2022/12/18 (日) 12:00 6
現役時代はKEIRINグランプリを優勝するなどトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は広島競輪場で開催されているひろしまピースカップの決勝レース展望です。
【ひろしまピースカップ】の決勝の並びを見た時に、これは難解なレースになるぞと頭を抱えました。
コメントが出る前は、中四国の4人でどう並ぶか、もしくは2対2で分かれるかとも思っていました。ただ蓋を開けて見れば、犬伏選手-久米選手が徳島両者で並んだ一方で、原田選手は単騎でのレースを選択。そして松浦選手の後ろには北海道の山田選手が付けました。
その他には寺崎選手-石塚選手の近畿ラインと、坂井選手-田中選手は東日本ラインで連係したことで4分戦となっています。
こうなると誰がスタートを取るのか、そして先行するのかが気になるところです。前受けをするのは唯一のSS班であり、1番車の松浦選手が前受けをすると見ています。その後ろは東日本ライン、徳島ライン、単騎の原田選手、そして近畿ラインと車番通りに流れていくはずです。
ぞれぞれのラインの先頭を任された坂井選手、犬伏選手、寺崎選手もそれぞれの期におけるナンバーワンの選手たち。今後の競輪界をしょって立つ選手たちが、松浦選手に挑戦するレースともなりましたが、その中で、先行するのは犬伏選手と見ています。
この展開では最後方に置かれる寺崎選手は一度、松浦選手を抑えに入ると思いますが、どちらかというと捲りが得意なだけに、後ろの2人の動き出しを確認しながら踏んでいくはずです。
その寺崎選手の後ろに切り替えそうなのが坂井選手で、その時にカマシ気味に先行体勢に入っていくのが犬伏選手となりそうです。その時、誰が徳島ラインの後ろに入っているのかが、重要なポイントとなりますが、横の動きの上手さからしても、松浦選手が3番手を取っていそうです。
松浦選手は準決勝で後方から仕掛けていった犬伏選手に離れてしまうなど、決して本調子では無いようにも見受けられます。それでも実力は一枚上であり、3番手となれば、徳島ラインのスピードを借りた走りができます。
また、後方で脚を溜めている坂井選手の捲りも脅威となります。坂井選手は先行も捲りも、時には追い込みもしてくるオールラウンダー型の選手。もし、犬伏選手と先行争いを繰り広げるようだと、満を持して、寺崎選手の捲りが決まりそうです。
原田選手は調子こそいいのですが、この車番で単騎のレースだと、どうしても後方からのレースを余儀なくされてしまいます。しかも、広島バンクは直線が長い割に捲りが決まりづらいという特徴もあるだけに、勝負所で中団以上にいた時に、初めてチャンスが出てきそうです。
グランプリ前の出走となった松浦選手は、普段から走りながら調子を上げていく選手であり、ここから更に仕上げていく調整も出来ると見ているのでしょう。地元の記念競輪でもあり、グランプリ制覇へ弾みをつけるようなレースを見せてもらいたいです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。