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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜40代の挑戦〜

【金子貴志のマスターズ密着】カラフルスタイルレーシングチーム本格始動!自転車の楽しさを再確認

2023/08/24 (木) 12:00 12

 netkeirinをご覧の皆さんこんにちは。金子貴志です。お盆を過ぎたのにまだ暑い日が続いています。お体には十分気を付けてくださいね。

「カラフルスタイルレーシングチーム」本格始動!

 今回は7月16、17日の2日間、長野県松本市の美鈴湖自転車競技場で行われた「全日本選手権トラックマスターズ」のことを書いていきたいと思います。

 マスターズは35歳以上の選手が出場できる大会で、プロもアマチュアも一緒に戦います。今回は競輪選手が10名弱出場していました。

(本人提供)

 実はこのマスターズは「カラフルスタイルレーシングチーム」のデビュー戦でした。マスターズの団体種目はエントリー選手の合計年齢で部門が分かれていて、出場したのはチームスプリントの135歳以上の部。メンバーは白井一機さん、鈴木伸之君、アマチュアの森田英児君の3人です。

 実は、もともと2021年に岡山で開催予定だったマスターズに出場するつもりで白井さんのトレーニング動画を撮り始めたのが「カラフルスタイルレーシングチーム」の始まりでした。ですがコロナ禍で大会が中止になってしまい、叶わず…。今回ようやくマスターズ出場が実現したので、お揃いのユニフォームも作りました。私は今回、より多くの方に自転車の魅力を伝えられるように、出場するのと同じくらいの想いでドキュメンタリー動画の撮影に臨みました。

「カラフルスタイルレーシングチーム」のメンバー白井一機さん(本人提供)

みんなで協力して大会を手作り

 私たちは前日から現地に入りました。美鈴湖は標高1000メートルにある美しい湖です。夏になるとキャンプ場なども近くにあるので家族連れなどで賑わいます。私も長野がすごく好きです。山が綺麗で空気もおいしく、道中の雰囲気がとても良かったです。美鈴湖は高地なので涼しいイメージがありましたが、現地に着くと想像以上の暑さでした。

手動の空気入れでタイヤに空気を入れる(本人提供)

 普段の競輪開催は宿舎や食事など全て用意されていますが、マスターズでは宿や食事からテントの設営まで、すべて自分たちで準備しなくてはなりません。テントもウォーミングアップで使うローラーも全部出場者が持参します。タイヤに空気を入れるのもコンプレッサーではなく、手動の空気入れ。自転車好きの人たちが集まって、大会を手作りするのです。

 機材はただでさえとても重いものが多いので、猛暑のなか準備するのはなかなか大変。設営に慣れている人が早くからテントを張り日陰をつくってくれていて、とても助かりました。

晴天の美鈴湖自転車競技場。出場者たちが張ったテントが並ぶ(本人提供)

 久しぶりに大会の準備をしていると、私が世界で戦っていた時、スタッフの人たちがレースに集中できる環境を整えてくれていたことを思い出しました。移動だけで数日かかることもあり体調管理が難しいなかで、荷物を運んでくれたり準備をしてくれたり、とてもありがたかったと今でも思います。

 他のチームの人とも協力しながら準備して和気あいあいとした雰囲気でしたが、レース本番が近くになるにつれて出場するメンバーは口数も少なくなり、緊張感が伝わってきました。

緊張感漂うレース前(本人提供)

想像以上の結果に「また来年も」!

 200メートルタイムトライアルが始まると「カラフルスタイルレーシングチーム」唯一のアマチュア選手・森田英児君が1番時計を計測。2位は高知県の競輪選手・山中貴雄君(岩井商会レーシング)。森田君は普段は仕事をしていて、そのあと練習しているそうですが、あまりの強さに周りから「仕事をしていないんじゃないか!?」と疑われていました(笑)。

 森田君は「プロはすごいな〜」と言っていましたが、私たちから見ても森田君の強さはもちろん、自転車への情熱がすごいと感じました。こうした交流からも刺激が受けられますし、新鮮で楽しいです。

普段は「天狗党」という自転車クラブで活動している森田英児君(本人提供)

 そして「カラフルスタイルレーシングチーム」が出場したチームスプリントの結果は、見事優勝! なかなか時間がとれず合わせ練習ができなかったのですが、日本記録までコンマ1秒に迫る好記録を叩き出しました。レース後はみんな優勝できた喜びと開放感から清々しい表情でした。

 想像以上の好成績だったので「もっとやれたんじゃないか!?」と欲が出てきたり(笑)、「また来年もできたらいいね」とみんなで話して笑顔で終われました。

贈呈された優勝ジャージを着て記念撮影(本人提供)

自転車好きが集まる楽しい時間

 マスターズなので参加しているのは“おじさん”たち。みんな心の底から楽しんでいるようでした。表彰式ではお互いの健闘を讃えあいながら、冗談も飛び出したりと和やかな雰囲気がすごく良かったです。自転車が大好きな人たちが集まって、初対面でも仲良く楽しい時間を過ごせるのが、スポーツの素敵なところですね。

「チームスプリント135歳以上の部」表彰式。中央がカラフルスタイルレーシングチーム(本人提供)

 競輪では「絶対に結果を出さないといけない」というプレッシャーが大きいですが、こういった大会は勝ち負けはあるものの純粋に自転車を楽しめる場です。出場する人たち全員が自転車を楽しんでいて、対戦相手との勝負はもちろんですが、自分の持ちタイムと比べて喜んだり悔しがったりする姿が印象的でした。

レース前は海外チームの儀式を真似して気合いを入れた(本人提供)

 今回はマスターズと同時に「JOCジュニアオリンピック大会」も開かれていました。次代を担う子どもたちが一生懸命走る姿を見て、私も熱くなりました。私が高校2年生の時、陸上部から自転車部に転部して初めて自転車競技大会に出たときは独特な雰囲気にのまれたものです。現役の競輪選手のお子さんも出場していて、大会はとてもいい雰囲気でした。未来の競輪選手もいたかもしれませんね。

嬉しい出会いと今後の野望

 今回撮影をしていて嬉しかったのが、YouTubeの視聴者さんが声をかけてくれたことです。いろんな人との出会いがあり、これからも自転車の魅力を伝えていきたいと一層思いました。

 今回は“自転車を広めたい”という「カラフルスタイル」のコンセプトのもと、普段見えないところまでカメラを回してドキュメンタリー動画を作りました。レース前の緊張感や自転車のかっこよさに加えて、移動中や宿泊先でのリラックスした表情もしっかり撮れたので、ぜひ見ていただけたら嬉しいです。

 ちなみに、今回3人が初陣を飾ってくれた「カラフルスタイルレーシングチーム」のメンバーも、ゆくゆくは増やしたいと考えていますよ。

(撮影:北山宏一)

 今回のようにプロとアマチュアの垣根を超えた全国レベルの大会は、年に数回しかありません。運営するのは大変ですが、もっと増えたらいいですね。気軽に参加できるイベントを設けて自転車競技を知る機会が増えたり、競技の裾野が広がってほしいです。私のコラムやYouTubeでもそのお手伝いができたら… と思っています。

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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