2022/12/11 (日) 15:00 6
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は松戸競輪場で開催されている燦燦ダイヤモンド滝澤正光杯の決勝レース展望です。
解説とイベントの仕事で、【燦燦ダイヤモンド滝澤正光杯】が開催されている松戸競輪場に来ています。コロナ禍ではありますが、場内は以前のような賑わいが戻ってきた印象も取り戻しつつあります。
本日も場内ステージでの予想会や、日本競輪選手養成所所長である滝澤正光さんとのトークショーに出演させていただきます。豪華な景品が当たる抽選会も行われますので、適切な感染防止対策をした上で、松戸競輪場に足をお運びください。
【燦燦ダイヤモンド滝澤正光杯】では中継にも出演させてもらいました。その時にもお話しましたが、決勝メンバーには自力型が6名揃いました。
その並びですが、地元千葉を含めた南関東ラインが松井選手-岩本選手-和田選手。近畿ラインの中西選手-三谷選手、関東ラインの山口選手-磯田選手は、準決勝と同じ並びとなります。そして高橋選手と上田選手は単騎です。
今大会は初日から積極的なレース運びをしていた、先行ラインが結果を残していました。ただ、他のラインも後方に置かれたままでは勝負にならないと思うがばかりに、早めに仕掛けていくと、漁夫の利とばかりに違うラインが捲りを決めたレースも見受けられました。
実際に本命ラインが先行できなかったレースや、激しい先行争いの結果、筋違いとなったレースでは高配当も出ていました。この辺は松戸の333バンクの難しさとも言えるでしょう。
ただ、決勝で先行するのは唯一の3車であり、人気も背負いそうな南関東ラインだと見ています。しかも和田選手が1番車となっただけに、スタートも取れそうです。
その後ろが車番からしても単騎の高橋選手で、その後は近畿ライン、関東ラインとなり、上田選手は最後方で流れていくと見ています。
山口選手が抑えに行った時、松井選手は突っ張り先行も頭にはあるはずです。それでも松井選手はナショナルチームでならしたダッシュ力と、松戸のようなコーナーの多いバンクでも、スピードが落ちない走りができます。ここでは一度後方まで引いて、そこからカマシていくレースを選択すると見ています。
ただ、準決勝ではこのカマシに反応しただけでなく、松井選手の後ろに飛びついたのが中西選手でした。ここで松井選手の攻略法を掴んだはずであり、決勝でも三谷選手と共に飛びつきを狙っているに違いありません。
そうはさせじと思っているのが、岩本選手でしょう。岩本選手は外並走を苦手としており、内から飛びつかれるような展開となれば、さすがにきついかもしれません。
それでも岩本選手もまた、松戸バンクを得意としており、今大会の出来からしても、松井選手のカマシには付いて行けるでしょう。3番手を固めた和田選手も引きつれて、そのまま出切ってしまえば、南関東の上位独占は濃厚となります。
後方から松井選手を抑えに行くことになる関東ラインですが、今大会は山口選手が積極的なレースで高配当を演出しています。ただ、決勝は他のラインから警戒もされているだけに、そうやすやすと動き出せないでしょう。
単騎の2人では、車番のいい高橋選手が車券圏内に入ってきそうです。出来もいいだけに、南関東ラインが突っ張り先行を図ればその後ろ、下げたとしても近畿ラインの後ろを狙っていけるからです。
一方、単騎で9番手からのレースになりそうな上田選手も、いい走りを見せていますが、さすがにこの位置から上位に入ってくるのは難しいと見ています。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。