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前田睦生の感情移入

【不死鳥杯】脇本雄太、2022年の“ガラポン”の無念を晴らす

2023/07/21 (金) 12:00 31

脇本雄太が見つめる先には…

微妙にクジ運がないワッキー

 福井競輪場で「開設73周年記念 不死鳥杯(GIII)」が7月22〜25日の日程で開催される。もちろん、不世出の英雄・脇本雄太(34歳・福井=94期)が完全主役。居並ぶスターたちも全員脇役を務める。

 函館競輪「サマーナイトフィスティバル(GII)」で改めて“競輪の面白さ”を伝えてくれた。今回はより集中力を高め、緊張感もある。饒舌にとはいかないかもしれないが、レースで語る。

 昨年は準決が豪雨によりレース中止で抽選となった。
「ヤバイ」。まさかのガラポンに向き合うことになり、不安そのままに敗退となってしまった…。その時に一緒に抽選で漏れた上位選手が松浦悠士(32歳・広島=98期)だったことも忘れられない。

 でも2人とも最終日の負け戦でも、きっちり1着で人気に応えた。色々と共有するものがある2人なのだ。

今年は大丈夫

福井競輪場ではため池で対策がなされた

 福井競輪場は豪雨対策として、バンク内にため池を作った。たまった水は中に吸引して、走路に影響のないようにするものだ。まずは、この池の出番がない好天を期待し、もし何かあっても選手たちの走りをしっかりと見られることを待つのみだ。

 福井は先日のルーキーシリーズで取材に行かせてもらったのだが、記念の開催時には福井最強の名店・秋吉の焼き鳥も場内で求めることができるそうだ。現地に行かれる方は、ぜひ場内でレースを、焼き鳥を楽しみ、車券が当たっていた時には、さらに秋吉のお店に足を運んでほしい。

 そしてお腹いっぱいでも、酒でふらふらになっていても、越前そばで締めてほしい。どちらかというと、湿度が高く、蒸し暑い夜に食べる越前そばが究極。大根おろしがすっきり脳に効いて、翌朝は確実にギンギンだ。

古性優作は何を求める?

古性優作にとっても大事なシリーズ

 古性優作(32歳・大阪=100期)のサマーナイトは苦いものとなった。初日は脇本に離れた。「道中からきつくて、離れる前からすでに危なかった」という。明らかに状態が良くなく、悔しいシリーズとなった。

 今回は脇本の後ろで、または“前で”不覚は許されない。おそらくは後ろだと思うが、脇本のそばにいないことは許されない。函館から間もないので、古性の覚悟も相当なものになる。

 追いかけても追いかけても遠ざかるワッキーの背中。もしかしたら、古性の言葉の方が今開催の鍵になるのかもしれない。現地の取材を待ちたい。

天敵は翼の生えた男

北津留翼が穴党を喜ばせるか

 2022年の5月22日、FIの初日特選で脇本に土をつけたのが北津留翼(38歳・福岡=90期)だ。地元で土をつけられ、心に火が点いた脇本は優勝はきっちり手にした。今回も北津留がいて、怪しげな空気を醸し出す。穴党の方は期待してほしい。

 忘れてはいけない佐藤慎太郎(46歳・福島=78期)も出場する。函館の最終日は、とんでもなくカッコよかった。

 思い出すのは2009年の当大会。苦しみ抜いていた地元の市田佳寿浩(引退=76期)さんの前で村上義弘(引退=73期)さんが先行する展開。その後ろにいた単騎のシンタロウが突き抜けて優勝した。不死鳥杯ーー。

 取材していた側としては市田さんの復活Vだ!とみていたのだが、ハッとさせられたことを思い出す。くるぶしを骨折して足の形がなくなり、「終わった」とすら言われた男の復活のシーンだった。異様なまでのドラマが生まれるのが福井記念「不死鳥杯」。

 今年の結末がどんなものか、背筋を伸ばして待とう。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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