2023/08/09 (水) 12:00 17
8月10〜13日は和歌山競輪場と京王閣競輪場でともに「大阪・関西万博協賛(GIII)」が開催される。和歌山がデイ開催となり、「後閑信一・高木真備名輪会カップ」の冠が付いた京王閣がナイター開催になる。「オールスター競輪(GI)」直前の開催なので、ビッグネームは不在。『チャンスタイム』とも呼ばれるシリーズで、京王閣はガールズケイリンも行われる。
このGIIIシリーズ4日間、一身に期待を背負うのが北津留翼(38歳・福岡=90期)だ。
“永遠の隠れファン投票1位”と呼ばれる男で、西武園オールスターには出走本数不足で出場できない。ファンに愛される笑顔は、オールスター前に満喫してほしい。番組の構成によるわけだが、4日間、京王閣の最終レースで本命を背負う可能性が高い。
朗らかな表情で「いや〜、展開が良かったので」と勝利者インタビューで話すことだろう。後ろ攻めから切って、切られて、後方に下げさせられて、中団の選手に警戒され、そこからまくっても「いや〜、展開が良かったので」と話すことだろう。謙遜なのか本心なのかも悟らせない隠れIQ180男なのだ。
和歌山はGIIIの方は、抜きん出た存在がおらず大混戦の様相だ。そんな中、勝負をかけるのは芦澤大輔(40歳・茨城=90期)。盟友の牛山貴広氏が先だって生まれ故郷の長野県諏訪郡原村の村長になったばかりだ。
「牛山さんの人柄なら、やってくれると思います」
苦楽を共にし、特に“苦”の方が多かった。「茨城でGIに出ているのが少なくて、自分が苦しい時に牛山さんは一緒に泣いてくれた。そんな人、いませんよ」。振り返るだけで涙がにじんでくるようだった。
“鬼のアシザワ”と恐れられる輪史に残るファイターだが、彼には涙が付いて回る。平塚で2012年5月に平塚で記念初Vを飾った時もこらえきれるものではなかった。今も苦しい時期が続いているが、久しぶりのVを牛山に送り、涙で「村長!」と叫ぶ。
京王閣のガールズシリーズは吉村早耶香(26歳・静岡=112期)に期待しよう。妹の吉村美有紀(21歳・静岡124期)がデビューし、自身も手本を示さんと成長を続けている。「変なレースをしたらお姉ちゃんに怒られる〜」と美有紀はまだまだ可愛いものだが、姉としては結果を出すことで、妹の成長を促したい。
同期同県の鈴木美教(28歳・静岡=112期)がずっと上位で戦っているのを追いかけてもいる。ガールズケイリン初のGIパールカップを事故点過多で走れなかった無念を力に変え、大きな舞台へ。今回はひたすら優勝を目指していく。
今回はデビューしたばかりの124期の出場はないが、これからの主役を目指して1人1人がチャンスをつかみにいく。そこで輝くのは、もう一度の思いがあるベテランかもしれない。メモリアルな戦いを見せ、児玉碧衣(28歳・福岡=108期)までの高みは難しいかもしれないが「バルーンで祝われてナンボ」と言われるようになったガールズケイリン界で、誰が浮き上がってくるのか。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。