2022年もクライマックス

　今年も長く熱かった一年が「KEIRINグランプリ2022」に向かって収束していく。グランプリ初出場は新山響平(29歳・青森＝107期)ひとり。実力者たちが力を発揮して、その椅子を確保した。

　46歳の佐藤慎太郎(福島＝78期)は、普通にグランプリに出場する感じに見えるが、これはやはり相当なことだ。年齢もそうだが、ルールが変わり、追い込み選手が目立たなくなっている今のこの活躍は驚愕するレベルといっていい。

　そんな中、今年は「限界？気のせいだよ！」の言葉で一世を風靡した。競輪界だけでなく、さまざまな種目や多くの人々に伝わり、共感を呼んだ。シンタロウの極限の戦いから生まれたシンプルでストレートな言葉。今年、一番の言葉だと思う。

ハッとさせられた村上義弘さんの言葉

「終わりを決めて日々を生きていくより、その日その日を一生懸命やって、いつ終わりが来てもいいように、ずっとやってきた」

　10月に引退会見を開いた村上義弘さん(73期＝引退)の言葉も胸に刺さるものがあった。ずっとブレなかったんだと思う。先々、どうなっていくのか、どうなってしまうのか。人間は常に不安にさらされている。

　しかも、求められているものも大きい。責任がある。その戦いの最中にあって、“いつ終わりが来てもいいように”の心構えがあった。「我事において後悔せず」は村上さんの有名な横断幕のひとつで、宮本武蔵の言なのだが、それを超える響きを与える選手人生だった。

涙と笑いの高木真備さんの引退

　高木真備さんの今春の電撃引退は「東スポWeb」のスポンサーロゴを長年付けてもらっていたこともあり、東スポのみんなが悲しんだ。が、引退直後付近で「あれっ」と思うことがあった。

　高木さんはおそらく京王閣の引退発表を最後に、そのまま競輪界を離れると思っていた節がある。これは本人が「辞めてしまえば、ただの人」と考えていた感じで、「嫌々自分のこと知らないのか…」と悲しんだり寂しんだりする以上に、「この人、大丈夫か」と思った。

　ガールズグランプリを制し、それまでの活躍ぶりも強烈。辞めた後でもガールズケイリンに、また競輪界に必要な人物だと、はっきりしている。しかし本人はまったく気が付いていないようで「とにかくガールズグランプリの開催日はゲストで呼ばれるから、空けとかないとダメですよ！」とわざわざ伝えたくらいだ。

　ボーっとして家族旅行でも予定しそうな雰囲気だった…。

そして、これからも

　東スポの社に来てもらった時には、関係した人たちと挨拶して「めちゃくちゃ大変だったんだぞ！」「カメラマンの方が死ぬ気で撮影して、編集してくれたんだぞ」などとやり取りし、みんなが寂しそうだけど、笑って楽しそうだった。

　電撃引退発表の動画は高木さんも見た時に涙を流されたそうで、カメラマンも「オレもつくりながら泣いちゃってたよ！」と話していた。沁みる言葉だった。編集には手間と暇と、とにかく時間がかかることを知っていながら「できるだけ早くアップしてください！」と急かしたことを、この場を借りて謝りたい。「ごめんなさい！」

　高木さんは来年も競輪界でできることは続けていくそうで、保護犬保護猫の活動とともにまだまだ活躍の場がある。村上さんにしても、今はまだ何も考えていないそうだが、とにかく期待したい。例えばYouTube番組「よっチャンネル」(名称仮)の開設が待たれるが、これはやらないかな…。

　激動の一年が終わるが、28日の「ヤンググランプリ」、29日の「ガールズグランプリ」、30日の「KEIRINグランプリ2022」を大いに楽しんで、来年への活力としたい。この3つのグランプリがどんな戦いになり、また言葉が生まれるのか。

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