2023/11/01 (水) 12:00 31
防府競輪場が改修中のため、11月2〜5日に「開設74周年記念 周防国府杯争奪円(GIII)」が玉野競輪場で代替開催される。清水裕友(29歳・山口=105期)が同記念6連覇という偉業に挑む。「場所が違って気持ち的にどうかな…」とは話すものの、レースになれば集中力は倍増。これまでの防府での戦いを見せてくれるはずだ。
とはいえ「あの雰囲気が好きなんですよ」という、防府の山の中にある、木々に囲まれた森閑とした空気が一番落ち着くようだ。弥彦競輪場も好きとのことで、「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」では結果を残せなかったものの、気持ちを切り替えて、海の香りがする玉野競輪場で爆発させる。
6連覇に向けて、最も大事なものは何か。
防府でいえば地元ファンの大声援だった。あまりにも特別。ちょっとそれが薄れるかもしれないので、やはり頼るべきはラインの仲間になる。なんといっても豪華メンバー。寬仁親王牌で今年3冠目とした古性優作(32歳・大阪=100期)をはじめ、新山響平(30歳・青森=107期)、守澤太志(38歳・秋田=96期)に郡司浩平(33歳・神奈川=99期)がいて、味方になる松浦悠士(32歳・広島=98期)とS班は5人なのだ。
その中で、主役を張る。
犬伏湧也(28歳・徳島=119期)は怒りをぶつけるシリーズになる。寬仁親王牌の決勝は狙いに行って失敗した。小倉竜二(46歳・徳島=77期)からは「しょーもない」とひと言、切り捨てられた。獲れる力がありながら、チャンスを前にして、弱さを露呈してしまった。
自分自身への怒りは瀬戸内海を真っ赤に焦がすレベル。今回は鬼と化して、別線を完封にかかる。そこに清水がいて、松浦がいて、中四国のこれからを示すことになる。桑原大志(47歳・山口=80期)、山下一輝(34歳・山口=96期)も相当な思い。
ホームバンクになる取鳥雄吾(28歳・岡山=107期)も「獲りたい」と燃えるが、今回は山口勢がメイン。数多く乗れば別線もあるかもしれないが、まずは結束と行きたい。
新山と守澤は優勝のない一年。郡司は「競輪祭を勝つために」で、それぞれ抱えるものがある。とにかく古性が今年をリードしている。謙虚な面はもちろんあるのだが、それ以上に事実として、自分自身には足りないものがあることを自覚している。
他の選手に抵抗する隙すら与えない、これが最強への道を歩ませていると思うが、本人は満足しない。またすぐに古性の走りを見ることができる、それが競輪ファンの喜びだ。
KEIRINグランプリへの賞金争いも気になるが、選手たちは目の前の一戦に燃え尽きる思いで走っている。
そして先般の武雄競輪「闘将佐々木昭彦杯」を制した伊藤颯馬(24歳・沖縄=115期)にも大注目だ。2020年3月の115期ルーキーチャンピオンレースで瀬戸内海をバックに取材したことを思い出す。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。
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