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鈴木誠のハイブリッド展望

【ウィナーズカップ予想】S級S班3人で並んだ北日本か近畿のゴールデンコンビか 風切る古性がここで脇本に借りを返す/鈴木誠の展望

2023/03/21 (火) 12:00 6

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は別府競輪場で開催されているウィナーズカップの決勝レース展望です。

道中で脚を使いながら仕掛けられる古性はどんな展開になっても安心

 別府湾にほど近い場所にある別府競輪場は、その日の風によって、バンクコンディションがガラッと変わってきます。準決勝が行われた3日目は風の影響が無かったこともあってか、先行選手が比較的残りやすくなっていました。ただ、見なし直線が長いために差しが決まりやすく、傾斜の無いバンクだけに3コーナーで仕掛けていくと、外に膨らみやすくもなります。

 それだけに実力の違いだけでなく、どんなバンクでも勝ち方を知っているS級S班の6名が決勝に進んできたのも納得がいくところです。一方、福田選手と嘉永選手はこれが初めての“ビッグ(特別競輪)”の決勝となりました。

 S級S班の6名の中でも出来良さが目立っていたのは古性選手です。準決勝でも捲っていった時のスピードが良かっただけでなく、決勝メンバーの中でも一人だけ切れが違っていた印象を受けました。

 一方、古性選手とは近畿のゴールデンコンビを形成している脇本選手ですが、腰痛の影響も残っているのかまだ万全の走りには戻ってはいないようです。

 準決勝も落車が無ければ、平原選手や山口選手に先着されていた可能性もあっただけに、それが決勝での近畿ラインの並びにも表れたと印象を受けます。

 その決勝の並びですが、近畿ラインはこれまでとは違って、古性選手の後ろに脇本選手。3車が乗った北日本ラインは新山選手-新田選手-守澤選手。九州ラインは嘉永選手-山田選手となり、混成ラインとなったのが松浦選手-福田選手です。

 人気を集めそうなのはS級S班が3車で並んだ北日本ラインとなるでしょう。ただ、その北日本ラインを向こうにまわしても、何かをやってきそうなのは古性選手だと見ています。

 古性選手は今年の全日本選抜競輪を優勝して、既にグランプリの出場を確定させています。そうなれば、脇本選手をグランプリに連れていきたいと思うのは明らかであり、これまでの借りを返すべく、早めに仕掛けていっても不思議ではありません。

 また、脇本選手が1番車に入ったことで、古性選手はレースの組み立てがしやすくなりました。仮に前受けをせずに新山選手を先に行かせてからの4番手をキープした場合だと、車番的には6番手に松浦選手-福田選手が入ります。

 8番手となった嘉永選手が北日本ラインを抑えに行ったのを見て、松浦選手と古性選手が先行体制へと入ります。そこで新山選手がかましていった時に、古性選手は番手に飛びつく、もしくは4番手に引いてから、早めに出ていく作戦も選択できます。

 これも古性選手の横の動きの強さ、そしてレース運びの上手さがあってのことです。この決勝でも後手を踏むことは無いでしょう。脇本選手も本調子では無いと言えども、古性選手の後ろからの番手捲りならば、北日本ラインを交わし切るのは可能だと思います。

 早めに仕掛けた古性選手が残れなかった場合、脇本選手の後ろにいる松浦選手、そして、新山選手の後ろから番手捲りをしてくる新田選手と守澤選手が脅威となります。今大会の守澤選手は調子もいいだけに、北日本ラインから車券を買う場合は、守澤選手を頭にした予想を組み立てたいところです。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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