2023/01/31 (火) 18:00 35
読者の皆様
ご挨拶が遅れましたが今年も『netkeirin』そして『浅井康太』をよろしくお願いします。
それでは、今年一発目のコラムに入っていきたいと思います。
人生の中で、こんな場面を目にした事があるのではないでしょうか!?
新生児が音や光、振動など何かの刺激で反射的に手足が伸びる。
嫌なことがあればモノを投げる子供(大人でもやる人いますね笑)。
イラっとなって、胸ぐらを掴んだり、すぐに手がでたり…。車の運転中ならばアクセルを踏んで加速や煽り運転。
何らかの刺激において起こる“伸展”。
この伸展を我慢することで人は成長できると私は思っています。
いつもイライラしているそこの大人!! そろそろ我慢を覚えてみてはいかがですか?
歳をとれば、周りは「あの人は丸くなった、優しくなった」と言いますがそうではありません。
その人なりに“我慢”を覚えて成長しているのだと思います。我慢をしている時こそが考える時間になり、何かに気付き、それが何かの発見に繋がっているのだと思う。
いつもイライラしている先輩や上司。
いつもオラオラしている先輩や上司。
子供のようにすぐ人や物にあたる後輩や部下。
人の事をいつもまでもグチグチ言う奴ら。
このような人達から学べることは…一つとしてありません。是非、付き合う人を選んでみてください。
無駄を理解してから排除していくことはとても大切です。今より更に能力を開花させる為に…。
柔らかい身体がいいと思っていませんか!?
運動する人は基本的に“可動域”を求めたがる。
もちろん可動域は大切なのかもしれないけれど、私はそうとは思わない。そのため、トレーニング前やレース前のストレッチをする事はほとんどありません。世間一般からすると「絶対にやるべきだ!!」という声が出てくるだろう。
ただ、それは“世間一般”の話であって…。
この“世間一般”は曲者です。
“世間一般”より知識のある人達がトレーナーや教える側になっています。「世間一般レベル」というのは大衆ウケをする場所です。そして、SNSを使い発信することで一発逆転を狙う。皆、お金儲けのためにやっています。
言っておきますが“世間一般”のトレーニング理論なんて基礎の基礎。アスリートがやるべきトレーニングではない。それを頭の隅っこにでもいいので置いといて下さい。
勉強で例えると五十音を覚えるくらいのレベルではないでしょうか。それならまず始めにゆっくりとウォーキングからやってみるといいですよ!! アスリートも一般の方も全員ね。
さて、ここで少し考えてみましょう。
筋肉を伸ばすこと(ストレッチ)で可動域を得られると考えられています。伸ばすことで自分自身は稼働しているのでしょうか!? 可動域は確保されても“稼働する能力”は果たして出ているのかというところです。
“伸展”の話に戻りたいと思います。
文頭に書いた刺激による伸展の動き。赤ちゃんや子供の頃から起こる、刺激による伸展を大人になってもやる。これはただの“単細胞”な人間です。スポーツでいえば、筋肉バカといえるのかもしれません。
「普段怒らない人が怒ると怖い」というのを聞いたことはありませんか!? 我慢して我慢して我慢したからこそ“収縮“した筋肉や気持ちが一気に解放され、伸展する。だから、威力が高いのです。その収縮した部分こそが稼働をしてくれるために必要な“稼働域”ではないでしょうか。
必要なのはその種目に応じた、稼ぎ働く場所。
競輪選手に置き換えるとするならば…。
今の競輪選手の多くはナショナルチームの真似事のような練習方法を取り入れているのではないでしょうか!?
競輪選手養成所でもそうだと思います。
なぜ、重いギア倍数を使うのか? なぜ、軽いギア倍数を使うのか? なぜ、バイク誘導をするのか?
今一度考えてみた方がいいと思います。
このコラムで私が全てを伝えてしまうと、普段からアドバイスを求めてきている各地区の選手達に悪い為、詳しく伝えることはできませんが…。ほんの少し、触り程度を伝えます。
これは基本的な話ですが、
『競輪場(バンク)でギア倍数をかけること』
『ギア倍数をかけずに乗り込むこと』
これらは同じ効果を得られるのです。今コラムを書いている私の頭の中では、読んでいる大半の人の頭上に『???』が出ているのが見えます(笑)。ピンとくる人はいないでしょう。
このトレーニングは身体の“稼働域“を作り出してくれています。多くの選手は重いギアを踏むトレーニングを主流にし、乗り込みという初心を忘れている。最新のトレーニングや流行りのトレーニングをやってしまうのは仕方ないことだけれども、基本的な“稼働域”が無ければ回転練習やスピード練習をしても意味がないのです。基本的な稼働域があるからこそ、ギア倍数を高めて稼働する為の力をつけていくことが大切です。だからまずは、ギア倍数よりも乗り込みが大切になってきます。
長い時間乗り込むということは収縮能力が…。これ以上はヒントになってしまうので話をやめておきますが、ダッシュ練習ばかりやっていても強くはならないのでお気をつけください。
ダッシュ=イライラ
乗り込み=我慢
こんな感じで繋がります。
みなさん、我慢できる人間になって下さい。
「ひたすら向き合えば何かを見つけられる、結果を出せる」と教えられますが、そうではなく、苦しいことに耐え、我慢をする。そうすることで楽を見つけることができます。
“失敗は成功のもと”とありますが、失敗は苦しいことだと思います。
それを乗り越える為に自分自身で考え、自分自身を育てる。そして成功という楽を見つけ出せるのではないでしょうか。無駄に失敗する必要はありません。
これからも私と一緒に成長していきましょう。
浅井康太
Asai Kota
1984年、三重県生まれ。日本競輪学校90期卒、ホームバンクは四日市競輪場。2005年7月松坂競輪場にてデビュー。第20回寛仁親王牌(GI)で特別競輪初優勝を決めた。その後もKEIRINグランプリを2度制するなど競輪界の中心選手として活躍、中部を牽引する存在としていまなお進化を続けている。キーワードは「KEEP LEFT」