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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜40代の挑戦〜

【金子貴志の思想】それが現実的ではない夢だとしても挑戦することはやめない! どこまでも真っすぐに向かっていきたい

2022/10/07 (金) 18:00 18

 netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。

 先日、村上義弘選手が引退を発表しました。ニュースを知った時にはまさに青天の霹靂で本当に衝撃が走りました。このコラムで村上さんとのエピソードを書きたいと思ったのですが、ゆっくり過去の対戦や触れ合いを思い出しながら、改めて11月のコラムで書きたいと思います。

 今回のコラムでは最近私が考えている「挑戦」というテーマで書いていきます。

競輪人生は挑戦の連続(撮影:島尻譲)

小倉競輪場で見つけた「挑戦」

 9月24日まで、私は小倉競輪でレースを走ってきました。小倉は全国にある43か所ある競輪場の中でも、特に大好きなバンクです。2002年、私が始めてGIの決勝に乗ったのも小倉でした。小倉と言えば競輪発祥の地として毎年11月には競輪祭が行われていますが、ここのところ私は競輪祭に出場できていないので、小倉を走るのは久しぶりでした。

 小倉はドームなので、天候に左右されず走りやすいですし“スピードバンク”という特性が私の脚質に合っています。レースを終えた選手は宿舎に行くのに地下道を通っていくのですが、この作りもとても珍しく、どの競輪場にもないものです。「小倉に来たな」という感覚を味わうポイントなんですよね。その地下道には赤い絨毯が引かれていて、どことなく“誰もいないレッドカーペット”を歩いているような感覚になります(笑)。

 また、小倉と言えば食事も美味しくて、私は特に「鍋焼きうどん」が好きです。小倉で走る時は昼も夜も鍋焼きうどんを食べています。絶妙な出汁の旨さにスープも飲み干してしまいます。宿舎のレトロ感と近代的なバンクが混じり合っている競輪場自体の雰囲気もいいし、本当に大好きなバンクです。今回走って懐かしい気持ちになったと同時に「また小倉競輪祭に出場するぞ」というモチベーションが湧いてきました。これが最近一番新しく見つけた「挑戦」です。

レトロと近代が混じり合う競輪発祥の地・小倉競輪

「挑戦」は時代によって変わっている

 小さい頃の話ですが、私はプロ野球選手になりたいと思っていました。当時の小学生くらいの子どもにとってプロ野球選手は「将来なりたい職業」の一番人気だったように思います。そのほか「宇宙飛行士」といった職業も人気でしたね。実現するか否かはさておき、子どもたちは何も考えずに将来への大きな夢を口にしていたように思います。

 しかし、最近の子どもたちの「将来なりたい職業」に目を向けてみると、すごく現実的な回答が多いですよね。時代が違うとはよく言ったもので、本当に「夢」というものの本質も違うのでしょう。情報過多のこの時代は夢を見るリスクについても、すぐにリサーチすることができます。子どもたちが現実的な選択をしたくなるような世の中の作りになっているのかもしれませんね。

 でも、私は夢に向かって真っすぐに挑戦する姿は美しく、すごく良いエネルギーを発するものだと思っています。昔と今を比較して良い悪いと簡単に判断することなどできませんが、夢を持つことは大切なことだと知っています。「実現するかどうか? 届きそうで届かないのか?」といった“現実的ではない夢”を持つ子どもがいてもリスクの話ばかりせず、みんなで応援できるような世の中になればいいなと思っています。

どんなフィールドであれ、リスクを恐れずに挑戦する姿勢を応援したい(撮影:島尻譲)

「挑戦」に年齢は関係なし

 私はあと数年もすれば50歳になります。でも挑戦するという気持ちはいつも忘れていません。直近で言えば、これまで続けてきたウエイトトレーニングも今年の冬からは思い切ってやめようと思っています。年齢と向き合い、今の身体と相談しながら自転車を中心にしたトレーニングに切り替えていこうと考えています。これは後退でも現状維持でもなく、「強くなるための挑戦」です。

年齢に応じたトレーニングを試行錯誤し、これまで継続していたことを“やめる”のも挑戦(写真:YouTubeCH「カラフルスタイルTakashi Kaneko」より)

 話は変わり10月中旬、私の弟子が日本競輪選手養成所の1次試験を受けることになっています。最近は合格圏内のタイムも出るようになってきました。1年前は不合格だったのですが、その悔しさをバネにして、苦しいトレーニングを積んできました。合格するために一日一日を大切にして、悔いのないように過ごしてきた姿を見てきたので、結果がすごく楽しみです。

 私のホームバンク豊橋には弟子以外にもプロを目指す有望なアマチュアがいます。皆切磋琢磨しながら厳しいトレーニングに励んでいます。彼らが育っていくのは楽しみですし、その成長を見て私も大きな刺激をもらっています。何よりも挑戦するという気持ちが大切だと思い知らされます。

 彼らを見ていると私は昔を思い出し、初心に帰ることができます。「挑戦」に年齢は関係ありません。その気持ちを持ち続けてこれからも頑張っていこうと思います。

将来を切り開くためにアマチュア選手が“挑戦”を続けている(写真:YouTubeCH「カラフルスタイルTakashi Kaneko」より)

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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