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場立ち予想屋 大津昌広のゼロからはじめる競輪予想

場立ち予想屋・大津昌広が教える競輪予想「先行選手同士の比較と作戦を推理することが大切」

2023/04/25 (火) 09:00 18

小田原・平塚競輪で場立ち予想屋として活躍され、netkeirin予想サービス「ウマい車券」では、わかりやすい見解が好評の大津昌広さんのコラム。3回目は大津さんがどのように予想しているのかを紹介します。

▶大津昌広の見解と買い目はこちら

ラインの先頭を走る先行選手同士の比較、作戦を推理することが大切

 今回から「ウマい車券」に提供した予想を使って、僕の競輪予想を皆さんに解説していきます。

 取り上げるのは、4月19日にいわき平競輪で行われた最終日12Rです。2人ずつの3つのラインと単騎1人の細切れ戦。3連単72.0倍を的中させることができました。

 出走表を見て何をすれば良いのか? 僕はラインの先頭で走る選手に注目しました。

【ラインと並び】
④①(混成ライン)
②⑥(南関東ライン)
③⑤(九州ライン)
⑦(単騎)

 先頭で走る選手は、先行(逃げ)や捲りなどで、自ら仕掛ける戦法をとることから、自力「じりき」選手とも言います。競輪は良くも悪くも自力が重要なので、彼らの力や調子、どんなレースをするのかを考える必要がありますね。”先行”、”逃げ”、”自力”と言い方は人によって異なりますが意味は同じです。ちなみに先行というのは、最終周回のホームストレッチラインもしくはバックストレッチラインを先頭で通過する戦法を指します。

 このレースの自力は3人。浅井康太選手は単騎なのでいったん外して考えます。

車番選手名競走得点
渡邉雄太111.22
山崎賢人98.25
木村皆斗100.23

 競走得点は山崎賢人選手が最も低いですが、これは日本代表として海外レースに出ていて、競輪を走っていなかった影響です。GIの準決勝で戦えるレベルの選手ですし、渡邉雄太選手と同程度の力はあると見て良いでしょう。実際は木村皆斗選手の競走得点が最も低いということになります。点数が10点違うと脚力勝負では相手になりません。

 次に3人がどんなレースをするのかを考えます。出走表の直近成績を見てくださいね。

 まずは木村選手。今開催は3日間開催でしたので、初日と2日目のレースをチェックします。初日は逃げ切って1着。他の選手の落車があり、恵まれた面はありました。2日目は人気薄でしたが、後方から捲って1着。3連単23,010円と穴車券の立役者となりました。展開の助けはありましたが、点数以上の走りで決勝に勝ち上がってきました。

 決勝でラインを組むのは成田和也選手。並びは木村選手が前、成田選手が後ろ(番手)です。成田選手はいわき平競輪場のある福島県出身。自分の番手を地元のエースで最も競走得点の高い成田選手が回ってくれることを考えると、木村選手は成田選手に迷惑をかけないため、先行すると考えました。

 僕の予想を買ってくれるお客さんに「同県同地区でもないのに逃げないでしょう」と言う方もいらっしゃいますが、自分より点数を持っている地元選手に任された自力は先行するんですよ。意気に感じますし、ましてや一流の技術を持つ成田選手ですから、安心して先行できますよね。

 次は渡邉選手です。彼は初日に成田選手ともう一人の選手とラインを組み、番手だった成田選手の前で走りました。徹底先行の中西大選手に主導権を奪われ、先行できずに捲って不発(4着)。成田選手に迷惑かけてしまう失敗レースでした。2日目は決勝と同じ染谷幸喜選手とのライン。レースは単騎の浅井選手が捲った後ろに巧く付けると差して1着。

 初日も2日目も先行していないから、決勝は先行してもおかしくないんですけど、僕は渡邉選手は3日目も先行しないと思いました。その理由は番手が染谷選手だからです。

 染谷選手は98.03点と、決勝メンバーの中では一番低い点数ですよね。低くても横の動きが得意な追い込み選手なら良いんです。だけど、染谷選手は横の動きが出来ない自力選手。渡邉選手は自分が先行しても、番手が横の動きができないと捲られたり、自分と染谷選手の間を別のラインの選手に分断される可能性がある。捲りやカマし先行の方が、自分も勝つチャンスはあるし、染谷選手にも迷惑をかけないと想像し、早めの先行は無いと読みました。カマし先行は他のラインがスピードを上げない段階で後方から一気にスパートして先頭に立ってゴールする戦法です。

 最後は山崎選手。初日は逃げ切り1着、2日目は決勝でもラインを組む中本匠栄選手の前で走り、打鐘からカマして逃げました。直線で中本選手に差され2着でしたが、先行選手として完璧な走りでした。

 山崎選手の3日連続先行はあるのか? 僕は2日目に中本選手の1着に貢献したので、木村選手と叩き合ってでも先行すると思えなかった。自分が先行する順番になったら先行するぐらいの気持ち…捲りの展開なったら後方で脚を溜めて1着を狙ってくるはずと考えたんです。

 木村選手:叩き合ってでも先行したい
 渡邉選手:先行しない
 山崎選手:自在に対応、捲りもあり

 単騎の浅井選手は、出来る限りスイッチして前目のラインの切れ目を回ると考えました。

 先行選手の考えを推理できたので、展開を考えてみましょう。

 木村選手は成田選手に迷惑をかけたくないと言っても、赤板(残り2周)から先行すると、格上の渡邉選手や山崎選手に簡単に叩かれてしまいます。だから、木村選手はスタートして前か中団を取って、渡邉選手か山崎選手を先に動かして、切ってもらった上を一気に木村選手がカマすと思ったんです。

初手・周回
 ④①が先頭か2番目

赤板(残り2周)
  ②⑥
 ③⑤ ④① ⑦

打鐘〜残り1周
④① ②⑥ ⑦ ③⑤

最終バック
   ③⑤
  ②  ⑦
④①  ⑥

 この場合、番手の成田選手が直線で抜け出して優勝という絵が浮かび、成田選手の1着頭を買いたくなりますが、僕は2、3着はあっても1着は無いと見ました。それは木村選手と渡邉選手や山崎選手、単騎の浅井選手との点数差です。10点近く違うとスピード差があるので、捲りを止めるのは難しい。

 例えば、木村選手が45kmのスピードで逃げているとします。その後ろから別のラインが60kmオーバーで捲ってきた時に、ブロックしようと成田選手が頑張っても止められません。強引なブロックであれば、止められるかもしれませんが、失格や落車のリスクを冒してまでブロックしませんよね。逆に木村選手が55kmのスピードで逃げていて、60kmの捲りだったら、スピード差も小さいので、成田選手の技術だったら止められるかもしれない。

 なので、成田選手は捲られると考えたので1着は厳しいけど、捲ったラインの番手の選手をどかして2着、もしくは捲ったラインの3番手にスイッチして3着と予想しました。「ウマい車券」の見解に書きましたが、地元だから2、3着と予想したわけではありませんよ(笑)。そういう”見えない力”を感じることはありますが、それだけで的中できれば苦労はしません。

 レースは山崎選手が凄いスピードで捲ってきて1着、2着は番手の中本選手、3着に成田選手が入りました。

 今回はラインの先行選手の力が拮抗していたので、作戦を整理して展開を考えましたが、先行選手の力が抜けている場合はその選手を軸にして考えます。GIIIの一次予選とかだと、「この選手から買ってくださいね」と言わんばかりに、強い先行選手が出走表に名を連ねていますので、素直にその選手から買うことが多いです。展開も難しく考えず、番手選手と裏表の勝負か、番手が離れることを想定して別ラインの自力選手を買うか、悩むのはせいぜいそれぐらいかと思います。

POINT 先行選手の力や競走得点が拮抗しているレースは、先行選手同士で比較して、どんな作戦を取るのかを考えてみよう

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大津昌広

Otsu Akihiro

親類に予想屋がいながらサラリーマンとして競輪とは無縁の生活を送っていたが、退職を機に予想屋に転身。小田原・平塚の場立ち台に立つ。選手の調子や特徴をベースにした展開予想はファンからの信頼が厚い。netkeirin予想サービス「ウマい車券」で予想を公開中。

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