2023/02/12 (日) 12:00 60
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
静岡記念競輪たちあおい賞争奪戦決勝メンバーが出揃いました。車番、ライン構成は以下の通りです。
⑧渡邉雄太(静岡・105期)ー①深谷知広(静岡・96期)ー⑦郡司浩平(神奈川・99期)ー⑥佐々木眞也(神奈川・117期)
⑨清水裕友(山口・105期)ー②松浦悠士(広島・98期)
④吉田拓矢(茨城・107期)ー⑤守澤太志(秋田・96期)ー③成田和也(福島・88期)
①深谷が⑧渡邉の番手を回るので有利に進められそうです。⑧渡邉は静岡に深谷が移籍することで影響を受けた選手です。トレーニングやレースに対する姿勢が刺激になったことでしょう。そんな深谷に恩返ししたい気持ちは当然あると思います。昨年12月の伊東記念初日は、そんな渡邉の気持ちが感じられるレースでした。しかし、①深谷も⑧渡邉に先行ばかり求めるわけではないので、静岡記念の準決勝は自由に走らせています。その中で深谷は結果を出そうとしています。
①深谷の凄いところは、番手を回ることを決意しながらも自分がラインの先頭を走る時は先行基本で走るところです。そして、不器用ながらも番手の仕事をこなそうとしています。彼は、自分が信じる道を突き進む胆力があるので、若手選手が台頭しこれからタイトルを狙うには「番手も回れること」と考えたのでしょう。必死で前の選手の動きに付いて行こうとしています。その一定の成果が静岡の準決勝で出たと思います(渡邊雄太と連結は外したのは失格を考慮したのでしょう。)
前を回る選手を見限り、付いて行こうとせず自分で捲るのはラインの意味を履き違えています。後ろを回るということは「勝負を前の選手に預けた」意味ですから、前の選手の勝負を見届けた後が自分の出番だと思います。その意味で深谷は番手の仕事をこなしたと言えます。しかし、ヨコの動きはタイトルを狙える選手から見たらまだ甘いので、決勝は勝負所で狙われる可能性もあると思います。
では、南関勢はどの初手がいいでしょう。確実に主導権を取りたいのなら前受けから突っ張ることです。しかし、そうすると突っ張られたラインが、①深谷のヨコで勝負に出るかもしれません。南関勢はあまり得策ではないですね。理想は中団です。後ろになったラインが⑧渡邉の横で勝負することはないので、⑧渡邉をフタしてカマシ勝負です。④吉田と⑨清水の勝ち上がりを比較すると⑨清水が積極的に動いてますね。④吉田はムダ脚を使いたくないので前を狙うと考えました。
S.④⑤③ ⑧①⑦⑥ ⑨②
⑨②
2周.④⑤③ ⑧①⑦⑥
←⑨②
打鐘.④⑤③ ⑧①⑦⑥
←⑧①⑦⑥
H.⑨② ④⑤③
B.⑧①⑦⑥ ⑨② ④⑤③
この形勢なら①深谷が優勝するチャンスです。
・狙い目
1ー7ー69245
⑧渡邉が⑨清水を叩けなかったら最終バックはこうなります。
←①⑦⑥
⑧
B.⑨② ④⑤③
⑨清水はデキがいいので②松浦に展開が向くでしょう。⑧渡邉の外を捲る①深谷が届かないパターンです。
・穴目
2=17ー1457
昨年の防府記念の準決勝、⑨清水は前を走る②松浦の動きを見誤って沈めてしまいました。そのことも清水が名誉挽回の走りをするのではないかと考えました。その点だけでも俯瞰して見ると、また違ったレースの見方ができるので楽しめますよ。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。