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鈴木誠のハイブリッド展望

【瀬戸の王子杯争奪戦予想】松浦と荒井を従えるのは、自転車競技で世界に通用する脚を証明した太田! 突っ張り先行でラインの2人に勝利をもたらす!/鈴木誠の展望

2023/03/29 (水) 12:00 8

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は玉野競輪場で開催されている瀬戸の王子杯争奪戦の決勝レース展望です。

関東ラインがレースの主導権を握った時に浮上してくるのは番手の坂井!

 準決勝ではS級S班の新田選手が4着に敗退。また、初日の特選を勝った稲川選手を含めた、近畿ラインも決勝に残れなかったなど、今年の【瀬戸の王子杯争奪戦】は連日のように波乱が起きています。

 ただ、UCIトラックネーションズカップで、優秀な成績を残した後の大会となる、太田選手が出走したレースだけは、比較的堅く収まっています。

 これもラインできっちりと決着をつけるような、太田選手のポテンシャルの高さがあるからと言えます。準決勝では前を切られてしまったことで、突っ張り先行とはなりませんでしたが、それでも後方6番手から捲っていくと、何とか3着に入着して、決勝に駒を進めてきました。

 この決勝で太田選手は、中国の総大将とも言える松浦選手、そして九州の荒井選手も従える形で、瀬戸内ラインを組むことになりました。

 他のラインですが、関東ラインが森田選手-坂井選手-吉澤選手。南関東ラインが渡邉選手-小原選手。そして佐藤選手は位置を決めずに単騎となっています。

 このメンバー構成と並びで、確実に先行してきそうなのは太田選手です。しかも1番車が松浦選手なので、突っ張り先行も充分に考えられます。

 ただ準決勝と同じように、他のラインがそうやすやすと太田選手に主導権を渡すとは思えません。

 車番的に後方となっていそうな渡邉選手が抑えに行って、中団に入っていた森田選手が先行体制に入ってしまうようなら、太田選手の世界にも通用するスピードは、また不発に終わる可能性も出てきます。

 今回は太田選手が突っ張った場合、そして7番手に引いた場合での予想を考えてみました。まずは突っ張った場合ですが、その場合は松浦選手の番手捲りが決まりそうです。

 ただ、今大会の松浦選手は1度も1着が無いように、そこまで調子が良くありません。それでも【ウィナーズカップ】の決勝でも証明された見極めの良さ。そして、横の動きにも証明されているセンス溢れる走りで、上位に来ているのは見事です。

 ただ、突っ張り先行をした太田選手が早駆けしていくようだと、ゴール前で後ろの荒井選手に交わされたり、中団に控えている森田選手や、坂井選手の強襲に遭う可能性もあると見ています。

 引いて7番手からのレースとなれば、先行するのは森田選手となります。玉野バンクは形状的に捲りが決まりづらいだけに、太田選手と言えども、7番手からの巻き返しはなかなか大変です。

 むしろ、森田選手の番手を回っている坂井選手に勝機が訪れますが、坂井選手も絶好調と言えるような状態ではありません。後ろの吉澤選手、そして別線の渡邉選手が頭となる車券も抑えておくべきでしょう。

 単騎の佐藤選手の初手は、先行意欲のある瀬戸内ラインの後ろを選択すると思いますが、もし、太田選手が突っ張れなかった場合は、先行していったラインの後ろに切り替えていくはずです。それでも優勝まで届くのは難しそうです。

 いずれにせよ、決勝戦は太田選手の仕掛けが鍵を握ることになります。記念大会における決勝の常連も揃っていますが、そこまで調子のいい選手も見受けられないだけに、突っ張り先行をした太田選手が、そのまま押し切ってくれないかな? と期待したくもなってきます。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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