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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜40代の挑戦〜

【金子貴志のウラ話】レース前の競輪選手の“日常”! 約3分のレースを走るためにさまざまな準備がある

2022/09/06 (火) 18:00 19

 netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。夏も終わってしまい、すっかり秋の気配になってきましたね。秋と言えば食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋。皆さんはどんな秋を楽しみますか? 私は自分にとってのキャンプシーズンが始まるので、とてもワクワクしています。さて、今回は開催に臨む前の調整方法やレース前の流れなどを詳しく書いていきたいと思います。

金子選手の次走は“縄文バンク”こと青森競輪場で開催される「みちのく記念善知鳥杯争奪戦」(撮影:島尻譲)

前検日に競輪場へ入る前に

 若い時はGI開催になると3日前くらいから気持ちが高ぶっていました。気持ちを抑えようとしても抑え切れないといった感覚で、競輪場に入る前日にはイライラしたりピリピリしたり、感情の張り詰め方が最高潮に達してしまう感じでしたね。しかし、最近では歳を重ねたせいか、前検日のイライラやピリピリ感も和らいできたような気がします。

 開催前はお墓参りをしたり、神棚に手を合わせたりしてから競輪場へ入る選手もいると聞きますが、私も同じで、仏壇と神棚に手を合わせます。そして心を落ち着かせて、清らかな気持ちで開催地へと向かっています。

前日検査は競輪選手の“日常”

レースを走るまで、その裏ではさまざまな準備がある(撮影:島尻譲)

 前検日はまず「選手管理」で受け付けをして会場入りします。入るタイミングで携帯電話をはじめ、カメラやパソコンなど通信機能付きのものはすべて預け、ヘルメットの期限を確認します。その後、必要事項を届け出るのですが、今はパソコンで入力します。

 その後検車場へ行き、体温測定や血圧測定といった医務検査も滞りなく行ってから、車体検査を受け「指定練習」に向かいます。指定練習の前に昼食を済ませる選手もいますね。指定練習のやり方も人それぞれ。私の場合、指定練習は感触をつかむ程度に位置づけているため、軽く調整する程度にしています。でも、中にはダッシュを繰り返してキツめに調整している選手も見かけます。

 指定練習の後は放送で「参加式」があり、それが終わるとお風呂に入ったり昼寝をしたり体のケアに努めます。夕食は決められた時間があるものの、基本的にタイミングは自由です。早めにとる選手もいれば、遅めにとる選手もいます。就寝時間も人それぞれ。会場入りから各種検査をパスして前検日を終え、しっかり準備して選手たちは初日を迎えます。

最高の3分のために費やす膨大な時間

ローラーに乗り汗をかく金子選手(撮影:島尻譲)

 レース当日は発走3時間前くらいからウォーミングアップを始めます。軽くストレッチをした後、ローラーに乗ってしっかりと汗をかきます。若い時はレース直前までアップをしていましたが、今は発走呼び出しの1時間前には上がるように心がけています。早く上がることによって、余裕を持ってレースに臨みたいと考えるようになりましたね。

 そのほか季節によってアップに充てる時間も変えています。冬場は寒いので長めに行い、逆に夏場は短めにするようにしています。その時々で最適な準備の仕方を工夫して、戦いに備えていきます。

 そしてレース直前の「選手紹介」、俗に言う「顔見せ」は最終調整の場と考えています。ラインを組んでファンに見せる趣旨の顔見せですが、そこでダッシュをして体に刺激を入れ、万全の状態を作り上げます。競輪のレース自体はご存じの通り「約3分」で終わります。しかしそこで最高のパフォーマンスを演じるために、選手たちはそれぞれのやり方で時間を費やして準備して臨んでいます。開催前の過ごし方から前検日の調整、そしてレース当日のアップなど、その3分にすべてをぶつけるための試行錯誤は尽きることがありません。

準備を万全にして発走機へと向かう(撮影:島尻譲)

青森競輪「みちのく記念善知鳥杯争奪戦」へ

 私はこのコラムを書き終えてから9月8日(木)から開幕する「みちのく記念善知鳥杯争奪戦」を走るため、自宅の豊橋を出て青森競輪場へと向かいます。また、先日9月5日に47歳になりました。身体が思うように動かないもどかしさを感じたり、調子が良くても結果が出ないレースがあったり、なかなか若い頃と同じようにはいきませんが、今年も試行錯誤を繰り返しながら1着を目指して奮闘していきます。競輪も遊びも突き詰めて本気でやっていきたいですね。これからの1年も皆さんに応援してもらえるように頑張っていきます。

 次回は私が世界各国を回った時のことを書きたいと思います。お楽しみに!

1つ歳を取り、また新たなストーリーを刻む!(写真:金子貴志instagramより)

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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