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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【全日本選抜競輪予想】好調?不調?脇本のレース傾向から展開を考える/ヤマコウ展望

2023/02/26 (日) 12:00 48

 第38回全日本選抜競輪決勝メンバーが出揃いました。ラインとメンバー構成は以下の通りです。

①脇本雄太(福井・94期)ー⑦古性優作(大阪・100期)ー⑧三谷竜生(奈良・101期)
②新田祐大(福島・90期)ー⑨守澤太志(秋田・96期)ー⑤成田和也(福島・88期)
④吉澤純平(茨城・101期)ー⑥香川雄介(香川・76期)
③浅井康太(三重・90期)

 今年の全日本選抜決勝は、いつものメンバーですが何か微妙に違います。関東勢の常連が勝ち上がっていないからです。

 関東はどこに行っても層が厚く、昨年の京王閣記念決勝は9人中8人関東の選手が占め、今年の大宮記念はあえて関東の自力選手の斡旋人数を減らしたように感じました。今節の関東勢が振るわなかったのは、核となる平原康多(埼玉・87期)がピリッとしなかったこともありますが、一番大きいのは眞杉匠(栃木・113期)が不調だったからでしょう。

 初日は1着を獲りいつもと変わらないように見えましたが、レース内容は新田祐大を出させて3番手追込み。2日目は脇本を出させて5着、準決勝も脇本に主導権を取られて7着で決勝に進めませんでした。初日、2日目で走りが読まれてしまい、肝心の準決勝は2日間のフリが効いてなかったことが最大の敗因でしょう。次回までに立て直せるか気になるところです。

 さて決勝戦ですが、脇本雄太の調子がイマイチ掴めません。「奈良記念を腰痛で欠場した影響はあるのか」を探る3日間でした。初日、新山響平が捲った上を捲り、上がりタイムは破格の13秒6。体調は問題ないと思いましたが、2日目先行態勢に入りながら新山にカマされました。「あれ?なんか違うな」と思った次の日の準決勝、古性優作に楽々と差されました。古性の調子がいいこともありますが、昨年暮れから2月までの脇本ならば差されていなかったと思います。

 悲観的なコメントが多い脇本ですが「日に日に調子が落ちている」は本心でしょう。対して新田は仕掛け所を逃さない走りをしています。「昨年の不調期を経て流れを見ながら順応できている」と苦しい時期がレース勘を養ったと思います。

 脇本はインで粘らないので、後ろの選手が前に出ると中団のラインがそれに続きます。これが、彼が走るレースの大まかな展開です。中団に入った選手は後ろの脇本が仕掛けなかったら「先捲り」が打てるので動かない。そこからは脇本の仕掛け次第。このレースをイメージすると、脇本が前受けしたら後ろ攻めのラインが先行を余儀なくされ、脇本が後ろ攻めだったら前受けのラインが先行させられる可能性が高いです。決勝は、①脇本が前受けなら中団②新田、後ろが④吉澤。脇本が中団や後ろ攻めなら前受けしたラインが先行を余儀なくされます。その理由から先行態勢に入るのは④吉澤だと考えました。とりあえず①脇本前受けで考えます。

S.①⑦⑧ ②⑨⑤ ③ ④⑥

 ①脇本は誘導員を追い掛けず、スピードを落として後ろの動きを誘うので④吉澤が動きやすい展開になるでしょう。そこに続くのが②新田。

打鐘.④⑥ ③ ②⑨⑤ ①⑦⑧

 ここで①脇本が②新田のことをどう思っているのか。和歌山GIII決勝戦、脇本が仕掛けたのは打鐘前の2角。前受けの新田は①脇本が横に来るまで流しながらダッシュしていました。そして、最終ホーム前の4角で「脇本1車かな?」と思って踏み止めました。そこで古性に追い上げられ新田は負けました。低速から踏み込む②新田のダッシュは①脇本も当然分かっていると思うので、②新田に睨まれると手強いと感じるレースだったと思います。

 打鐘〜ホームで①脇本が仕掛けたら近畿勢で決まるでしょう。もし①脇本が仕掛け損じた時、展開が有利になっているのは誰か。私は⑨守澤だと思います。

     ←①⑦⑧
B.②⑨⑤ ③
    ④⑥

 高知競輪場は最大カント24°29′の皿バンクなので、自転車が外に流れ捲りづらい。⑨守澤から狙いました。

・狙い目
9ー257ー235678

 ⑨守澤は、⑤成田や佐藤慎太郎(福島・78期)の前を回るまで信頼を勝ち取りました。タイトルに相応しい選手だと思います。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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