2022/12/17 (土) 19:30 74
並びが決まる迄に1時間半近く掛かった、福井記念の決勝戦が有名だが、今回の広島記念の並びが決まったのは17時25分。メンバーが発表されたのが16時30分だから、約55分掛かった計算。福井記念の時は脇本雄太の番手を誰が回るかだったが、村上義弘が大人の対応で別線勝負。アニキの「疲れました(苦笑)」の言葉が印象的だった。
今回は徳島勢が3人乗り、地元の松浦悠士も当然の様に決勝進出。メンバーが出て、記者席の想定の並びは、原田研太朗に久米良。犬伏湧也に松浦悠士が自然と言う意見が多かった。
僕自身も、当然、その考え。原田研太朗と久米良は練習仲間だし、今節、2回連係。ハラケンが良い先行を見せて、呼吸の合った走りを披露している。準決のメインで犬伏湧也と松浦悠士は連係しているし、GIIの玉野サマーナイトでも松浦悠士は犬伏湧也を使って優勝と、ビッグレースでの連係実績も十分。これから、この2人の連係は、中国ゴールデンコンビ以上の存在になる可能性がある。興業的に考えれば、この並びの方が車券は売れる。
だが、松浦悠士は「徳島勢に並びを決めてもらってから」と言い、徳島3人が長考に入る。ハラケンが、ゲンさんスタイルのレースを宣言していなければ、普通に3人で並んでいたが、そうもいかない。
久米良もハラケンに気を遣い「研ちゃん、あの宣言を撤回したら…」と言ったが、ハラケンも自分の信念を最後まで貫いた。まさか、原田、犬伏、久米の並びとはいかない。原田も犬伏も自力なので、久米が困ってしまった。「犬伏君に決めたが、真相は表に出したくない(苦笑)」と言う、久米の気持ちも分かる。
これで、松浦と原田の話し合いになった。この2人は仲が良いし、前後を入れ替えての連係は何度もある。名古屋オールスターを松浦が獲ったのも原田のおかげだ。松浦は「これがグランプリ前の地元記念でなければ、研太朗に付いていたかもしれない。これは、自分の我が儘」。本当は、どこかで松浦は原田研太朗を男にしたい気持ちがある。それはGI決勝の大舞台だ。今の儘では、この夢は実現しないが、いつか原田もスタイルを変えるだろう。
競輪選手は個人事業主だし、考えは色々あり、正解はない。ただ、ドラマ性、時間軸のストーリーは必ずある。これが競輪の魅力だと改めて実感した。
町田洋一
Machida Yoichi
基本は闘うフリーの記者。イー新聞総合プロデューサー、アオケイ・企画開発パブリストの肩書きも持つ。自称グルメでお酒をこよなく愛す。毒のある呟きをモットーにして、深夜の戯言も好評を得ている。50代独身で80代の母親と二人暮らし。実態はギャンブルにやられ、心がすさみ、やさぐれている哀しき中年男である。