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平原康多の勝ちペダル

【奥井迪×平原康多】「僕はやる気を失わないために〇〇をしています」驚愕!? まさかのモチベーションの保ち方!(後編)

アプリ限定 2022/12/21 (水) 18:01 56

後編もおふたりの濃いトークを余すところなくお届けします!

KEIRINグランプリ2022特別企画としてお届けしている、奥井迪選手×平原康多選手とのビッグ対談。今回の後編ではラインの大切さや、開催目前のグランプリレースについてうかがいました。


◆「奥井さんには男子の競輪を味わってもらいたい」

ーー同世代で認め合うおふたりですが、お互いの印象に残るレースがあれば教えて下さい。

平原 奥井さんのレースは全部インパクトがありますよね。勝とうが負けようが、画面から気持ちが伝わってきますから。特に今年、やってきた人って報われるんだなって思えたのが競輪祭の新山(響平)と、名古屋(ティアラカップ)の奥井さんのレースでした。あれはみんなが感動したと思うし、特に自力選手は共感できる部分があったと思うんです。

ーーあのレースは本当に奥井選手らしい勝ち方でしたね。やっと無冠の女王も返上できました。

平原 え! それまで無冠だったんですか? そんなイメージなかったですね。

奥井 そうなんです。私は無冠で競輪人生終わるんだろうなって思っていましたから。ただ、名古屋は自力が自分以外に碧衣ちゃんしかいなくて、もしかしたらこれはチャンスかもしれないと思いました。勝ちたいという気持ちで臨めたし、自分らしいレースが出来ました。それこそ神様が勝たせてくれたのかな。

“自分らしいレース”で優勝を飾ったティアラカップ(撮影:島尻譲)

平原 あのレースは完全に奥井さんの風が吹いてましたね(笑)。

奥井 吹いてましたね(笑)。

ーー奥井選手は平原選手のレースで印象に残るものはありますか?

奥井 昨年のGIを獲った寬仁親王牌ですね。位置取り、出るタイミング、全てを平原さんが支配しているように感じました。足を使っているはずなのに、そう見えない。競輪って凄いなあと。

「去年の親王牌は、全てを平原さんが支配しているようだった」(撮影:島尻譲)

平原 毎回ああなればいいですけどね(笑)。

奥井 平原さんは後ろが見えているのかなと思うくらいでした。

平原 ただ、瞬間瞬間に最善を尽くそうと思ってやっている結果なんです。でも、徹底先行で戦っていた若い頃は、コントローラーを持ってゲームをしているように上から俯瞰でレースを見られた。そういう時期もありました。

ーーそういう瞬間は今でもあるんじゃないですか?

平原 今は人の後ろに付ける番組が多いので、切り替えが難しいですね。前を生かそうということを考えて走らないといけませんから。

奥井 平原さんの走りを見ていると、ラインの大切さが分かりますよね。

ーー自力選手で番手を回って完璧に仕事をこなせる人は限られてきますけど、平原選手も含め、やはりS班の選手はそれが出来ますよね?

平原 そうですね。郡司(浩平)も松浦(悠士)もそれが出来る。余裕がない人だと抜きすぎてしまったりしますから。

奥井 だから前の選手も平原さんのためならって走れるんでしょうね。

平原 今年の寬仁親王牌の準決は、坂井洋が頑張ってくれたけど、自分が番手から出ていく形になってしまって。1着なのに気まずかったんです。

ーー坂井選手は平原さんを決勝に乗せて役目は果たせたと感じていたのでは?

平原 周りはそう思ってくれているかもしれないけど、やっぱりチームなんで。だから次の競輪祭で坂井と一緒に決勝に乗れた時は、何かすげえ嬉しかったんです。ラインでしっかり決まった時、それが楽しいし、そのためにやっているという感じですよね。奥井さんには男子の競輪を味わってもらいたいですよね。勝った時に普段の倍はうれしいかもしれないです。

坂井洋選手と一緒に乗れた競輪祭の決勝「何かすげえ嬉しかった!」(撮影:島尻譲)

奥井 平原さんを見ているとラインっていいなあと思います。関東っていいですよね。ラインを大事にする若手が多いし、それは平原さんの存在が絶対に大きいと思います。

平原 自分がそういう時代を生きてきて。武田(豊樹)さんと連係していた時なんかは、自分が勝った時より、武田さんが勝った時の方がうれしかったなんて時もありました。

奥井 当時、岸和田のGIで私は自転車取りをしていたんですけど、2人が引き揚げてくる時に平原さんが讃えていて、武田さんがありがとうって言っていて、その光景が本当に美しかったのを覚えています。2人を見て競輪って美しい、ラインっていいって。

「競輪って美しい、ラインっていい…って」

平原 みんな最初からそうじゃないんです。坂井だって、あれ? っていうレースもしていたけど、そういうのを経て今はいい選手になってきたなと思いますね。

奥井 平原さんのグループって仲いいと思うんですけど、一緒にご飯に行ったりはしないんですか?

平原 たまにはありますけど、コロナ禍になってからは昼飯も行かなくなりました。

◆ 賞金が入っても、1週間後には半分に!?

ーー体調管理で今、気を付けている点はありますか?

奥井 私は食事を気を付けるようになりましたね。年齢とともに揚げ物は食べないようにするとか。

平原 僕はお酒を飲んでいませんね。イベントごとがあれば、場の空気もあるから飲みますけど、そういう時以外は飲まないです。

ーー月に数日という感じですか?

平原 いや、1日も飲まない月もあります。

ーーそういうストイックな日々でやる気を保つ方法は?

平原 僕はやる気を失わないために、借金をするようにしています(笑)。

ーーえ? 平原選手があまり散財しているって聞かないですね。

平原 物欲の塊ですよ僕は(笑)。

奥井 何を買うんですか?

平原 最近だと時計ですね。現金があると働かなくてもいいと思ってしまうので、価値の下がらないものに替えてしまうんです。賞金が入って、1週間後には半分になっていることもあります。

奥井 凄い(笑)。私なんて2万いくらの服だって迷ってしまうのに。

「現金があると働かなくてもいいと思ってしまうので…」

平原 欲しい時計があれば、わざわざ名古屋まで出向くこともあります。選手間でも時計は流行っているんですよ。

ーーあ、練習グループの後輩選手が高級時計を買いにいく動画を見た事がありますよ。

平原 伊藤慶太郎ですね。アイツはこの前も高額なネックレスを買ってしまったり、豪快です。それはそうですよね。お父さんが伊藤公人さんなんだから血筋ですね(笑)。

奥井 確かに慶太郎君は突然、車がポルシェになっていましたね(笑)。

ーー関東の若手で他にも豪快にハイブランドの買い物をしている選手もいましたね。

平原 いますいます。ああいうタイプは選手としても強くなると思いますよ。僕は使い方が大人になりましたけど、本当に常に金が無いです(笑)。

ーー宵越しの銭は持たない…キャバクラで散財とかはないですね?

平原 そんなのは25歳までで十分ですよ(笑)。

ーーガールズだと児玉選手も銭ゲバキャラですね(笑)。

奥井 碧衣ちゃんはあのキャラを分かってやってますよ。彼女はガールズケイリンをどうやって盛り上げようかを常に考えてますから。

◆ 40代で挑む、グランプリレース

ーーでは、肝心な話を聞きたいと思います。グランプリまであと2週間ちょっと(※取材時)になりました。今の状況はいかがですか?

平原 自分は競輪祭後に体調を崩してたんでマイナスからのスタートでした。まだピークを迎えたというわけではないし、これから上げていければという感じですね。

ーーよく一流選手がどこどこにピークを持っていくと言いますが、グランプリに間に合いそうですか?

平原 よくそう言いますけど、絶対にピークには持っていけてないですね。全部同じです。気持ちの面で多少の差はあったにしても、調整方法はほぼ同じだし、どのレースでもそんなには変わらないと思います。

気持ちの面で多少の差はあったにしても、調整方法は“ほぼ同じ”

ーーでは、奥井選手の現状はいかがですか。競輪祭はかなり疲れが見えましたが。

平原 ははは、ヘロヘロでしたね(笑)。

奥井 競輪祭が終わってからはリフレッシュもしたし、そこから2週間いい練習も出来ました。私はグランプリ前にいわき平を一本走るので、そこで状態を確かめて、残りの1週間で何が出来るかを見極めます。

平原 話は変わりますが、奥井さんって小倉とか前橋のドームは好きじゃないんですか?

奥井 好きじゃないですね。トップスピードが低いので。やっぱり外の方が得意だと思います。

ーー奥井選手はダートを走ったらダントツで強いでしょうね(笑)。

平原 もう(優勝を)取りっきりでしょう、はははは。

奥井 あはははは。

ーーではもう、平塚は何とか泥仕合に持ち込んで優勝を狙って下さい。

奥井 競輪は何があるか分からないので、頑張りたいですね。私はやってきたことを出し切ること。魅せるレースをしようと思っています。先行するだけで満足せず、勝負になる先行を心がけます。

ーー平原選手もグランプリに向けた抱負を一言お願いします。

平原 勝ちたいのは当然ですけど、今回のグランプリは位置取り含めて過去イチ厳しいレースになると思います。それを楽しめるような感じで走れたらと思います。

ーー単騎のレースは初めてではないですもんね。

平原 そうですね。単騎はマイナスばかりではなく、プラスもあると思うので頑張ります。

奥井迪選手、平原康多選手の魂の走りに大注目です!

(文中敬称略、了)

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平原康多

Hirahara Kota

埼玉県狭山市出身。日本競輪学校87期卒。競輪選手・平原康広(28期)を父に持ち、その影響も受けて高校時代から自転車競技をスタート。ジュニア世界自転車競技大会などで活躍し、頭角を現していった。レースデビューは2002年8月5日の西武園。同レースで初勝利を記録。2009年には高松宮記念杯と競輪祭を制し、2010年も高松宮記念杯で勝利。その後もGⅠ決勝進出常連の存在感を示し、2013年は全日本選抜、2014年と2016年には競輪祭、2017年も全日本選抜などで頂点に輝く。最高峰のS級S班に君臨し続け、全国の強者と凌ぎを削っている。

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