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場立ち予想屋 大津昌広のゼロからはじめる競輪予想

【はじめての競輪予想】僕が予想する時の流れと予想の前に知っておきたいこと

2023/03/30 (木) 08:00 21

小田原・平塚競輪で場立ち予想屋として活躍され、『ウマい車券』ではわかりやすい見解が好評の大津昌広さん。競輪予想をゼロから楽しむための本コラム。2回目は大津さんが予想する際の流れを説明します。

▶大津昌広の見解と買い目はこちら

選手の力は競走得点と直近成績を照らし合わせて確認

 第2回は僕が予想する時の流れを説明していきます。

①出走表の競走得点を見る
②出走表の直近成績を見る
③展開を推理する

 競走得点は、選手の実力を数値化したものです。出走レースの着順によって付与されます。競輪には各レースに平均点が定められていて、先月の全日本選抜競輪(GI)の決勝レースだと128点。これは5着選手に付与される得点で、着が1つ上がるごとに2点増し、1つ下がるごとに2点減となります。この得点を合計したものを出走回数で割って算出されたのが競走得点。出走表に表示されているのは、直近4か月の平均競走得点です。

 ただ、競走得点だけでは選手の調子がわからない、見落とす可能性があるので、直近成績を10開催程度さかのぼってチェックします。

 例えば、競走得点が同じ100点のA選手とB選手がいるとします。A選手は直近3場所で決勝に乗っている、1着も多い上り調子。一方のB選手は落車明けの1走を走って、その前場所の成績も良くない。この場合は同じ100点でもA選手の方が買えると判断できるわけです。

 競走得点に関しての持論になりますが、前回のコラムで触れたように、競輪選手は戦法・脚質から「先行型」と「追込型」に分けることが出来ます。僕は「先行型」と「追込型」の点数差はあまり気にしません。レースで求められる仕事が違うので意味を感じないんです。トップ中のトップが走るGIレース決勝は別ですけど、それ以外は先行は先行同士、追込は追込同士の競走得点を比べて見たりもしています。

個の力で決まりにくい競輪、ラインの動きを推理することが大事

撮影:島尻譲

 選手の実力と調子を確認した後は、ラインとラインの中の並びを見て展開推理をしていきます。

 展開を推理する前に知っておいて欲しいのがラインです。

 競輪は最後の直線まではラインと呼ばれるチームを作って競走します。個の力以外にラインが加わるので、強い選手が絶対に勝てるとは限らない。競輪界最高峰に格付けされているS級S班の選手でも、ラインを構成する他の選手や、ラインの動き方次第でコロッと負けることがあります。後方のラインを警戒し過ぎて、最終3コーナー過ぎから追い上げても、前方のラインが早めにスパートしたため届かないケースなんかもあります。

 9車立てのレースで、ラインが3つある3分戦が説明する時はわかりやすいですかね。ラインは基本、選手が所属する地区で分かれます。天気予報の地区ではなく、競輪独特の地区分けですね。

選手の地区分け

地区都道府県
北日本北海道、青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島
関東茨城、栃木、群馬、埼玉、東京、新潟、長野、山梨
南関東千葉、神奈川、静岡
中部愛知、岐阜、三重、富山。石川
近畿福井、滋賀、京都、奈良、和歌山、大坂、兵庫
中国岡山、広島、山口、島根、鳥取
四国香川、徳島、高知、愛媛
九州福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、鹿児島、宮崎、沖縄

※関東は上越=新潟、群馬 甲信=山梨、長野 栃茨=栃木、茨城 埼京=埼玉、東京に区分けされることもある

 上のレースだと、⑦①④は関東ライン、②⑨⑤は中国ライン、⑥③⑧は中部ライン。同県や同地区、隣接地区でラインを組みますね。

 1つのラインに3人選手がいる場合は、先頭に先行型の選手、2番手、3番手に追込型の選手で構成されると考えてください。2番手と3番手の並び順は実力です。強い人ほど前の位置で走れます。

 先行型は自力、追込型はマークとも呼ばれますね。出走表の脚質を見てください。「逃」は先行型、「追」は追込型、「両」は先行と追込の両方をこなす選手です。先行型でも徹底的に逃げが得意なスタミナタイプもいれば、別ラインを一気に追い抜く瞬発力タイプもいます。各ラインは先行型の得意なスタイルを活かしたレースをしてくるので、選手の特徴は少しずつで良いので覚えていって欲しいですね。

 追込型の選手は先頭で風を受けることがないので有利ですよ。楽をする分、後ろから別のグループが捲ってきた時にブロックするのが仕事です。最後の直線で前の選手をちょい差しすれば良いから、みんな追込型になればいんじゃないか思うけど、まあ、それは後ほどの回でお話しますね。

 僕がお客さんに穴予想を提供するケースで多いのは、番手の追込型が本命の時です。ラインの先頭を走る先行型が後手を踏んだ時の共倒れが多いんです。番手がどんなに強くても自分が逃げるわけじゃないから前任せになる。実力があって開催初日の特選レースにシードされている追込型が準決勝に出走するじゃないですか。ラインの先頭を走る選手が捲りが得意で逃げることに消極的だった場合、捲りに回って届かずという事が起こります。

 強い選手がいるラインが、別のラインに蓋をされて力を発揮できない時もありますし、自分が強くても先頭を走る選手が別のラインの先頭選手との先行争いで共倒れに終わり、第3のラインが勝つこともあります。

 競輪界最強の脇本雄太選手ぐらい突出した力の持ち主なら別ですが、競輪は基本、個の力だけでは勝てません。ラインと選手の情報を頭に入れて、各ラインの先頭を走る選手はどこから仕掛けるのか、2番手、3番手の選手はどうサポートするのかを推理することが競輪予想では必要だと思います。

 次回も展開推理をするために必要な情報について説明していきます。

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大津昌広

Otsu Akihiro

親類に予想屋がいながらサラリーマンとして競輪とは無縁の生活を送っていたが、退職を機に予想屋に転身。小田原・平塚の場立ち台に立つ。選手の調子や特徴をベースにした展開予想はファンからの信頼が厚い。netkeirin予想サービス「ウマい車券」で予想を公開中。

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