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鈴木誠のハイブリッド展望

【椿賞争奪戦予想】九州ラインは4車で連係! かかりきった山崎の番手捲りを、記念大会初優勝を目指す中野は捕らえることができるか?/鈴木誠の展望

2022/12/25 (日) 12:00 5

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は伊東温泉競輪場で開催されている椿賞争奪戦の決勝レース展望です。

中野の後ろを回る大川は、千載一遇のチャンスを生かして一発を狙う!

【椿賞争奪戦】はクリスマスイブ、そしてクリスマスを挟んでの開催となっています。

 この時期、宿舎によっては晩御飯にケーキが出てくることもあり、ほんの少しだけクリスマス気分を味わえたりもしました。

 ちなみに伊東競輪場の宿舎でケーキが出たかどうかは覚えていないのですが、最近、宿舎のお風呂がリニューアルされたどころか、なんと露天風呂が併設されたそうです。今は解説の仕事をしている自分ですが、一度ぐらいは入ってみたいなと思いました(笑)。

 ただ、クリスマスの穏やかな雰囲気とは打って変わって、【椿賞争奪戦】は二次予選で深谷選手が車体故障もあって8着に敗退。準決勝でも唯一のSS班だった宿口選手も4着に敗れるなど、バンクの中では大荒れのレースが繰り広げられていました。

 その中でナショナルチームらしい、桁違いのスピードを見せていたのが、3連勝で決勝に進んできた中野選手です。

 準決勝でも同じナショナルチームの山崎選手を寄せ付けないような走りで快勝。ここまでの3走では他の選手とも上がりタイムが違いますし、初の記念大会優勝に王手をかけたとも言えそうです。

 ただ、そうはさせじとばかりに、この決勝で4車連係となったのが九州ラインでした。

 決勝の並びですが、4車の九州ラインは嘉永選手-山崎選手-中本選手-田中選手。中野選手の後ろは広島の大川選手が回ります。そして、近畿ラインが野原選手-村田選手で、地元選手では唯一の決勝進出となったのが渡邉選手です。

 中野選手の番手も主張できた渡邉選手ですが、同じ先行選手としてのプライドもあったのでしょうし、他の選手に勝負を任せることなく、自分の競輪を貫きたいとの気持ちの表れだと思います。その意味では悔いのない走りを見せてもらいたいです。

 一方、4車で連係した九州ラインですが、それでも中野選手の先行を許したのならば、捲ってくのは大変だと思っているはずです。

 ラインの長さを最大限に生かすためにも、ここでは嘉永選手が先行していくのは間違いありません。今大会の嘉永選手は、中野選手と同じくここまで3連勝と調子も良く、前を任されたのも納得がいきます。

 その嘉永選手が2番車となったことで、九州ラインはスタート位置も選びやすくなりましたが、中野選手に前受けをさせるのではと見ています。その後ろに渡邉選手を挟む形で、近畿ラインは4番手を狙ってくると見ています。

 最後方となった近畿ラインですが、野原選手は2日目も3日目もインを切ってからの先捲りといったレースを見せています。ここでも、中野選手を一度抑えに行き、そこで九州ラインを出させた上で、中野選手よりも早く捲っていくようなレースを考えているはずです。

 中野選手はこの展開となってしまうと8番手に置かれてしまいますし、333バンクで捲っていくのはかなり大変です。しかも、前では調子のいい嘉永選手が先行しているだけでなく、その後ろから山崎選手の二段駆けとなれば、かなり脚もかかっているからです。

 今大会の山崎選手は、初日の特選で先行や捲りを見せず、深谷選手のところで粘った走りからしても、調子はそこまで良くはないように見受けられました。

 それでも、ナショナルチームらしいスピードは見せているだけに、この展開となれば準決勝とは逆に、ゴール前で山崎選手が中野選手を引き離していることでしょう。そうなれば近畿ライン3番手の中本選手、捲ってくる野原選手と中野選手が2着、3着候補となってきます。

 ただ、野原選手が先捲りを打って、隊列が短くなった時には、中野選手が一気に交わし切ることも考えられます。

 後ろを回る大川選手は自力型ですし、準決勝でも9番手から突っ込んできた脚は見どころがありました。中野選手の捲りに付いていくのは大変かと思いますが、千載一遇のチャンスを生かして、上位に食い込んでもらいたいです。

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鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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