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猪突猛進

【清水裕友コラム】 日本選手権競輪へ直行!「心配をおかけしましたが大丈夫です」#7 猪突猛進

2022/04/28 (木) 18:00 10

通算200勝を達成し、GIIウィナーズカップを連覇。悪い流れを断ち切ったかと思われたが、4月の平塚記念と川崎記念を病気欠場。5月の日本選手権競輪(ダービー)へ直行となってしまった。清水裕友コラム第7弾『猪突猛進』は現況報告と、ダービーへの思いや攻略ポイントなどを中心にお届けします。もちろん最後はお便りコーナーも。

直行となってしまったがダービーへ向けて不安はない(撮影:島尻譲)

ーー予定していた平塚、川崎記念を病気欠場。4月は1走も走らないことになってしまいました。

 体調不良になってしまってご心配をおかけしました。とりあえず大丈夫です。

ーーウィナーズカップを優勝して、ダービーへ直行のスケジュールになりました。

 シューズやら自転車やら、レースの中で試したいこともあったので走りたかったけど…。仕方ない。しっかり体調を整えて、ダービーでいいところを見せられたら、って思っています。

ーー自転車は今までとどう違いますか?

 ちょっと重さを求めて作った。当たりは滑らかな感じで感覚的には良かったけど、あまり重さを感じなかったんですよね。またいろいろと考えてます。

ーー以前に、一番意識しているGIでダービーをあげていました。

 どのGIも勝ちたいけど、権威がある大会だし、走っていて雰囲気もいい。

ーーこれが4回目のダービーになります。2回目の19年松戸は惜しくも準優勝。最後の最後に、脇本雄太選手にVをかっさらわれてしまいました。

 あの時が自分も一番強かったんじゃないかな。怖いもの知らずだったのもあって。

ーー捲りに行く際に、ちょうど深谷知広選手が膨れてしまって煽りを受けたようにも見えました。あれがなければ…、と思ったりしますが…。

 いや、あれがなくても優勝はなかったと思う。後ろにいた脇本さんの方が煽りを受けていたでしょうから。行かれたな〜と思いながら。ヨコに振って抵抗してはみたけど、優勝はないなって思いながらの(最終)4コーナーだったかな。

ーーそして3回目、昨年の京王閣決勝は、松浦悠士選手の前で前受けから先行策。松浦選手が優勝を果たしました。

 レース展開的にあぁいう形になったので(眞杉匠が内に包まれて上昇できず)。腹をくくりやすくなったかな。

2021年日本選手権競輪決勝は前受けから先行策だった(撮影:島尻譲)

ーー6日制のレースになりますが、4日制のGIと比べて苦労することはありますか?

 4日制の方が楽は楽だけど、ダービーは4走なので。オールスターや競輪祭に比べるといいかな。初日に勝ち上がってしまえば、気持ち的にはかなり楽になる。

ーー過去3回はしっかりと1走目を勝ち上がっています。

 1走目の成績はいい方だと思う。(1走目の)特選を勝ち上がれれば準決勝が決まるので、そこはかなり大きい。ダービーは1走目がかなり重要になる。

ーーウィナーズカップから、ぶっつけでのダービーです。1カ月以上の間隔があり、不安はありませんか?

 計画に狂いは生じたけど、自分はレース間隔が空いてもいい方。そこまで気にならないと思う。

ーーレース勘などを不安がる選手もいます。

 レース勘ってなんなんすかねぇ。

ーー要所要所での体の反応などでしょうか?

 うーん。ケガなどで間隔が空いた場合に、レース脚が落ちるっていうのはわかる。周回で脚が削られちゃったり。でも体の反応…。

ーーあまり感じないですか?

 体が動くように走ってるだけなんでね。行けると思ったら行くだけ。それだけ何も考えてないってことですかね(笑)。自分の場合は勘とかあまり関係ない。状態がいい時は考える前に体が仕掛けているので。部品とかを替えたりしての感覚の違いとかはあるけど。そういうのはわかる。レース間隔が空いて“ちょっと仕掛けどころがわからない”とかはない。レース勘というものがわからない。なんなのか教えてほしいくらい。

ーーでは競走間隔が空いてもそこまで問題はなさそうですね。

 自分の場合は、詰まった方が良くない。空いている方が好きなのは好きかな。まぁ今回は体調を崩しての休みなので、今までと違う部分もあるかもしれない。レースでどう脚を使えるか。間隔が空くことに対しての怖さはそんなにないっすね。

レース間隔に不安はない(撮影:島尻譲)

ーーそこまで影響がなさそうでなによりです。ではここで、ちょっと話題を変えましょう。前回のコラムで、ラインに対する思いなどをうかがいました。その延長戦をしたいと思います。

 レースを走ってないから話題も少ないですしね。自分もどうしようかなって思ってました(笑)。

ーーラインという観点で、これまで一番印象に残っているレースは?

 やっぱり、(19年の)名古屋オールスター(3日目12R)のシャイニングスター賞かな。太田竜馬君、僕、原田研太朗さん、松浦悠士さんの順番で並んだ。あれが一番かな。

ーー太田選手が赤板直後に落車したレースですね。そういえば、昨年のオールスター前に行った特別企画の記事でも、過去のオールスターでもっとも印象に残っている、として挙げていますね。

 あのレースが一番印象に残っているかな〜。実は並びが決まるまでに、かなりの時間を要したと思う。そもそも4人が勝ち上がったのがわかった時は、てっきり僕と松浦さん、太田君と原田さんで分かれると思っていたんですよ。そうしたら太田君が「明日、お願いします!」って来てくれてびっくりした。相手が脇本(雄太)さんだったので、4人でまとまろうという流れに。それでかなり悩んで…。自分は分かれた方がいいと思っていたから。

ーーそれで時間がかかった。

 30分くらい悩んだ。原田さんは並ぶなら3番手、松浦さんも並ぶなら4番手って言ってくれたけど…。同県の間に入ったことがなかったから。それでゴネてたっすね。結果的には初めてサンド(同県の選手の間に入る)で並んだ。今となっては並んで良かったな、って思ってる。

ーー最終的に決断する要因というのはなんだったんでしょうか。

 太田君の気持ちですかね。彼の熱い気持ちに折れた(笑)。

ーー3月のウィナーズカップも太田選手が先頭で頑張ってくれました。

 太田って普段は飄々としていて、見た目では気合が入っているというのがないけど、実は熱くてカッコイイ。内に秘めたものがあって、話してみると凄く熱い。アイツのカッコイイところですね。シャイニングの時も“できるなら並びたい”って伝わってきた。レースでは彼がいなくなってしまったけど(笑)。太田の気持ちがあったから、自分も頑張らなきゃって思えてリカバリーが出来た。彼の存在は、中四国にとっては頼もしい。同地区の選手で良かった。

「実は熱くてカッコイイ」頼もしい存在の太田竜馬(撮影:島尻譲)

今後、いやもしかしたら間近に迫ったダービーでも太田竜馬との連係があるかもしれない。松浦悠士とのゴールデンコンビだけでなく、実は熱い太田竜馬とのタッグも楽しみだ。

【読者から届いた質問コーナー】

ーー思わずクスッと笑ってしまったこと、最近ありますか?

 基本的にゲラなんで、何かあればすぐ笑っちゃう。これっていうのはないけど、YouTube やインスタの動画かな。外国人がふざけているのを見て笑ってる。

ーーこれまでで一番絶望したことってなんですか?

 絶望したこと…。そんなにないかな。いまんとこ、そこまで深いのは。

ーー似たような質問です。絶体絶命の場面をうまく切り抜けられたことがありません。清水選手はどうやって切り抜けているのですか?

 要領がいい方じゃないんでね…。厳しくなったら、そこからリカバリーが利くタイプじゃない。松浦さんはそういうのがうまい。だから大敗が少ないでしょ。僕の場合は、いかに絶体絶命の展開に持ち込まないか、でしょうね。去年の寛仁親王牌の2日目は、自分の中でもなかなかない勝ち方だったかな。後ろに迷惑を掛けてしまったけど、厳しい展開からよく1着まで行けたと思ってる。

ーー家族構成は? 家族の思い出を教えてください!

 父と母と妹です。クソガキだったので、小さい頃はよく、父にくらわされてましたよ。高校生の時に取っ組み合いのケンカになったことがあって、払い腰で投げてやったんですよ。父を(笑)。そこから立場が入れ替わった感じ。ケンカすることが少なくなった。その時に初めて柔道をやってて良かったと思った(笑)。横では母がゲラゲラ笑ってましたね。

ーーちなみに得意技は?

 内股。自転車もやっていて足腰が強かったんで。

幼少期から柔道と自転車で足腰を鍛えてきた(本人提供)

ーー清水選手おすすめの防府市内の飲食店を教えてください!

 防府競輪場からすぐ近くにある『おこいさん』っていう中華料理。しょっちゅう行ってます。おすすめは四川ラーメン。スープが真っ赤。麺は緑。あとは丼ぶり。辛めのヤング丼と甘めの味噌味の、味噌たれ丼ですね。いつもヤング丼か味噌たれ丼で悩んで、飽きた頃に四川ラーメンを食べてる。辛いのが好きな人は是非、四川ラーメンとヤング丼はおすすめです。競輪場から坂を下ってすぐ近くです。防府天満宮からも近いんで、あわせて行くのもいいでしょうね。

四川ラーメン(左)、ヤング丼(右上)、味噌たれ丼(右下)。清水裕友パワーの源は『おこいさん』だった!?(本人提供)

ーー清水選手はインドア派だと思いますが、もし3日間旅行しなくちゃいけなくなったとしたら、どこに行きますか?

 草津温泉とか、日光東照宮とか…。モーツァルトが好きなのでヨーロッパも行きたいかな。オーストリアとか。目的はないけど。行ってみたいところは多いけど、いかんせん腰が重い。あ、あとは、今年こそバンテリンドーム(名古屋ドーム)に行きたい。ここ3、4年行けてないので、絶対に行きたいです。

ーーおっ、ちょうどその流れのままいきましょう。(ドラゴンズの)立浪新監督、どうですか?

 ドラゴンズファンになった時に現役だった選手なので、気持ちは入っちゃいますね。今はテレビで見る機会が多くて、だいたい最後まで見ています。攻撃力がって言われているけど、ファンになった頃のドラゴンズは締まったゲームが多かったし、強いチームは接戦に強いんで。今年は締まった試合が多くて、若い選手も出てきて面白い。それに、「ひろと」という名前のピッチャーが3人もいる(高橋宏斗、森博人、福敬登)。無条件で応援しちゃう。活躍すると嬉しい。清水ってピッチャー(清水達也)もいるんで応援してます。

ーー高木真備選手が引退、驚きました。同期・同級生の清水選手はどう思われましたか?

 びっくりしましたね。サマーナイトフェスティバルを一緒に優勝した(20年、いわき平)のはいい思い出です。第二の人生も頑張ってもらいたいです。

ーーちなみに清水選手は辞め方にこだわりはありますか?

 特にない。何も考えてない。息の長い選手になりたいとかもないですけどね。

「何も考えてない」今は競輪に全力投球だ(撮影:島尻譲)

(取材・構成=netkeirin編集部)

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清水裕友

Hiroto Shimizu

清水裕友(しみずひろと)。山口県防府市出身。105期。日本競輪選手会山口支部所属。師匠は國村洋。ビックレースはGI「読売新聞社杯全日本選抜競輪」(2020年)、GII「サマーナイトフェスティバル」(2020年)、GII「ウィナーズカップ」(2021年)。

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