期=東京・29歳)
⑦山田英明(89期=佐賀・40歳)
⑧野田源一(81期=福岡・44歳)
⑨渡部幸訓(89期=福島・40歳)
【並び予想】
←①⑥(関東)③⑤(南関東)②⑨(北日本)⑦④(九州)⑧(単騎)
【注目のヨーロッパ】
④荒井崇博
⑧野田源一
残念ながらS級S班からの陥落が決まってしまった、①平原康と②守澤太、③郡司浩の3名が内からズラリと並ぶ超豪華な一戦。そのいずれもがラインの先頭を務めるのだから、車券はおのずとここから売れる。とはいえ、なかなか調子が上がってこない①平原康は、やはり買いづらい面がある。逃げそうな選手が見当たらないこのメンバーだと、先手を「取らされる」可能性もあるので、なおさらだ。
②守澤太は中団で立ち回っての捲り勝負のはずで、調子もけっして悪いわけではないので、ここはしっかり押さえておく必要がある。しかし、信頼度が高いのはやはり機動力上位である③郡司浩だ。主導権を奪いにいく可能性も高いので、その番手を回る⑤松谷秀とのフォーカスは、かなりの人気を集めることだろう。オーソドックスに狙うならば、南関東勢と北日本勢を重視するのが正解となる。
ただし、これが「穴狙い」となると話は別で、かなりマークが薄くなりそうな九州勢に食指が動く。具体的には、⑦山田英の番手を回る④荒井崇と、単騎勝負の⑧野田源を積極的に狙っていきたい。相手は強力だが、ラインが4つに単騎が1名というコマ切れ戦ならば、⑦山田英がうまく立ち回っていい位置を取るのも不可能ではないはず。④荒井崇と⑧野田源はデキは上々といえるもので、土曜日にもいい走りをみせていた。
⑧野田源は単騎を選んだものの、初手では九州勢の後ろにつけそう。そのまま連動するケースもあるが、道中で南関東勢の後ろに切り替えての勝負もあり得る。よって、④荒井崇から入る車券の相手本線は⑦山田英と⑧野田源だが、⑧野田源から入る場合だと、③郡司浩と④荒井崇が相手本線となるか。④-⑦⑧や⑧-③④から流す3連単は、うまくハマればホームラン級のリターンも期待できそうだ。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。