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前田睦生の感情移入

【輪界のポイント制度】競輪のセオリー、そして脇本雄太“強者の行進”

2022/08/12 (金) 12:00 15

ドリームレース勝利の脇本雄太の輝きは最強(撮影:島尻譲)

強さを武器にすること

 9日に西武園競輪場で「第65回オールスター競輪(GI)」が開幕した。初日のドリームレースでは脇本雄太(33歳・福井=94期)が逃げ切り勝ち。他のラインに何もさせない、“強者の行進”だった。

 脇本の良さは、『強さを相手に対してぶつけられること』だ。自分の強さを発揮するだけでなく、相手に対し、効果的にぶつける。ドリームでは番手にいたのが古性優作(31歳・大阪=100期)というのも武器。

 別線が仕掛けてきても古性がなんとかしてくれる。このレースでは、脇本のスピードと古性が仕事をしてくる…という合わせ技で、別線を完封してしまった。対する相手としては『脇本ラインを後方に置く』のがセオリーだったが、どこかで叩くことの方を主眼をしていたようだ。

 だがそれは脇本の手の内だった…。王者、だ。

競輪のセオリー

ガールズケイリンのポイント制はわかりやすい

 競輪は70年以上行われていて、ルールの変化もあるが、その時その時でセオリーがある。9車立て三分戦の時代では、強い相手に前受けさせて、後ろから抑えるのが挑戦者の走り。後ろの選手に仕事をしてもらい、ラインで挑む。競輪の基礎といってもいいだろう。

 7車立てではタイミングが重要で、ラインを生かすレースも時折見られるが、レースの深みとしてちょっと…と思う。

 かつてはS(スタンディング)を決めて、強い自力選手を迎え入れる、といった戦法が重視された時期もある。誘導が最終2角までペースをガンガン上げていくケースもあった。

 自力選手中心の今はコマ切れ戦も多く、誘導退避のルールも含め、初手の位置取りが大事。枠(車番)に左右されることも出てきている。車券戦術として、頭に入れておきたい。

ポイント制はどうか

男子のポイント制は「う〜ん」

 ボートレースと比べるのが良いだろう。ボートは準優(ボートの表記)に上がるまでの段階で、ポイント上位者を決めていく。勝ち上がりのレースでは、1〜6と割り振られ、有利不利がある中での戦い。腑に落ちる。

 競輪は、ガールズケイリンではわかりやすく感じても、男子の方では「う〜ん」と感じざるを得ない。当方が9車立て三分戦に慣れ過ぎて、ライン3人で決めるレースに心が漬かっているからかもしれない。

 3連単主流でもあり、はっきりと価値があるのは3着まで。ただし、ポイントや広い勝ち上がりの場合は4、5着でも…という走りが可となる。開催日数や参加選手数で、3着勝ち上がりを規定するのが困難なレースが生まれるのは仕方なくても、ポイント制のレースは「う〜ん」と物足りなく感じるものがある。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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