2023/01/15 (日) 12:00 39
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
和歌山グランプリ決勝メンバーが出揃いました。
①脇本雄太(福井・94期)ー⑤古性優作(大阪・100期)ー⑥藤田勝也(和歌山・94期)
②眞杉匠(栃木・113期)
③新田祐大(福島・90期)ー⑦守澤太志(秋田・96期)ー④山崎芳仁(福島・88期)ー⑧佐藤友和(岩手・88期)
⑨深谷知広(静岡・96期)
①脇本が連日一番時計で人気に応えています。③新田との二分戦になりそうな決勝はどのような戦いになるでしょうか。初日特選、①脇本は6番手から③新田が捲る上を捲りました。上がりタイム11秒0、冬の和歌山バンクを考えたら驚異的な上がりタイムです。
①脇本相手に③新田はどう戦うでしょう。③新田は、直前の立川記念、松井宏佑(神奈川・113期)の番手で粘り郡司浩平(神奈川・99期)を競り落として優勝しました。たまに見せるイン粘りでしたが、年頭のGIII決勝で出すとは思いませんでした。今年1年、今度は彼が郡司に狙われることになるからです。しかし、新田は新田らしく周りに惑わされることなく自分が思う戦法で戦いました。馴れ合いが過ぎる最近の競輪に一石を投じることになるでしょうか。
グランプリ2022では、松浦悠士(広島・98期)に初手から競られました。周回中から並走しなかった新田に非難の声もありましたが、私は新田ならあれでアリだと思います。追い込み選手の守澤や佐藤慎太郎がやったなら兎も角、新田は自力選手なので形にこだわる必要はないと思ったからです。周回中に並走して脚力を消耗するくらいなら、勝負処まで温存する合理的な判断をしたのでしょう。実際、追い上げて新山響平(青森・107期)の後ろを奪い返したし、その後は守澤に隠れて脇本を併せきれなかったとはいえ、力を出し切ったと思います。昨年、「いつも身体が痛かった」と言う③新田は、グランプリを経て全盛期とはまた違った迫力を感じます。
①脇本、③新田ともに初手はどちらでもいいと考えていると思いますが、あえて考えるなら③新田前受けですね。この態勢なら①脇本だけに集中できるし、得意のダッシュ戦に持ち込めると考えたからです。その先に②眞杉や⑨深谷の単騎カマシがあるかもしれない。
S.③⑦④⑧ ② ①⑤⑥ ⑨
①脇本は「緩んだら行くし緩まなかったら様子を見る」というスタイルなので「行ける」と思うタイミングまでじっくり待ちます。③新田も①脇本だけを見ているので、残り2周から打鐘まで膠着状態だと考えます。
←①⑤⑥ ⑨
H.③⑦④⑧ ②
③新田が①脇本を合わせる形になるので、⑤古性の追走が厳しい局面も…。
●本線
1ー5ー279
1ー37ー237
シビれを切らして、単騎カマシの可能性があるのは枠的に不利な⑨深谷だと思います。
←⑨
H. ③⑦④⑧ ② ①⑤⑥
この時は⑦守澤の差し目から考えます。
●穴目
7ー3ー14
変幻自在の③新田が、①脇本相手にどう戦うのか非常に興味深い一戦となりました。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。