アプリ限定 2022/11/13 (日) 18:00 14
いよいよ22日から「第64回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」が小倉競輪場で開催されます。そこで、この歴史ある大会の名勝負、名シーンを競輪記者たちに熱く語ってもらい、当時のレース映像とともに全5回に渡りお届けします。記憶に残る競輪名勝負の数々を読めばもっと競輪が好きになる!?
この年の平原康多は不振にあえいでいた。2013年末から14年初めにかけて起きた、某元選手らが中心となって企図された新たな選手団体を設立するような動き、いわゆる「SSイレブン騒動」による処分であっせんが3カ月間ストップし「第65回高松宮記念杯」、「第23回寬仁親王牌」の2つのGIに出場できなかった。復帰後は「第57回オールスター競輪」で辛うじて決勝には乗ったものの、直前の小田原記念で負った落車のダメージが尾を引き、なかなか本来のリズムを取り戻せずにいた。競輪祭までGI優勝も無く、賞金面でも1年通して走ってきたライバルたちに後塵を拝しており、年末の「KEIRINグランプリ2014」に出場するには当大会で優勝するしか手段が無かった。
決勝には平原を含め武田豊樹、神山雄一郎、木暮安由と関東4人が勝ち上がった。メンバーが出揃った後、並びを巡る話し合いはけっこうな時間を要した。4人の答えを待つ際、記者の間では「木暮が先頭で発進」、「平原にみんなで連係」、「2対2に分かれる」など様々な憶測が飛び交ったが、出てきた答えは「武田を先頭に平原-神山-木暮でまとまる」というものだった。
決勝並び
③武田豊樹-⑦平原康多-④神山雄一郎-⑨木暮安由
⑧稲垣裕之-⑤浅井康太-①金子貴志
②山崎芳仁-⑥佐藤友和
これまでの経験則では平原-武田の並びが順当で、当シリーズも初日特選と2日目ダイヤモンドレースは想定通りだった。だが、2010年の「第61回高松宮記念杯競輪」決勝では武田の前回りで平原が優勝するなど、2人が勝負どころで前後を入れ替える事はこれまでにも間々あった。
武田は平原と同様に3カ月のあっせん停止処分を受けたが、9月「第57回オールスター競輪」を制し「KEIRINグランプリ2014」の出場権を獲得していたため、ここは平原のために度胸を見せる心構えができていた。実際にレースでは、力のこもった積極先行で平原を優勝へと導いた。しかも自身は2着に粘り、3着に神山を連れ込む大団円で決着し、関東軍団の鉄の結束を大舞台で示した。なお、その年の「KEIRINグランプリ2014」は平原に前を任せた武田が制している。
ひときわ異彩を放った関東ゴールデンコンビは、翌年と翌々年も決勝でワンツーを決めるなど、競輪祭には欠かせない名物ラインとしてその名を轟かせ輪史に名を遺した。
■熱き走りを映像で堪能しよう
(提供:公益財団法人JKA)
netkeirin取材スタッフ
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