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ほろ酔い放談 -競輪の因数分解-

【競輪偏差値70の男】祝・44歳!「パワハラ先行」とボヤキ止まらぬ元一流アスリートに1歳の姪も苦笑い ♯25

2023/06/07 (水) 12:00 53

表舞台から遠ざかり、もれなく競走得点が激減中の中川誠一郎。もはやS級1班の座はおろかS級点の確保まで心配される始末だが、そんな声はどこ吹く風。44歳の元一流アスリートがあまり役に立たない競輪の細かい部分をざっくりと紐解きます。【構成=塩次洋太(九州スポーツ)】

●酒瓶持っているもの

ーーこのコラムの公開日、6月7日はちょうど中川選手の誕生日です。

 あ、44歳です。この年齢になるとイベントとかも無いし淡々と1日が過ぎていきます。

ーー予定はあるのですか。

 今年は向日町GIIIの前検日です。空いていてもどうせ飲んでいるだけですから、普段と変わらない。気にしてくれるのなら、来月のコラムで誕生日企画でもしてもらいましょうか。

ーー編集部にリクエストはありますか。

 最近スナックにハマっているけど新規開拓ができていなくて。熊本市内で居心地が良く、このコラムの取材に使わせてくれるようなスナックを募集してもらえませんか。

ーーコラムの私物化も甚だしいですね。

 スナックじゃなければ、寿司屋さんでもOKです。日本酒をやって、飲み屋でしっぽり。やっぱり酒を飲まないとこのコラムの存在意義がないですから。よろしくお願いします。

開催中リバウンドした島田竜二と

ーー5月は高松FIと久留米FIを走り、久留米では1月松戸以来の決勝に乗りました。

 久留米は久しぶりにまともに3日間を走り切った感じで、一応はレースになっていました。

ーー初日特選は島田竜二選手と柳詰正宏選手を連れて抑え先行でした。

 竜二さんと久しぶりに走ったのが新鮮で、昔を思いだして楽しかったです。自分のS級初優勝も竜二さんが後ろだったんですよ。

ーーそのわりには開催中は「パワハラ先行」と各紙面、ネットで窮状を訴えていました。

 レース前に竜二さんが「誠ちゃん、今日は先行主体で行ってみようか」とか言いだして。それをパワハラと言ったんですけど、初日特選だったし全然よかった。だけど…。

ーー何か言いたそうですね。

「ハラケン(原田研太朗)は構えるし、切ったら長尾(拳太)君だけ突っ張れば2センターからはペースって行けるよ」って。でも、オレはすでに一回押さえているんですよ。だから実質、赤板800m先行。あれは久しぶりにひどいオーダーでした(笑)。パワハラの内幕を明かすとこんな感じ。

ーーそれでも、先行してライン3人で決めてしまうのはすごいです。

 そういえば昔、竜二さんが自力選手によく言っていた格言を思いだしました。

ーーそんなものがあるのですか。

「ちぎらせず、競らさせず、まくらせず。そして、最後はちょっとタレて」です。理不尽なものがすべて詰まっている(笑)。今はもう、そんなことを平然という人いませんよ。

ーー「ちょっとタレて」が島田選手っぽいですね。

 でも、それぐらい言う先輩がいた方がオレはピリっとするのかも。今は後輩が増えて「付かせてもらっていいですか?」みたく持ち上げられて走っているじゃないですか。

ーー今シリーズの島田選手は以前よりもかなり体を絞ってレースに挑んでいました。

 でも「ダイエット中だから白飯は食わん」とか言っているのにスニッカーズを5個とか買っていて、開催中に5キロリバウンドしたみたいです。そりゃ、戻りますよ(笑)。

柳詰正宏(左)の話題になると酒の量が増える筆者

ーー中川選手は決勝に乗りました。柳詰選手と新納(大輝)選手に任され、ラインの先頭になりました。

 決勝の並びを決めるとき、柳詰が新納に冗談半分で「前でやらんかい!」とか言うんですよ。でもオレは「いいよいいよ、前でやるから」って。そうしたらレース前にも「南(潤)が前だったらイン切りしてこい」とか言っていて。

ーー柳詰選手もそれだけ気合が入っていたのでしょうか。

 だから、そういうのは言わんでいいって思って。だったら、お前がやれよ。そういうのしているところ一回も見たことないぞって(笑)。

ーー柳詰選手が前で戦うってことですね。

 決勝のあとも「前で動いてもらうだけでありがたいです。おかげで2着にいけました」って来て「今度は前でやれるぐらい頑張ります」みたいに言いだしたんですよ。

ーー柳詰-中川の並びはしびれますね。

 いやいや、そんなのあるわけ無いでしょ。だから「絶対やらせるけん、お前やれよ。そんなのでごまかされんぞ」って思いましたよ。2センターで内に入ってくるときも、オレにドケと言わんばかりの雰囲気を醸しだしてきたし。

ーーそんなことわかるのですか。

 “あれ、これ柳詰かな? ずいぶん偉くなったな”と思いましたから。のうのうとこっちの領海に土足で上がってきたぞ、みたいな。でも、オトナなので怒りません。

ーー柳詰選手とは準決もいい連係をしていました。

 差されましたね。何かの新聞に「誠一郎さんを見くびっていたわけじゃないが強かった」みたいなコメントがあって。あいつ、なんで上からなんだろう? って不思議でした。これからは柳詰さんって呼ばないと(笑)。

ーー今回はやけにトゲがありますね。酒が進んでいますか。

 いやいや、本当にイラついていたら話題にもだしませんよ。柳詰は普段から(園田)匠とか(小川)勇介らの先輩からかわいがられているから、こっちもいじっておかないと。

園田匠と

ーー冗談なら良かったです。

 だけど、勇介や小岩(大介)はもちろん、あの匠ですらオレの前で先行してくれたことありますけどね。

ーー園田選手ですか! 追込選手のイメージが強いです。

 昔、競輪祭の負け戦でオレと大塚(健一郎)さんを連れて先行しているんです。て、いうか大塚さんにさせられた。でも、あまりにもカカらなすぎて、別線に番手で粘られて逆に迷惑だったけど(笑)。

ーー柳詰選手の話をしていたのに園田選手への流れ弾、この流れはたまりませんね。

 カカらなさがひどすぎて外併走でも全然苦しくないんです。2角まで外併走だったのかな。初めて外併走から番手まくりしました。まあ、気持ちは伝わったしうれしかったですよ。

ーーこれを読んだ柳詰選手が真に受けなければいいですね。

 まあまあ。今ちょっと点数を持ってしまったばかりに下に見ちゃうんでしょう。GIにも出たし、勝負に対する気持ちやこだわりが芽生えたのかなと思えばかわいいものです。

ーーそれなら、次に一緒のときも中川-柳詰の並びでいいじゃないですか。

 そうなるでしょう。でも、これだけは聞く。「お前、一回でいいからGIの決勝で逃げ切ったことあるか?」って(笑)。

ーーかなり嫌な先輩ですね。そういうの、自分から言わない方がいいですよ。

 結局これが柳詰にとってはパワハラでしょうね。竜二さんがオレに、オレが柳詰に、柳詰が新納にって今回の久留米はパワハラだらけのシリーズでした。

隠れ読者が判明した川口雄太

久留米の話が盛り上がりましたが、高松の思い出もあれば…。

 レースはさておき(笑)、5月にコロナが5類感染症になったこともあり選手宿舎のサウナが復活していたのがうれしかったです。

ーーサウナ愛好家としてはテンションが上がった。

 久しぶりに競輪選手としての日常が戻ってきたと実感して辰兄(田川辰二)と汗を絞りだしていました。あと、久留米で会った川口(雄太)君がサウナ好きで、このコラムを読んでいると報告を受けました。

ーーまだ隠れウォッチャーがいましたか。

 あっちはサウナハットを被ってガチでした。「10大ニュース、読みました」ってウチの近所のサウナが閉店した話も知っていて、何だかうれしい気持ちになりました。全裸で。

妹の復帰を喜び姪っ子との関係も良好!?

ーーさて、読者のお便りで最近、妹の中川諒子選手に関する話題が多いです。4月に復帰をしましたが、お元気ですか。

 4月の岸和田で復帰して、もう何場所も走っています。産休で1年近く休んでいたんですよ。今はレースになるとウチに子どもを預けて行くんです。って、オレに関する話題がないから妹の話ですか。

ーー子どもさんがいると、お家はさぞかし華やぐでしょうね。

 家にはオレの母親とか子どももいて誰かしらが面倒をみられるので何かと便利なんです。

ーーやっぱり、かわいいですか。

 それがオレに慣れていないから泣くんですよ。姪っ子なんですけど“お前、何泣いてんだ。人の家に来て泣くとかあるか。オレはこの家の主だぞ。敷地に踏み入れた上に家主を見て泣くとかありえねーぞ。正座しろ”って感じがして。

ーーいじわるな伯父です。

 それも1歳児に。我ながら大人げない(笑)。でも、初めは顔を伏せて泣いていたのが1、2日経つと苦笑いをするようになってきたんです。

ーー雰囲気に慣れてきたのでしょうか。

 いや、いわゆる愛想笑い(笑)。しかも、その顔はオレにしかしないみたいで妹や母親は「こんな顔するところを見たことがない」と言っていました。

ーー怖いオジサンがいるって感じですか。

 ウチの子どもと遊んでいるときはキャッキャ笑うんですよ。でもオレが奥からヌッと現れると、泣きながらもムリヤリの愛想笑いを投げかけてくるんです。それも極上の(笑)。

ーーもっと寄り添ってくださいよ。

 あっちは思ったでしょうね。「コイツ何で1人だけいつも気難しい顔をしているんだろう? でもこのなかでは偉そうだぞ…」って。

ーーコイツを怒らせちゃいけないと。

 何かちょっと気をつかっておかないといけないぞ、みたいな(笑)。

ーー1歳の子でもわかるのですね。

 泣いている関係からその顔になって、コミュニケーションが段々と生まれてくるじゃないですか。おかげで3日目ぐらいからはちょっと近づきましたし、最後の方はもう泣かなくなりました。わかり合えてよかったです。

脇本雄太に誘われ上京し麻雀にいそしむ

ーー久留米と高松以外は普段は何をして過ごしていたのですか。

 基本はヒマなので特には…。ここで使えるエピソードって何かな…。そうだ、ワッキー(脇本雄太)に呼びだされて東京に麻雀をしに行きました。

ーー去年も同じようなことがありましたが。

 それが今回は本格的でした。Mリーガーやほかの麻雀プロの方たちに加えて、荒井(崇博)さんや(井上)昌己ら競輪選手も何人か参加した親睦麻雀だったんです。それも、ワッキーがプライベートで企画した完全なお遊びでした。

ーーメンバーはどんな方が。

 タッキー(滝沢和典)さんや二階堂瑠美さんや多井(隆晴)さんとか、もちろん木原(翼)君もいたし、かなり多かったです。たぶんワッキーのYouTubeとかで流すと思うので見てみてください。そういうことで、結果などの詳細はまだ話せないんです。

ーーそれだけのメンバーがいたら、何らかの本格的な大会ができそうですね。

 そうですよ。だけど、みなさん手弁当みたいで。競輪好きな方が多いし、ワッキーに賛同した人たちが集まってくれたんでしょう。

ーー話せる範囲で面白いエピソードがあれば教えてください。

 予選を4回戦って3、4、1、3位でした。1位を取ったときは奇跡的に倍満を上がって逃げ切りました。そのとき同卓だったのが、あの佐々木寿人さんでした。

ーー佐々木プロに勝ったってことですか。

 だから奇跡だったんですよ。バリバリの現役Mリーガーを相手に超初心者が勝ってしまったんですから。

ーーMリーガーと麻雀をするって麻雀ファンからすれば大変な話です。

 そう。要は値打ちがわかっていない(笑)。だから周りから「ぜいたくすぎる」とか「この人たちと打てるのは大変なことなんですよ」とか、あちこちから言われました。

滝沢和典プロ(左奥)は痛恨のやさぐれ卓へ

ーー滝沢プロとは同卓しましたか。

 1回ありました。(脇本)勇希を含めて一緒に。でも今回、タッキーさんはメチャクチャ負けていて。5戦目の順位決定戦では最下位卓でやさぐれていました(笑)。

ーー想像がつきませんね。

 それが、いたんですよ。ちなみにその卓には昌己もいて飄々と打っていました。

ーー他にはどのような方と同卓しましたか。

 プロだと前回お会いした本田(朋広)さん、愛内(よしえ)さん、あとは松ヶ瀬(隆弥)さんや猪鼻(拓哉)さんですね。あとはアオケイとe-SHINBUNの社長とか。

ーー最後の2人は随分マニアックですね。いい気分転換になりましたか。

 麻雀プロの方たちは競輪好きの人が多く、選手も麻雀好きが多いのでいい異業種交流会でした。とても勉強になったし、プロの一戦にかける取り組みを目の当たりにして、自分ももう少し競輪を頑張ろうと気持ちが入りました。

ーー今月も質問にお答えください。

Q、パワハラ、モラハラ、セクハラ数あるハラスメントを目撃してきた中川さんに質問です。中川さんがみてきたハラスメントの中で一番驚いたハラスメントは何ハラでしょうか?(神奈川県/50代/男性)

 まあ、ここでは言えないようなものを日常的に見てきましたよ。今回の久留米シリーズなんか屁でもないです。モラハラは先行屋と追い込みではそれぞれの競輪道が違うから食い違いはどうしても起こりますよね。

Q、今、流行しているChatGPTに「中川さんが今年のオールスターに出場できるか?」と質問したところ「わからない」との回答が返ってきました。「嘉永くんは出場できる?」という質問に対しては「可能性が高い」と返ってきました。AIの予測精度について中川さんはどのように思われますか?(神奈川県/50代/男性)

 これは素晴らしい。科学の進歩を感じます。競輪も把握しているとは少しうれしくなりました。AI用にデータを与える人が「中川誠一郎 骨折」とか「中川誠一郎 引退」とか打ち込んでいるところを想像すると少し笑えます。

Q、同県の西川親幸選手のエピソードが聞きたいです。全盛期の吉岡稔真さんを差せた数少ない選手だったので。福岡のK選手やS選手は裏不要でしたが西川選手は裏も押さえないと怖かったです。(北海道/50代/男性)

 西川さん、お世話になっていますよ。最近は奥さんの手作りの焼き菓子を差し入れしてくれます。「今回は誠ちゃんがいたんで、フィナンシェを持ってきました」って3つもらって食べました。ちなみに(松岡)貴久ももらっていたそうです。

Q、中川選手が会ってきたなかで、もっとも麻雀が強い競輪選手は誰ですか。(福岡県/30代/男性)

 合志(正臣)さんでしょう。昔は四六時中やっていて、むちゃくちゃうまくて。麻雀だけではなく勝負ごとは何でも強かった。大きなレースの前々検日とかに現地の雀荘にフラッと寄って勝負勘を養って、レースでも決勝に乗ったり。今はわかりませんが、規格外でした。

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中川誠一郎

Seiichiro Nakagawa

中川誠一郎(ナカガワセイイチロウ)。熊本県熊本市出身。日本競輪学校第85期卒業。日本競輪選手会熊本支部所属。師匠は従兄の瀬口慶一郎。 実妹の中川諒子は女子競輪選手、義弟の吉成晃一も競輪選手。2000年8月15日、ホームバンクの熊本競輪場でデビューし1着。後2日間も勝利し、デビュー場所で完全優勝。2016年日本選手権競輪(静岡)、2019年読売新聞社杯全日本選抜競輪(別府)、高松宮記念杯競輪(岸和田)を優勝している。好きな食べ物は寿司。

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