アプリ限定 2023/07/11 (火) 12:00 24
函館競輪場で7月15日から17日まで行われる「ガールズケイリンフェスティバル2023」。レースの見どころや注目選手の近況をデイリースポーツの松本直記者に解説いただきます。
ガールズケイリンフェスティバルは今年で10回目の開催。優勝賞金も300万円と高額で、年末のグランプリ出場権争いにも大きく影響する一戦だ。決勝への勝ち上がりは普通開催と同様に予選1、2のポイント上位7人となる。
節目の大会をリードするのは児玉碧衣だ。
昨年末のガールズグランプリで落車し左鎖骨を粉砕骨折したが、手術をして早期に復帰。なかなか結果を出せないもどかしい時期もあったが、3月後半の小田原からは7場所連続完全優勝中と勢いを取り戻した。
この7場所連続の中には6月のGI・パールカップ(岸和田)も含まれているから“さすが”の一言。グランプリ出場権をすでにゲットしていることで精神的にも安定しているだろう。
6月末にはフェスティバルの開催地・函館を走って3連勝。バンクの感触をきっちりつかんでいる。2年前に当地で行われたフェスティバルでは予選敗退の悔しさを味わったが、その後函館は6連勝と相性の良いバンクへと変わった。
フェスティバルは2016年から毎年参加しているが、2016年川崎、2019年別府の準優勝が最高成績で優勝がまだない。バンク相性の良さを追い風にしてフェスティバル初優勝を目指す。
久米詩もノリノリだ。今年は3月西武園から6月伊東温泉まで6場所連続完全優勝と白星を量産している。5月の平塚ではコレクション初優勝も達成し、昨年秋からナショナルチームの練習に参加している成果が実を結んでいる。
GI・パールカップでも準優勝と着実に賞金を積み重ねていて、初のガールズグランプリ出場も見えてきた。ここで優勝ならグランプリ出場へ大きく前進するだけに、気合は満タンだろう。函館は2021年10月に優勝した実績もあるだけに不安なく走れるはずだ。
坂口楓華の安定感も見逃せない。今年は1月から6月で優勝11回と好調だ。
好成績の要因は市田佳寿浩氏(76期・引退)の存在が大きい。昨年秋の福井開催後、市田に現状を訴え練習を見てもらうことで、少しずつ成績が上昇してきた。
練習の裏付けがレースにもはっきり出ており、自信を持って仕掛ける競走が増えてきた。普通開催では結果が出せているだけに、ビッグレースでの優勝は喉から手が出るくらい欲しいはず。年末のグランプリ出場へ一歩でも近づくために、決勝進出は外せない。
昨年のグランプリ覇者・柳原真緒はそろそろ巻き返したいところ。今年前半はグランプリチャンピオンとして圧倒的な脚力とレース内容でガールズケイリンを盛り上げてきた。
しかし、3月別府のコレクション6着、5月平塚のコレクション準優勝と勝ちきることができていない。6月末の玉野を欠場している点は不安だが、函館にはきっちり間に合わせてくるはずだ。
石井寛子は2年前に函館で行われたフェスティバルの覇者だ。佐藤水菜-小林莉子の3番手から直線一気の差し脚で優勝をつかみ取った内容はインパクトが強かった。
今年は5月のコレクションで6着。GI・パールカップは予選敗退とビッグレースでは存在感を出せていないだけに、フェスティバルは絶対に落とせない。フェスティバルは2018年松戸、前記の2021年函館と2回優勝している相性の良い大会でもある。ここで優勝して11年連続グランプリ出場へ前進したい。
山原さくらは久しぶりのビッグレース制覇へ気合いが入る。5月のコレクションは朝の指定練習で落車。約1か月間治療と休養を取り、着実に回復している。
6月末の小倉では3連勝の完全優勝と復調モード。一撃の魅力を秘めているだけに侮れない存在だ。
尾方真生は2年前のフェスティバルでブレイク。予選1は児玉碧衣を相手に先行勝負で1着、予選2も手堅く3着に入って決勝進出を果たした。
脚力を出し切ったときの尾方のポテンシャルは、ガールズケイリンでもトップレベル。一発大駆けの可能性は十分にある。
小林莉子、鈴木美教の自在選手も見逃せない。2人とも賞金ランキングでグランプリ出場争いのボーダーライン上にいるだけに気持ちが入っているに違いない。
特に小林莉子は負けられない。今年のグランプリ開催地はホームバンクの立川だ。補欠の悔しさを何度も味わっているだけに、このフェスティバルでは確実に賞金の上積みを図りたい。
今回フェスティバルに初出場する選手は7人。選考順位順に紹介すると野口諭実可、杉浦菜留、野本怜菜、村田奈穂、小泉夢菜、日野未来、岡本二菜だ。
フェスティバル選考基準のメインは優勝回数だ。杉浦、野本、村田は選考期間内に4回優勝。野口、日野、岡本は2回優勝し、しっかり自分の力で出場権を手にした。
122期で出場権をゲットしたのは小泉ただ一人。4月に高知で行われた特別レース「ガールズフレッシュクイーン」を優勝したことにより、一発で出場権をつかみ取った。デビュー2年目を迎え、ビッグレースでどのような走りを見せるのか注目したい。
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。