2023/03/03 (金) 12:00 25
大垣競輪場で3月4〜7日に開設70周年記念「水都大垣杯(GIII)」が開催される。2月高知のGI「第38回全日本選抜競輪」で大会連覇、4回目のGI優勝を手にした古性優作(32歳・大阪=100期)が出場する。脇本雄太(33歳・福井=94期)の番手で手にした勝利だが、脇本の走りに何を感じたのか。
印象的な言葉が「脇本さんとは選手としての格の違いを感じる」というものだった。GIを制してなお、そこにいる自分と脇本の価値に差を痛感していたようだ。実際の2人の連係は練り込まれ、寸分の隙もないものと言える。2人の距離は近づいているが、存在そのものは遠ざかっているのだ。
選手としての格ーー。
古性は準決、決勝と脇本の後ろで興奮したことだろう。2日目スタールビー賞では失敗の形だったが、脇本から感じるものが多い開催だった。荒削りの完成系とも思える古性の走り。燃えるような攻め。だが、脇本に比べれば、足りない…。古性もまた、競輪の求道者として一線を超える。
だからこその今回、何を見せてくれるのか、楽しみだ。
S班は古性のほか、平原康多(40歳・埼玉=87期)と新山響平(29歳・青森=107期)が出場する。2人は今年、いいスタートを切れていない。
平原は2月奈良記念の落車もあり、動きそのものが好調時とは違う。また、関東連係を活かせないケースがあり、もどかしいものがあると思う。年齢は感じさせないものの、年上であることや実績が若手選手とかみ合っていない感じだ。本人はもっとのびのびと走りたいと思うが、今は閉塞感がある。
今回一緒の吉田有希(21歳・茨城=119期)は性格的にもそうした暗い影を吹き飛ばせる存在だ。有希との連係で、「平原との連係」のモデルケースを作り出したい。今年も平原が輝くことが、関東の来年につながる。
S班1年目に苦しむケースはある。新山は今、そう見える。先行で、先行にこだわって、この位置に来た。しかし、S班の赤いパンツは結果を残すことが求められる。“先行”という結果だけではないものを多く秘める戦法で戦ってきたので、ファンサイドからも評価は難しいだろう。
そこを乗り越えて新山らしい赤いパンツのレーサーになれるのか。GIを一戦走り終えた後、より注目が集まる4日間になる。
S班勢がそれぞれを抱える中、彼らを、地元の主役として山口拳矢(26歳・岐阜=117期)が優勝のみを求めて挑む。全日本選抜を走れずも、伊東GIIIで結果を残した後だ。見ているところ、を示す重要な機会。
競輪界を変える男、として期待を集めている。そこから逃げない戦いを、待とう。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。