閉じる
場立ち予想屋 大津昌広のゼロからはじめる競輪予想

「先行選手を分析して、逃げるライン、捲るラインを推理してみよう」場立ち予想屋・大津昌広が教える競輪予想

2023/05/16 (火) 09:00 25

小田原・平塚競輪の場立ち予想屋で、netkeirin「ウマい車券」の人気予想家、大津昌広が自らの予想を徹底解説。今回は人気を集めた脇本雄太の捲り不発で3連単万車券となった日本選手権競輪決勝。大津はどんな思考で的中にたどり着いたのか。予想のプロが教える的中のメソッドがここに。

▶大津昌広の買い目はこちら

逃げるラインを絞り込んで、予想の軸を作る

 競輪予想の醍醐味は、推理した展開通りにレースが流れ、車券が的中することにあると思います。

 日本選手権競輪(GI)決勝は会心の予想になりました。

 決勝進出選手が確定した際、堅く収まらない予感はしましたが、まさにその通りの結末になりました。今回は僕がどのように予想したかを書いていきます。

日本選手権競輪 決勝

大津昌広の予想印と的中車券の買い目

【ラインと並び】
①⑨(近畿ライン)
⑤②⑥(北日本ライン)
⑦③⑧(中四国ライン)
④(単騎)

 決勝の先行は、近畿ラインの①脇本雄太選手、中四国ラインの⑦犬伏湧也選手、北日本ラインの⑤新山響平選手。まず、この中で誰が逃げるのか推理することから始めました。

先行選手予想される作戦
脇本雄太犬伏が準決勝の様に前に出てから流さないので捲りに回らざるを得ない
犬伏湧也準決勝は脇本に逃げられて主導権を奪われた。同じ失敗を繰り返さないよう、積極的に逃げるはず
新山響平逃げれば犬伏と共倒れになるし、脇本が有利になる展開を作らないはず

 ④山口拳矢選手は単騎ですから、逃げるラインの直後に付けるはずと読みました。

「決勝は犬伏が逃げそうだな」とあたりを付け、展開を考えていきます。

 中四国ラインの先頭で走るのは犬伏選手。3月の大垣記念では逃げて優勝したように先行力があり、3人の中では逃げの決まり手が8回と最も多いのが特徴です。番手は昨年までS班で逃げても強い③清水裕友選手です。

 競輪では先行力のある二人が並び、別のラインが自分たちより格上の場合、先頭の選手が仕掛けて力がなくなったとき、番手の選手が引き続き先行体制を取る「二段駆け(番手捲り)」を採る可能性が高くなります。競輪界最強の脇本選手を倒すため、中四国ラインは必ず「二段駆け」の作戦を採ると考え、番手の清水選手に◎を打ちました。番手の選手は風の抵抗を受けず、駆け引きいらずで脚を温存することができます。ゴールに近いところで、誰よりも早く捲りを打てるので有利になります。

 ここで重要なのが、清水選手の調子です。有利な展開が考えられるとはいえ、調子が悪ければ、スピード抜群の犬伏選手を追走出来ず、追走できても脚を溜めることが難しくなりますよね。

 調子は直近成績をチェックします。今年、清水選手はグレードレースよりも下の格付けであるFI競走を走る機会が多く、大きな着もありましたが、勝つ時は自分で動いて勝っていたので、調子は悪くないと見ていました。日本選手権競輪では初日特選も自分で動いて2着、続くゴールデンレーサー賞は9着でしたが、内容は悪くありませんでした。準決勝は郡司浩平選手の落車がなくても、捲って勝っていたと思うので、調子は着順だけではなく、内容もチェックすることが大事です。

 次は北日本ラインの先頭で走る新山選手。逃げの決まり手が6回と逃げると強い選手ですが、逃げれば犬伏選手と共倒れの可能性もある。勝つためには、脇本選手をできるだけ後方に置き、清水選手に番手捲りを打たせてから捲ると推理しました。問題は新山選手が清水選手を越えられるかという点です。

 決勝で新山選手に求められるのは、バックストレッチラインよりも、もっと先の最終3コーナーから2センターにかけての短い捲りです。そこで新山選手の調子が良い時のレースを見返したところ、長い距離を踏む捲りでは結果を出していたんですが、遅めの短い捲りでは結果を残せていませんでした。瞬発力が問われる短い捲りは得意ではないのかもしれないですね。だから、新山選手は清水選手を越えられないと見て、重い印を打ちませんでした。

 このレースを制した山口選手は、先に書いたように逃げる中四国ラインの直後に付けると読みました。僕は「もし、自分が単騎だったらどこを回るか」を考えるんです。決勝で最も優勝のチャンスがあるのは、番手捲りを打つ清水選手の近くです。清水選手の後ろには同じラインの⑧香川雄介選手がいますから、香川選手の後ろが山口選手が狙っている位置。犬伏選手が逃げて力尽きることが想定されるので、実質3番手で直線を迎えることができるわけです。

 前に進むタテ脚は香川選手よりも山口選手があるので、山口選手を重視しました。山口選手が追い込み選手だったら2着までしか予想しませんでしたが、自力があって、短い捲りも得意な選手です。だから、〇山口選手が◎清水選手を直線で差す可能性もあると考え、1着としても予想しました。

果敢に逃げる犬伏(7番・橙)。優勝した山口(4番・青)は4番手に付ける(撮影:北山宏一)

 中四国と北日本がこれまで書いたように動けば、脇本選手は後方から捲ってどこまで迫れるかになります。直線で清水選手と山口選手を差す可能性も考え、3人の車券も買い目に入れましたが、レースでは捲りが不発に終わり7着に敗れました。本人もレース後コメントしていたように、犬伏選手が決勝に乗った段階で、厳しかったかもしれません。

大津昌広の見解

大津昌広の見解を見る

 競輪予想は以前のコラムでも書いたように、「選手の力」「選手の調子」「展開」をミックスして考えることが重要ですが、今回は「展開」に比重を置いた予想でした。展開を推理できるようになると、軸となるラインが決めやすくなりますし、高配当の車券を狙えるようになるので、予想の面白さが倍増しますよ。

POINT 予想に慣れていない人は、まず、ラインの先頭で走る選手の決まり手の数を確認して、逃げるライン、捲るラインを推理してみよう

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

場立ち予想屋 大津昌広のゼロからはじめる競輪予想

大津昌広

Otsu Akihiro

親類に予想屋がいながらサラリーマンとして競輪とは無縁の生活を送っていたが、退職を機に予想屋に転身。小田原・平塚の場立ち台に立つ。選手の調子や特徴をベースにした展開予想はファンからの信頼が厚い。netkeirin予想サービス「ウマい車券」で予想を公開中。

閉じる

大津昌広コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票