2022/10/27 (木) 12:00 8
加藤慎平の「筋肉診断」。今回は京王閣競輪「京王閣記念ゴールドカップレース(GIII)」に出場する鈴木竜士選手を解説する。
⚫︎鈴木竜士
公式プロフィール上では、身長168cm、体重は72kg。S級選手の中では、身長もさることながら体重も軽めだ。
小柄な選手は、身長180cmを超えるような大型選手と比べると、出力(パワー)が少なくなる。関節の長さも身長に比例するので自然と短くなり、そこに付随できる筋肉量も少なくなるからだ。
そのうえ、ローリングスタート(ある程度スピードが乗った状態)から勝負が始まる競輪は、体重が軽いか重いかで言えば、重い方が有利に働くことが多い。1度スピードに乗れば惰性の概念が働くからだ。
そんな体格のハンデをもろともせず、鈴木選手の持ち合わせる素質とスピードは間違いなくトップクラス。2017年にはヤンググランプリも制した。強気の位置取りと自力で出世も早かった。
そんな鈴木選手の競輪人生はとにかく波乱万丈だ。頑張りすぎるあまり、失格過多での長期斡旋停止も経験している。関東地区という戦力的にも美女にも恵まれた環境の中、とにかく継続して結果を残す事が出来なかった。
一方で、鈴木選手は若くて経営者としての側面も持つ。さらに休日には、ごみ拾いのボランティアなど社会奉仕活動にも精を出す。鈴木選手がSNSで、タワマンの窓際から大都会東京を見下ろす写真をあげた時、筆者は年上ながら「か…かっこいい…」と思ってしまった。
まさにオンリーワンの選手なのだ。
そして今回の京王閣記念は、鈴木選手にとっての地元戦。間違いなく番組も鈴木選手を後押しする。平原康多選手、眞杉匠選手、坂井洋選手、森田優弥選手。いうまでもなく本線の番手の名前がある。鈴木選手の活躍は約束されているようなものだ。“東都の異端児”の活躍に熱視線だ。
⚫︎本レースで注目すべき選手は…?
SS自力選手では、古性優作選手が名を連ねるが、総合力は圧倒的に関東勢に分がある。平原選手を筆頭に、宿口陽一選手、眞杉選手、坂井選手など。4日間関東軍団が京王閣競輪場を牛耳る姿が目に浮かぶ。
加藤慎平
Kato Shimpei
岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。