2022/08/16 (火) 12:00 24
海老根恵太(45歳・千葉=86期)が法的な対処、競輪界内での処分を経て、8月9〜11日の平塚競輪ミッドナイトで復帰した。2021年5月の事件の後、1年以上経って、バンクに帰ってきた。
KEIRINグランプリ王者としての実績を持ちながら、大きな事件を起こしてしまったわけだが、こうして復帰し、また全力を尽くす走りでいろんなものを取り戻してほしい。45歳という年齢ではあっても、“もう一度”の挑戦が、多くの人にまた何かを与えることになると思う。
かつての活躍では、多くの感動を与えてくれた。それでいて、エビちゃん(今回は、こう書かせてもらいます)はちょっとヌケたところもあった。愛されるキャラだった。私個人でも、数え切れないほどいろんなレースを見せてもらい、感謝の思いが強い選手だ。
エビちゃんは暑さに弱いのが有名で、夏場は北海道に練習拠点を置くことがあった。「どうにも暑いのがダメで」と、いつも弱気な表情で話していた。
暑いとまるで練習もできないという状況もあったのは仕方ないとしても、エビちゃんを取材しながら「でも、そ、それだと、ず、ずっと暑さに弱いまんまじゃ…」とはどうしても言えなかった。
エビちゃんが上位戦にいたころ、南関勢が上位に少なく、GIを単騎で戦うことも多かった。それでも、勝って多くのファンを喜ばせてきた。誰の人生にも失敗はつきものだろうが、それを取り返すことができる世の中も大事だろう。
平塚の初日は渾身のまくり追い込みで1着。準決は中団で苦しい流れになったが、最後、これまで見せなかった内強襲の1着。連勝で決勝に勝ち上がった。特に準決の執念はまた何か違うものを感じさせるものだった。
決勝は花田将司(35歳・千葉=99期)の頑張りもあったが、後方に置かれ5着敗戦。最終2角からまくるか、と思われたもののもう余力は残っていなかったか…。緊張の復帰戦で疲れ果てていたのじゃないかと、そんなエビちゃんの顔が思い浮かぶ。やはりエビちゃんだった…。
世の中には諸事情ある。ただ、重ねて書きたいのは、再起することが人間には可能。そんな世の中であってほしいと思うことだ。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。