道後温泉杯争覇戦決勝、中心視するのはどのライン？

TK　よろしくお願いします。多くのレースの中から、この日の競輪界のメインともいえるGIII道後温泉杯争覇戦決勝を買ってみました。ただ、レース前に競馬のGI秋華賞を外してしまい…賭け金が800円しか残ってなくて、少額でも夢を見られそうな3連単を8点購入しましたが、結果は⑦-⑨-①で決まり、3連単は3,540円。自分の車券はダメでした。1着から3着までを順番に当てるのは難しいですね。

木村　まあまあ手堅く収まったレースだったよね。それにしても800円かー(苦笑)。でも同じ状況だったら自分も3連単を買うかな。もしくは本命から50倍〜100倍のオッズが付いてれば1着・2着の車番を着順通りに当てる2車単も考えるよ。

TK　それぐらいのオッズが付けば100円車券でも2車単はありですね。

木村　今回、TKさんは外れたけど、どんな手順で予想したのかを聞かせてくれますか？

TK　わかりました。このレースは3つのラインに単騎1人の3分戦。どのラインを中心視するかをまず考えました。

　杉森はラインがない単騎ということですよね？ 競輪は最後の直線まではライン同士の戦いと聞いているので、まず選択肢から外しました。それから3つのラインを確認しました。2人よりも3人の方が心強いと思ったので、根田か佐々木のラインに絞り、根田と福田は同地区(南関東)所属で連係実績もあったので、根田のラインの方が良いかなと。あとは、根田と佐々木を比較した場合、根田の方がS1と格上の級班で、競走得点が高いのも決め手となり、根田のラインを中心視したんです。

木村　根田と福田は二次予選、準決勝と連係して車券になっているからね。最初の手順は悪くないんじゃない。

TK　はい。で、その後は根田のラインのうち誰を本命にするかを考えたんです。「競輪は番手を狙え」という鉄則を聞いたような気もするので、福田を本命にしました。

　そして次に、福田の前を走る根田がどんな走りをするのかを考えました。ラインが生きるも死ぬも先頭選手の走りにかかっていると思ったからです。決勝なので根田も勝ちたいはず。先行して逃げると二次予選のように差されてしまう可能性もあるので、1着だった準決勝のように捲るのではないかと。

　根田のラインの3人が外から捲り、最後の直線で根田と福田が勝負…そんな展開を想像し、2人を1着と2着に置き、3着は阿部と単騎でも競走得点が高い杉森、佐々木の後ろで走る渡邉、坂本も買いました。

3つのラインの中で、逃げるのは誰!?

木村　説明ありがとう。良くわかった。僕はね、こう考えた。出場選手の中で1番優勝したいのは地元の佐々木。競輪選手にとって地元開催は特別で、ましてGIIIの決勝だからね。逃げる可能性はゼロじゃないけど、佐々木の後ろを走る渡邉の違反点が溜まっていて、渡邉は危険なレースをすると自分の斡旋(出場)が止まる可能性がある。そんな選手を連れて佐々木が逃げると思えなかった。

TK　ラインの先頭で走る選手は違反点が溜まっている選手が後ろに付くと走りにくいんですか？

木村　斡旋が止まるとなると厳しいブロックはためらうよね。番手の仕事が消極的になるから、先頭を走る選手からすると自分を守ってくれないから安心して逃げられない。優勝を狙う佐々木が逃げる可能性は限りなく低いと考えたんだ。

　あと、稲毛のラインは2車なので先行意欲は低いと見た。そうすると逃げるのは根田しかいないんだよね。ちなみに誰が逃げると思ったの？

TK　佐々木です。地元だし、レース前コメントを読むと「犬伏君や哲男さんの分も頑張らないと」とあったので、彼らの思いも背負って積極的に逃げると思ったんです…。

木村　うーん、佐々木は生粋の先行選手ではないんだ。番手に仕事人の小倉竜二とか付けば別だよ。その場合は他のラインが迫ってきたら小倉が全部露払いをしてくれるから安心して逃げられるけど、渡邉では…。

出走表や過去の結果を見て選手の特徴を覚えていくことが必要

TK　なるほど、選手の特徴と後ろに誰が付くかで走りも変わるということなんですね。あと、車券を外した要因は根田が捲ると思ったことなんですが、木村さんは根田をどう見られていました？

木村　根田は初日から4着、2着、1着と3日間良いレースをしていた。まず根田の特徴で覚えていて欲しいのは、4日間同じパフォーマンスを出しにくい選手ということ。最終日は逃げるだけ逃げてお役御免かなと。

　想定外だったのが、稲毛がスタートをして前を取らなかったことだよね。根田は後ろ攻めから逃げるというよりは、初手は前か中団に付けて、後ろから斬りくるラインがいれば1回下げて、そこからドカンとカマすのが真骨頂。

　この決勝は根田が後ろ攻めで、残り2周で上がっていく、いわゆる後ろ攻めの先行。これは根田の得意な展開ではない。もし根田が残るとすれば、稲毛の後ろに付け、佐々木が斬ったところを根田がカマす展開。これなら根田と福田の1・2着はあったかもしれない。

TK　カマすって「他の先行選手がスピードを上げないうちに、自分が一気に加速してゴールを狙う戦法のこと」ですよね。なんでカマすと根田は残れるんですか？

木村　後ろ攻めのラインが1回斬ると脚を使ってしまう。前の方にいれば、後ろ攻めから斬ったラインが脚を使って流す。そこを根田はスピードがあるので1回下げて、カマしだったら、前で流している別ラインとスペースが空くので、別線は追走しないといけなのでキツい。それに最初から前の方にいると自分の脚も温存できるからね。

TK　カマす展開だったら車券は当たっていたかもなんですね。実際は後ろ攻めから清々しいまでの逃げでした(苦笑)。

木村　掛かっていて非常に良い走りだったけど、最後は力尽きた。時間はかかるけど、選手の特徴を知ることだよね。根田も佐々木も出走表の脚質に「逃」と書いてあるけど、根田は逃げメインで捲っても勝ち目のあるタイプ、佐々木は逃げると勝ち目が遠のく捲りタイプと、違いはあるんだよ。

TK　その辺りは出走表のB(バック)の数や決まり手を確認すれば良いですか？

木村　基本それで問題ない。過去のレースを見てイメージを作っておくのも良いよね。

番手の後ろ選手の取捨はどうする!?

木村　今回は福田から買った場合、根田を車券から切れるのか、がポイントだったと思うよ。

TK　やっぱりそこですよね…自分は根田を切る勇気がなかったです。準決勝の鮮やかな捲りに引っ張られたのかも知れない。

　今思えば、根田のレース前コメント「後手を踏まない自力勝負」はヒントだったかなと。根田と福田ではなく、福田と阿部だったんですかね？ ラインの3番手って凄く買いにくいです。3番手から車券に絡めるのかなって？

木村　福田が本命なら阿部こそ絡めて欲しかった。阿部は決勝までのレースを見ると、調子自体は良くはなかったけど後ろから伸びてきていたし、タテ脚もある選手だからね。

　ラインの3番手を買うのは走路にもよる。33バンクやみなし直線が短い400バンクだったら手を出しにくいけど、松山競輪場ぐらいのみなし直線(58.6m)があればね。他には立川、川崎、弥彦、武雄、松阪、別府…この辺のバンクは買っておいて損はないと思うよ。

TK　覚えておきます。逃げるラインと選手がはっきりしていて、番手が抜け出して優勝。根田の特徴を抑えていれば当てやすかったのかも。

木村　ある意味、教科書通りのレースだったからね。3連単の配当は3,540円と安かったけど考えようによっては美味しい。

　今回の車券を採点すると、買い目自体は問題ないけど、見解が捲りというのがマイナスポイントかな。

TK　はい、わかりました。次回はもう少し資金を増やして車券を買ってみたいと思います。よろしくお願いします。

第1回の学び

第1回 木村先生からの通信簿