2023/09/26 (火) 12:00 3
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は松坂競輪場で開催されている蒲生氏郷杯王座競輪の決勝レース展望です。
【蒲生氏郷杯王座競輪】が開催されている松阪競輪場は、見なし直線の距離も長い上に、風の影響を受けやすいバンクでもあります。
風の強さによっては先行選手が更に苦戦する日も出てきます。準決勝で先行した中で、決勝に進んできたのは新田選手だけとなっていました。
その新田選手ですが、この決勝ではオールスターの特秀と同じく、菅田選手が前の並びになりました。北日本ライン(菅田選手-新田選手)以外の並びですが、意外だったのは地元の三重の並びであり、浅井選手が前で皿屋選手が後ろになりました。
九州の2人は準決勝と同じように山田選手-中村選手。そして混成ラインながらも3車で厚みを増したのが、郡司選手-岩津選手-坂本選手のラインです。
皿屋選手もコメントを出していたように、同じレースで浅井選手の後ろを走るのは、今回が初めてとなります。
これまでと同じように皿屋選手が前を回るのならば、徹底先行型が見当たらないこの決勝でも先行してくると見ていました。
かといっても浅井選手だけでなく、山田選手の先行も考え辛いだけに、先行するのは菅田選手か、3車となった郡司選手のどちらかとなります。
菅田選手が先行した場合には、番手の新田選手が有利になります。今大会は勝利を挙げられていない新田選手ですが、二次予選、準決勝と早めに仕掛けているレース内容からしても調子は良さそうですし、決勝までの勝ち上がり方を知っているのは、さすがSS班の走りと言えます。
一方、同じSS班の郡司選手が、ラインの厚さを生かして先行した場合だと、後ろを回る岩津選手との直線勝負となります。
郡司選手は車番的に北日本ラインの後ろという、有利な位置を回れるだけに、先行するかしないかの判断も難しいところです。
それでも、かかりきった菅田選手の番手から、捲っていく新田選手を交わしきるのは、いくら郡司選手と言えども困難でしょう。それならば自分が先行してしまった方が、まだ勝機がありそうです。
ただ、浅井選手がラインの前となったのには、何か策があるように思えてきます。
車番的にはスタートを取れる位置となっただけに、そこから後方まで引いての捲りだと思います。その時に菅田選手を抑えて、先行体勢に入った郡司選手が流していくようだと、捲りどころか、一気のカマシも考えているのではないのでしょうか。
その展開となれば、浅井選手のスピードをもらった皿屋選手の番手捲り。そして、地元での記念競輪初制覇が見えてきます。車券的にも皿屋選手の3連単1着付けは、穴で狙ってみたくなります。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。