2022/09/20 (火) 18:00 13
netkeirinをご覧の皆さん、金子貴志です。共同通信社杯では台風が迫る中、鮮やかな先行で優勝したのが郡司浩平君。逃げ切りで勝ったことは自信になり、さらに強く進化していくことは間違いありません。私も郡司君の走りを見て力をもらったので、その力をプラスに変えて頑張っていこうと思います。郡司君、優勝おめでとうございます。
さて、先月の富山記念ではナショナルチーム時代に一緒に戦った選手が多く、昔を思い出して懐かしい気分になりました。今回のコラムではナショナルチームに所属していた時に世界各国を回ってみて感じたことを書きたいと思います。
ここからは私の世界周遊記です(笑)。フランス、イギリス、コロンビア、メキシコ、カナダ、南アフリカなど、私が世界選手権やワールドカップで訪れた国は15か国以上になります。世界を転戦し、その国の文化に触れたことはとても貴重な経験となっています。
コロンビアや南アフリカはすごく治安が悪いところだと聞いていましたが、実際にその国に行って現地の人と触れ合ってみると、決してそうは思えず、温かい人が多かったように思います。ただ、夜になると治安の悪い地域特有の危ないこともありました。
ホテルで寝ていると轟音が聞こえてきて、何度も目が覚めてしまうのです。翌日、通訳の方に音の正体について聞いてみると、その音が「銃声」だとわかり驚きました。私が暮らしている日本の治安の良さを感じた経験のひとつです。また食事も各国の料理を食べてみて、日本の料理の繊細さを感じることが多かったです。遠征の期間が長い時に日本の料理がとても恋しくなったのを思い出します。
ヨーロッパは特に建築物の素晴らしさが印象的です。建物単体だけでなく、街並みそのものがお洒落で、憧れていた風景が広がっていました。ヨーロッパの教会や石畳は歴史を感じる佇まいをしていましたね。
ヨーロッパの中でも私が一番好きだったのが南フランスです。白い壁にオレンジの屋根。映画でもよく出てくるような風景です。その雰囲気が魅力的でもともとすごく好きだったのですが、遠征で滞在することでさらに心酔していきました。その影響で私の自宅は南フランスをイメージして建てました。
今となっては笑い話のひとつですが、カナダで迷子になった苦い思い出があります。競技場から宿舎までバスが出ていたのですが、私はリカバリーを兼ねてロードレーサーで帰ろうとして、道に迷ってしまいました。
その時期のカナダは「白夜」だったのですが、迷っているうちに時間の感覚もなくなってしまい、方向感覚も失い、異国の地で本当に焦りました。帰れるかどうか慌てながらの自転車は想像以上にハードで、心の底から疲れ果てました。
困った私は「このままでは宿舎に戻れないぞ」と慌てて、仕方なく来た道を戻りました。そして何とか競技場に辿り着きました。競技場にはピストン輸送しているバスが1台停車していて、すでに競技も終わっていたので競技場には誰もいませんでしたが、バスの運転手さんの姿がありました。
私は英語がしゃべれないのですが、追い詰められると人は変わるもので、スラスラと英語が出てきたのを覚えています。実際のところ、それが通じていたのかどうかはわかりませんが、バスの運転手さんが笑いながら「OK、OK」と返事をしてくれた時の安心感は忘れられません。その後、帰路でも運転手さんがわかりやすい英語で話してかけてくれて、すごく楽しかったです。その優しい運転手さんには今でも感謝しています。
世界の国々を回ったことにより、各国の良さを知ることができましたが、それと同時に海外とは違う日本独自の良さを感じることもできました。
私は競輪を知らない人に競輪を知ってもらうきっかけをいつも探しています。YouTubeでキャンプ動画をたくさんアップしているのもそのきっかけづくりのためです。日本各地を回る競輪選手だからこそ、それぞれの地域の魅力に気づくことができます。それを私がキャンプ動画にすることで、より多くの人に見てもらって、みなさんに“地元の良さ”を伝えられたらと考えています。
そして同時に「全国を回る競輪選手」という存在にも興味を持ってもらえれば嬉しいです。私の中でのキャンプシーズンは秋からはじまります。また動画をアップしていこうと計画しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
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Kaneko Takashi
愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。