アプリ限定 2023/01/13 (金) 18:00 15
「競輪は難しそう」「出走表を見てもどうやって車券予想してよいのかわからない」。そんな悩みを解決し、的中する喜びを体験するため、競輪ビギナーが購入した車券を予想のプロ・木村安記さんがレース後にチェック!議論を通して競輪予想力を向上させる連載企画です。第3回目にして初的中なるか!?
TK あけましておめでとうございます! 新年1発目で外すと気持ちが落ちますから、初心者でも当てやすそうなレースを見定めていました。
TK…競輪歴半年。アスリートとしての競輪選手に魅力を感じているが予想は苦手。3連単万車券を獲ってみたいと思っている
木村 あけましておめでとう。選んだのが立川記念(鳳凰賞典レース)の決勝だね。
木村安記…約20年にわたり競輪場や場外で場立ち予想屋として活動。2006年競輪祭決勝で自分の予想を買ったお客さんに1000万円の払戻をもたらす
▶場立ち予想屋・木村安記の予想はこちらTK 9人中、南関東勢が5人。しかも番手は前週のKEIRINグランプリ3着の郡司選手。初日から2・1・1で決勝まできたように調子は悪くなさそうでしたし、前は松井選手、後ろは和田選手。こんな簡単で良いのかなと思いつつ、素直に郡司選手を頭で買いました。この時は発走時間が待ち遠しくて仕方なかったです(苦笑)。
木村 初手・周回はどう考えた?
TK ①5-④2986-③-⑦です。車番の良い①新田が前を取って、④松井が先頭の南関ラインはその後ろ、そして単騎の③と⑦が付くと考えました。
木村 その後は?
TK 新田が突っ張って松井ともがき合いに。松井の脚が無くなったところで郡司が番手からタテに踏み、和田健とワンツー。3着は当てたかったので手広く流しました。
木村 買い目は別に悪くない。実際に3連単は②ー⑨から売れていたからね。でも0点。買い目を作るまでのプロセスがダメ。新田が郡司に飛びつくことは考えなかったの?
TK いや…それは…(汗)。
木村 こういう時は南関以外のライン、北日本ラインの新田の立場にもなって想像して欲しいんだ。勝つために何をするのかと。南関ラインが上がってきた時に突っ張ると考えたのは良いよ。引いたら6番手になっちゃうし、そこから捲るのはスピードのある新田といえども難しい。
ただ、さらにもう1歩踏み込んで想像して欲しい。突っ張って南関ラインを前に出させないだけが新田の作戦なのか? 少し車券を買っているファンなら、新田が南関ラインに「飛びつく」んじゃないかと考えるんだよ。
TK 飛びつく…ですか。
木村 そう、飛びつきとは「先頭で待機し、加速して追い抜いてきた目標選手の後ろについていく」こと。今回なら新田は松井の後ろにつくために郡司をどかすんじゃないかと考えてみる。
飛びつきたいんだけど、南東ラインを引っ張る松井の加速に新田が合わせられない可能性や、新田の調子や技術不足が原因で郡司をどかすことが出来ないと結論づけるのは全然ありだよ。でも、まずは飛びつきがある前提で考えて欲しい。
TK はい。飛びつく先は郡司なんですね。
木村 郡司の後ろに飛びついても、郡司に先捲りされて終わっちゃうので新田の1着はない。新田が勝つ展開を考えると郡司のところしかない。
TK 木村さんは飛びつきを想像した上で予想していたんですか?
木村 もちろん。本命はTKさんと同じ郡司だったけど、新田の飛びつきはあると考えていたよ。
自分は今開催の松井は準決勝で吉田拓矢を完封したようにスピードが凄かったので郡司に飛びつけず、南関ラインの3番手・和田健に飛びつくと考えた。そうなれば、新田の前で走れる郡司に有利なので②ー①と、念のため①と⑨が競り合い共倒れに終わったパターンも考え、②ー⑦という予想をしていたんだ。
ただ、③佐々木が初手で北日本ラインの後ろに入り、①5-③-④2986-⑦となった。これが新田には有利に働いたと思う。
TK なぜ有利になるのでしょうか?
木村 新田にすれば自分の後ろに2人いる分、南関ラインの動きを長く見られることで目標選手へ飛びつきやすくなるからね。
TK なるほど。それにしても新田は目標選手をどかすヨコの動きも出来るんですね。スピードとダッシュ力が優れているのは知っていたんですが。
木村 自分もそういうイメージはあったんだけど、昨年のグランプリで松浦に競りこまれた時に苦戦したけど捌いたでしょう。結果的にあの競り合いで消耗して結果が出なかったけど、ヨコも出来ると思ったよ。
まあ、新田からすれば昨年のグランプリのような競る展開になった時に、同じS班のライバルに対し「オレは今年やるよ」とメッセージ的な意味合いがあったんじゃないかなと見ている。
TK 競輪は点ではなく線でつながっているんですね。ふ、深い…。
木村 競輪は単純じゃないし、その方が予想も楽しいでしょう(笑)。
TK その境地までたどり着ければ良いんですが(苦笑)。そういえば、新田のレース後コメントで「南関5車なら作戦はあの感じしかないなと。後方になったら厳しいし、出遅れないように踏んでいた」とありましたが、飛びつきありきだったんですね。
木村 南関ラインが3車なら、その後ろに付けて捲るレースでも勝負出来たと思うけどね。相手が5車なら、飛びつき前提だよね。
TK 5車だから絶対有利って事はないんですね。
木村 新田が飛びつけるか飛びつけないか、5車の南関ラインが飛びつかせないかは別の話になるけど、予想する上で飛びつきからのライン分断は考えて欲しいね。
TK わかりました。似たような番組構成になった時に活かせるように頑張ります!
今回の見解…5車の南東ラインは北日本と突っ張り合いになるも、南関が北日本を押し込め、番手の郡司が先捲りで勝利
課題...大人数のラインであってもやみくもに信頼しない。飛びつきからの分断の可能性を考える
木村安記
Kimura Yasuki
埼玉県大宮市出身、49歳。父の実家が大宮競輪場の食堂を営んでいた影響で幼少より競輪に興味を持つ。川口オートで予想屋を展開していた親戚の影響を受け、31歳で脱サラして大宮競輪場で場立ち予想屋デビュー。2006年競輪祭では自分の予想を買ったお客さんに1000万円の高額配当の払戻しをもたらした。netkeirin予想サービス「ウマい車券」で予想を公開中。