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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【KEIRINグランプリ2022予想】超難解の一戦…単騎の選手3人と位置取りが命運を分ける/ヤマコウ展望

2022/12/30 (金) 12:00 52

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 1年の総決算「競輪グランプリ2022」がやって来ました。今年のベスト9は以下の通り。並びと併せて紹介します。

⑨脇本雄太(福井・94期)ー①古性優作(大阪・100期)
②郡司浩平(神奈川・99期)
③新山響平(青森・107期)ー⑦新田祐大(福島・90期)ー④守澤太志(秋田・96期)ー⑧佐藤慎太郎(福島・78期)
⑤松浦悠士(広島・98期)
⑥平原康多(埼玉・87期)

 超難解の一戦となりました。先行する気持ちが強いのは③新山ですが、単騎の選手が3人いて位置取りがレースの命運を分けるからです。一発勝負は1着以外価値がないのでレースが単調になります。それは、誰しもが脚を溜めたいので、取った位置で動きたくないからです。

 ただ、このクラスの選手になると、人任せのレースは良しとしないので、自分で何かしらアクションを起こさなければと考えています。そのはざまで悩みながらも動くので、優勝を意識した者が勝機を逃すとも言えます。

 私は今回のグランプリメンバーに2回インタビューをする機会を得ました。単騎選手のコメントを整理すると、②郡司は「理想は先手ラインの後ろ。行けるかどうかのポイントは自分の気持ち次第。その時にならないと分からない」と、北日本分断のレースには触れませんでした。

 次は⑤松浦「先行以外は何でもしたい。脚を溜めすぎてもつまらないレースになるので脚を使ってでもレースを動かしたい」。先行の番手を攻めるかどうかの質問には「近畿先行なら3番手、北日本先行なら分断も考える」と答えました。最後に⑥平原は「優勝するには大変だなというイメージ」。先手を取る後ろが理想? の質問には「いろいろ考えてます」。番手も考える? の質問には「いろいろ考えてます」と煙に巻きました。

 私は、北日本が先行した時に番手を攻める可能性が高いのは⑤松浦という結論に達しました。その次に⑥平原です。②郡司は捲り一発に賭けると思いました。では、北日本はどの位置からレースを進めるでしょうか。

 ③新山の理想は、北日本の後ろ3車が絡まれずに一列棒状になることです。それが競輪祭を獲らせてもらった(私は力があったから獲れたと思いますが)先輩たちへの最大の恩返しとなるからです。それを可能にするのは前受けして突っ張ること。

 しかし、それをやられると近畿勢は不利になります。どうせ8番手になるなら脚を使わない方が効率的です。1番車に古性がいるので北日本の前受けは阻止すると考えました。

S.⑨① ② ⑤ ⑥ ③⑦④⑧

 この初手なら、後ろが競られないように残り2周の誘導待避線めがけて③新山がフルダッシュすると思います。うまくいけば北日本4車が揃って前に出られます。そこで単騎の選手がどうするかが先ほどのコメントに隠されていると思います。

「脚を使ってでもレースを動かしたい」と言っているのは⑤松浦だけです。北日本の動きに併せ前に動き、分断狙いで好位取りに動くのではないでしょうか。飛び付けるスピードではなかったら悪くても5番手に入れる。それに続くのは⑥平原だと考えます。

2.③⑦④⑧ ② ⑨①
   ⑤ ⑥

 ③新山は、飛び付かれたら自分の役割が果たせないのでそこは目一杯先行すると思います。次に仕掛けてくるのは⑨脇本です。

H.  ←⑨①
   ③⑦④⑧ ②
     ⑤ ⑥

 カマす⑨脇本と、力の限り併せようとする③新山の力勝負は全くの五分。仮に⑨脇本が叩いて主導権を取っても脚力の消耗は激しいと思います。その時点で脚を使ってないのは②郡司です。

   ⑨①  ←②
B.←⑦④⑧ ⑤ ⑥
   ③ 

 私は②郡司を本命にしました。
2=4ー1567
2=5ー1467
2=6ー154

 今回の平塚GPシリーズは、28日魔裟斗さん、29日は古閑美保さんと高木真備さんの日本一になったアスリート達のトークショーを行いました。みなさん共通して言うのは、使い古された言葉だけども「仕掛ける勇気」でした。その勇気がどう転ぶのかも楽しみにしたいと思います。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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