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【日本選手権競輪】成田和也「もう一度タイトルが獲れたら嬉しいだろう」/独占インタビュー後編

アプリ限定 2023/04/27 (木) 18:00 25

前編では昨年と今年を比較し、好調の要因や北日本ラインへの思いといったテーマで話が展開された成田和也選手へのインタビュー。後編では「日本選手権競輪への意気込み」を中心に「年齢との向き合い方」などもお聞きしました。成田和也選手直筆サインのプレゼントもありますので、ぜひ最後までご覧ください。※プレゼントへの応募はnetkeirinアプリ(無料)のインストールが必要です(取材・構成 netkeirin編集部 篠塚久)

激渋かつ激レア! 成田選手のnetkeirinポーズ

体の衰え感じてない

ーーここまで成田選手にインタビューさせてもらい、ベテラン選手のイメージを感じませんでした。「もっと脚力をつけていく」や「まだまだ強くなる」といった言葉が多く、これからのことしか見ていない雰囲気がビシビシ伝わってきます。

成田 実際にその「ベテラン選手」って自覚がないからだと思います。もっと練習したいし、その結果としてもっと強くなれると考えています。まだまだ向上したい気持ちしかないです。

ーー失礼な聞き方になるのですが、40代を迎えて体の衰えを感じることはないですか?

成田 幸いなことにあまり感じていません。もちろん「オレも若くはないんだろうな」とは思っています。怪我をしないように調整したり、それなりには気を遣うようになりました。20代の頃はどれだけ練習しようが、どれだけ気を遣わなかろうが大丈夫でしたけど、さすがにその頃と今は違うと思うので。でも体力的な落ち込みは想像していたものよりも小さいのは間違いないですね。

ーートレーニング方法で新しく始めたことなどは?

成田 ウエイトトレーニングなどは基礎的なものだけに絞って、あとはジャンプ練習など陸上競技の練習を取り入れています。

ーーフィジカル面以外で、20代の頃と今を比べて変化したことはありますか?

成田 レース展開を読む力や“勘”の部分に至るまで、経験によって好転したものは感じています。まだまだですけど、ブロックやヨコの技術は実戦からしか学べない。レースの中での選手同士のスピード差だったり、後ろから来る選手の特性だったりで「どんなブロックが有効か?」などは経験でしか養われない部分があります。1走1走が勉強になる、そんな考え方も変化してきたように思います。

1走1走に学びがあり、その蓄積が経験になる(photo by Shimajoe)

タイトルホルダーとしての気持ちはない、だが“執念”はある

ーーそれでは日本選手権競輪の話をお聞かせください。成田選手は2012年に優勝してダービー王になっています。タイトルホルダーとして開催に向ける特別な気持ちは?

成田 ダービー王などもう昔の話ですし、まったく特別な気持ちはありません。当時を思い出すと、決勝は山崎の番手を走り、ラインあってこその優勝でした。「日本選手権で結果を出したいから特別なことをする」というのは違うと思います。もちろんGI開催のムードは特別なムードがありますけど。でも普段のレースの中で、いかにラインの中で走っているのかが重要だと思います。評価や信頼を地道に積み上げることが、大きな舞台でのチャンスに繋がると思いますし、それこそ1走1走が大事。

ーー「ダービー王として」みたいな考え方はないのですね。

成田 ないです。そもそも「ダービー王」みたいな扱いは現場では一瞬でなくなります(笑)。

ーー今年は平塚競輪場での開催ですが、バンクとの相性や印象について教えてください。

成田 自分の中ではとても走りやすいバンクです。いいイメージがありますね。相性も悪くないですし、平塚の独特な雰囲気も好きですね。

ーー普段からバンクとの相性は気になりますか?

成田 はい、意識しています。不思議なもので失格をしてしまったり、ネガティブなことが起きたりするバンクは意外にも同じところだったりするんですよ。「またここか…」って。相性って本当にあると思います。でも相性が悪いからと避けたり逃げたり弱腰になることはありません。ここ最近、相性が悪いと思っていたバンクでも勝てるようになって、逃げなくてよかったと嬉しくなったこともあります。

ーー(インタビューを聞いていた東スポ前田記者が)成田選手は“執念深い人”だと感じます。成田和也という男の執念…、これが魅力的。大量のお酒を飲んでもらってから、いろいろな話を聞いてみたくなる。

成田 ははは、当たっているかもですね。嫌なこと、ネガティブなことがあれば、むしろそのポイントを取り返しにいきたくなるというか(笑)。

苦手意識から逃げずに立ち向かうのが成田和也イズム(photo by Shimajoe)

ーーちなみにダービーですが、特別注意すべき選手はいますか?

成田 特別注意する選手か…。(しばらく考えてから)気にしなくてはならない選手ばかりで対象が多過ぎます。毎レース毎レース注意しなくてはいけない選手と対戦することになるでしょうね。注意は自分に向けて、隙を作らないことを念頭に戦って行くしかありません。

ーー昨年と今年を比べて状態はいかがでしょうか? 昨年の地元GI開催は調子を上げている中でも勝ち上がれず悔しかったように思います。

成田 たしかに昨年は調子自体悪くなく、地元のGIを決勝で勝負することが目標でした。だからとても悔しかった。今年も今のところ状態も悪くないので、しっかりと優勝を狙えるように自分の調子を上げて乗り込みたいです。

ーー目指すは優勝一点のみ、ですね!

成田 大きいことは言いたくない性分ですけど。乗り込むからには優勝を目指してやるだけです。とても難しいことだと思いますけど、その一点を狙うつもりです。

頂点に狙い定める(photo by Shimajoe)

ーー大怪我をしても気持ちが折れないとか、自分の道理を通すとか、成田選手は自分の核を信じて、我が道をゆく人でした。そして執念深く。クールでスマートなイメージが変わりました。

成田 クールなどはよく言われますが、ただボキャブラリーがないだけです。全然スマートでもないです。自分の気持ちを切り替えることもできないし、不器用なまま進んでいる感じです。検車場に入ったらすぐに集中しないと気持ちが整わないですし、そんな性格だからワイワイすることもありません。傍で見ていて慎太郎さんなんて本当にスマートな人だと思いますよ。レース直前まで場を和ませて周囲に気配りすることもできるし、ご存じの通り話が上手い。自分よりも圧倒的に細やかな感覚を持っている。レースに入る直前のタイミングで、スッと気持ちを切り替えて“オン”にしちゃう。正直すごいですよ。

ーー成田選手から見る慎太郎さん!

成田 イメージの話になると「慎太郎さんと対照的」みたいなこと言われること多いんですが、持たれているイメージが真逆だなと思うことってあるんですよ。自分の方が大雑把で、スマートさのカケラもないと思います。

結果がご褒美、走れるだけで嬉しい

競輪選手を真っすぐに、ただひたすら真面目に取り組む(photo by Shimajoe)

ーー成田選手は趣味や娯楽といったことに興味がないと聞きました。リフレッシュ方法や賞金の使い道など、プライベートなトピックも聞いてみたかったのですが。

成田 まったくないですね。リフレッシュと言えば家族でご飯に行くくらい。特別なリフレッシュ法はないですね。賞金の使い道にしても話は広がらないです。昔、ビッグレースを獲った記念に高級時計を買った先輩がいまして。それいいなと憧れて自分も買ったことはありましたけど、そもそも興味がないから続かない。自分へのご褒美なんてないし、それこそGIの決勝に何度も乗れた昨年は「結果がご褒美」みたいなのを本気で思っていました。

ーー結果がご褒美ですか。競輪選手になってよかったと思うときはどんな時ですか?

成田 これ結構あるんですよ。頻繁に思っているかもしれない。極端ですが『万全の練習をして開催に向かい、無事に出場するだけ』で競輪選手になってよかったと思っています。よくわからないまま勝った「SSシリーズ風光る」も嬉しさがありました。でも今からもう一度タイトルを獲れば、本当に充実感があって嬉しいだろうなと想像します。今年チャンスはあると考えているので、いっそう練習に励みたいと思います。

ーーもう一度のタイトル獲得、応援しています。成田選手は座右の銘はありますか?

成田 『塞翁が馬』ですかね。若い頃からいつもそんな気持ちを持っています。怪我をしてから特に意識していますね。昨年の成績も予測していないものでしたし、人生何が起きるのかわからないことばかりです。

ーーさいごにファンへのメッセージと2023年の目標を教えてください。

成田 いつも声援をありがとうございます。応援してくれる人達の声は届いていますし、その声が戦う力に変わっています。ファンのみなさんには良い時も悪い時も助けられていると感じています。ファンの方がいなければ競輪は走れない。今年は1走でも多く車券に貢献することが目標です。そのために常にレベルアップをしていきます。2023年はその成果としてグランプリ出場に繋がるように頑張りたいです。

栄光を目指してレベルアップを誓う

インタビューを終えて(おまけ)

 取材日は年間好プレー大賞の授与式の撮影日だったため、東スポ・前田記者もインタビューに同席していた。帰り際、成田選手と前田記者が盛り上がっていた。

成田 やっぱり話すのって苦手。大丈夫でした?

前田 大丈夫も何もイイ感じでしたよ。変わらず無骨というか。“らしさ”が出ていました。netkeirinがこんな感じなら、東スポでは「成田和也の執念深さ」のみを掘り下げてみたくなる(笑)。“変わらず”で思い出したけど、成田さん静岡記念あたりで髪伸ばしてませんでした? 記者たちでざわついたんですよ。「外見が変わらない成田和也! いよいよイメチェンを図っているのか!」って。

たしかに伸ばしている(photo by Shimajoe)

成田 髪は深谷にも言われましたよ(笑)。最初はたまたま切り忘れちゃって伸びたんだけど、周りに伸ばしている人も多いし、自分も伸ばしてみようかな?って。そしたらああなった。でも髪型なんかに興味もないし、すぐ切っちゃいましたね。

前田 一瞬だけでもわずかにイメチェン願望があったんですね(笑)。

成田 ちょっとね(笑)。まあ、そこ掘り下げるのはやめてよ。

前田 守澤太志選手くらいの髪色チャレンジをお待ちしています。みんな驚くんだろうな〜。

成田 さすがにオレがやったら変でしょ。柄じゃないからね(笑)。

【インタビュー後記】

 ひとつひとつの質問に対して、じっくり言葉を選びながら応じる姿が印象的だった成田選手。「大きいことは言いたくない性分ですけど。乗り込むからには優勝を目指してやるだけ」の声色は強いトーンで、好調に自信あり。ハッキリと頂点を見据えている様子が垣間見えました。日本選手権競輪、成田選手の奮闘に期待大!


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