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加藤慎平のオニチェック!気になるあの選手のココを見よ!

【加藤慎平の選手解説】日本トップレベルのダッシュ力を誇る坂井洋、今開催は器用さが求められる一戦に

2023/05/17 (水) 15:00 38

元グランプリレーサーで競輪評論家の加藤慎平さんがビッグやグレードレースで推したい注目選手を紹介。競走データからは見えてこない選手の特徴を解説します。今回は18日から21日まで宇都宮競輪で開催される「ワンダーランドカップ(GIII)」で地元優勝を狙う坂井洋選手です。

“必殺捲り”以外の戦略でどれだけ1着を取れるかが鍵に

 今回紹介するのは、次世代のGIウィナーとして期待する坂井洋選手だ。イケメンながら、キャラクターは3枚目もいける。インタビューの受け答えもサービス精神豊かで、まさに好青年な28歳だ。

 そんな坂井選手の最大の武器は“ダッシュ力”。捲りのスピードとキレの良さはピカイチで、特に“踏み出し”と言われる1歩目の初速は、SS級をも凌駕する日本トップクラスだ。

 この瞬間的なトップスピードが活きるのが、“カマシ・捲り”のパターン。道中は前受けが理想で、残り2周になったらライバルを先行させてスピードをあげさせる。そしてラスト1周半あたりからペースが緩むものなら一気に加速して再び先頭に踊り出る。ワープしたかのようにライバルを飲み込んでいくのが、坂井選手の必勝スタイルと言える。

 宇都宮競輪で18日から始まるワンダーランドカップ(GIII)でも、坂井選手はこの形を基本として踏襲したいはず。このダッシュ、踏み出しの善し悪しが調子を測るバロメーターになるだろう。

 ただ当然、ライバルたちも捲りを警戒し、坂井選手の必勝スタイルを封じてくる。坂井選手が苦戦するパターンとして、中段に構えて内に閉じ込められたり、番手に回ってヨコの動きや捌きを求められた場面で脆さが出てしまうことを、車券を購入するファンは覚えていて欲しい。坂井選手と同番組に徹底先行タイプがいる時も同様だ。番手回りも器用にこなす自在性があるゆえにその策に溺れるシーンが稀にあるのだ。

 ワンダーランドカップ(GIII)は、同郷の眞杉匠選手が出場する。二人とも自力選手ながら、眞杉選手は持久力、トップスピードに優れた先行型なので、同番組に組まれれば、坂井選手は必然的に番手に回る形が濃厚だ。両者の持ち味を活かせれば鉄板級の強さだが、あくまで坂井選手が番手を守り切れたらの話。今開催の坂井選手は、器用さや安定感が求められるだろう。

 とはいえ、近年は総合力を増してきている。特に前場所の日本選手権競輪(GI)では、落車した翌日のレースで、捲りの形になりながらも1着をとった。これは間違いなく精神面でも成長が見られる証拠だ。番手回りの時には激しいブロックを浴びせる場面も見られ、レース運びに幅を見せているので関東地区は若手自力選手は心強いだろう。今節は自力、番手と坂井選手もバランサーとしての立ち回りを求められる場面が増えると思うのでより多くの引き出しの深さを見せる必要がある。

 今場所で、坂井選手がどのような立ち回りをするのか。若手ホープの飛躍に注目したい。

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加藤慎平

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々なメディアでMC・解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。筋トレ、サウナ、ゲームなどに造詣が深い。

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