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加藤慎平のオニチェック!気になるあの選手のココを見よ!

【加藤慎平の選手解説】47歳、佐藤慎太郎 完全無欠の安定感、追い込み型選手の理想形

2023/11/22 (水) 12:00 26

元グランプリレーサーで競輪評論家の加藤慎平さんがビッグやグレードレースで推したい注目選手を紹介。競走データからは見えてこない選手の特徴を解説します。今回は現在賞金ランキング3位、現在開催中の小倉競輪「第65回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」に出場中の佐藤慎太郎選手です。

完全無欠の安定感、追い込み型選手の理想形

 今回紹介するのは、福島・78期の佐藤慎太郎選手だ。11月に47歳を迎えてなおSS級で活躍する、日本を代表する追い込み型の選手だ。

 追い込みとは、簡単に言えば自力先行型の選手の後ろにつけて、勝負所でマークした選手を追い抜く脚質のこと。最後まで脚を温存できるメリットがある一方で、自力選手の実力やレース展開に影響されやすいデメリットがある。

 加齢に伴う身体的な老化に抗いながらも、慎太郎選手が第一線で活躍できるゆえんは、ずば抜けたレース勘と適応能力の高さにある。

 そもそも追い込み選手は、マークした選手の仕掛けについていき、ライバル選手とのポジション争いに打ち勝つ能力が必須となる。一見、前の選手についてくのは簡単に思いきや、案外至難の業なのだ。

 考えてもみてほしい。自力選手にも瞬発力や持久力に特化した様々なタイプがいるなかで、追い込み選手はいかなる状況でも、相手が仕掛けるタイミングに合わせて動かなければならない。

 しかも時速70キロ出ている状況で、かつ至近距離にいるライバルの動向を見ながらと考えると、追走するだけでも精一杯になってしまうのだ。その後も、ライバル選手をガードしたり、ラインの調整をしながら、一瞬でコース取りの選択やタイミングを見極める必要がある。

 周りの戦局に左右されやすい追い込みは、うまく機能しないケースの方が圧倒的に多いのだ。

 そんななか慎太郎選手は抜群の安定感を誇る。しかもマークした自力選手が不発に終わった時も、そこからのリカバリーで2〜3着に突っ込んでくるケースも多々みられる。

 自分よりも強いトップクラスの自力選手がいるGI級でも、窮地に追い込まれた立ち位置から、際どいコース取りと咄嗟の判断力で巻き返す姿は、まさに追い込み選手の理想形。まさに25年以上にわたり、トップクラスで追い込みを続けてきたレース勘と経験の賜物と言える。

 いわば慎太郎選手は、追い込み型のデメリットを極限まで抑えた完全無欠の選手なのだ。相手関係にも展開にも左右されないピカイチの安定感を誇る。

 当然、競輪祭でも、その能力をいかんなく発揮してくるだろう。

 ただ車券でネックなのが、安定しすぎているがゆえに、オッズが見込めないところだ。そこでオススメの買い時は、慎太郎選手が連係するラインが低評価の時だ。

 直近では寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメントの決勝では、慎太郎選手は2着に突っ込んできたが、連係するラインは1番人気が薄かった。こうした慎太郎選手以外のラインが本命になってるときは、逆に狙い目だ。

 今年も賞金獲得ランキング3位と、競輪界の中心で活躍する慎太郎選手。競輪祭でも存在感を見せつけてくるだるう。

競輪祭初日1走目はゴール前で南に差されたが、深谷の番手から2着確保。仕上がりは悪くない(写真撮影:チャリ・ロト)

佐藤慎太郎選手3行メモ
追い込み選手の理想形
マークする自力が不発に終っても2、3着確保
買い時は慎太郎選手のラインが人気がない時

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加藤慎平

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々なメディアでMC・解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。筋トレ、サウナ、ゲームなどに造詣が深い。

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