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前田睦生の感情移入

【サマーナイトフェスティバル】3連覇かかる松浦悠士の競輪を見る力、そして児玉碧衣が青ざめた苦闘の思い出…

2023/07/14 (金) 12:00 34

“夜王”松浦悠士

松浦悠士の競輪を見る力

 函館競輪場で「サマーナイトフェスティバル(GII)」と「ガールズケイリンフェスティバル2023」が7月15〜17日の3日間で開催される。松浦悠士(32歳・広島=98期)は一昨年の函館大会を制すと、昨年の玉野大会も制し、今回3連覇がかかる。

 低調の時はあっても、これだけ何年も活躍を続けているのはすさまじい。落車も今年は多かったわけだが、開催を一つ重ねるたびに戻し、戦い続けている。体力的には過酷なはずでも、相当な基礎の考え方があるのだろう。崩れずに、立て直してくる。

 小松島記念(阿波おどり杯争覇戦)をらしさ全開の戦いぶりで優勝。2月別府競輪の「ウィナーズカップ(GII)」もそうだったが、勝負に出る時の“競輪観”がズバ抜けている。究極はスピードだけで勝てればよいが、そうもいかないのが競輪。繰り出せる技術の多さは、現在松浦と古性優作(32歳・大阪=100期)が突出している。

 よほど競輪のレースを見て、研究して、何ができるかを日々、蓄えていると思う。『競輪を見る力』も必要なのだ。

 これは当然の話ではあるが、ルールや選手の状況などにも詳しいのが松浦の特徴でもある。

山口拳矢も前回函館大会で大暴れ

一昨年の山口拳矢(左)、幸二さん

 松浦が優勝した時の2着だったのが山口拳矢(27歳・岐阜=117期)。サマーナイトフェスティバル初出場で大いに暴れたものだ。そこから「共同通信社杯(GII)」、そして「日本選手権競輪(GI)」を手にし、もう一度、北に大地を焦がすだろう。

 前回の向日町では準決を10秒6という上がりタイムで勝ち、決勝も10秒7で勝利。まくりは展開に左右されるものがあるが、これだけのタイムを普通に出せるのはやはり並ではない。ダービー王のスピードレースを函館で目の当たりにしてほしい。

 2019年にサマーナイトフェスティバルを開催した別府競輪場では「BEPPU KEIRIN SUMMER NIGHT FES 2023」というお祭りを7月22、23日に開催する。あの時のように、別府の夜空に花火が打ち上がるのかーー。

 大きな大会を開いたことで、別府競輪場では夜の夏祭りを競輪場で開けるという進展につながった。競輪の存在価値を強く感じさせるものだ。全国で日々、各種イベントが行われる今になり、こうした大きな企画まで可能な競輪場。間違いなく地域に必要不可欠な財産だ。

児玉碧衣の2年前は、青ざめていた

児玉碧衣は最終日のあと、強引に前を向いた

 児玉碧衣(28歳・福岡=108期)が6月岸和田競輪の「パールカップ(GⅠ)」を優勝して、笑顔を取り戻した。近い話では昨年末のガールズグランプリのケガがあっての苦しみが目に見えるものだが、一昨年の当大会では信じられない不振だった。

 予選を7着、4着で決勝を逃した。最終日の敗者戦も勝ち切れず2着。悲壮な表情で「どうなってしまうんやろか。大丈夫やろうか」と、自分自身を立て直そうと、レース後にいろんな話をしていたことを思い出す。素晴らしい戦績の女王であっても、苦悩はあるのだ。

 今回はまた挑戦を受ける立場としての参戦になるが、本人としては上昇の途中のはず。攻める走りでガールズケイリンの価値を高めにいく。

 何より、ガールズケイリンの落車の多さは手をつけないといけない時期だろう。流れの中で並走になるのは仕方ないが、接触する場面も多々見る。いかに魅力的な競技、職業にたどり着いたとしても、危険性が高いというのでは、目指そうという人も考えてしまうものになる。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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