2022/04/06 (水) 12:00 18
平塚競輪場で「開設72周年記念湘南ダービー(GIII)」が4月7日に開幕する。4月5、6日が「ノー競輪デー」ということで、競輪に飢えた猛者たちの投票がどうなるのか…。1Rからバカ売れすることを期待しよう。
今回は競輪公式ホームページのシステムメンテナンスによるものだが、“強制的に競輪がない”という状態から今回の平塚記念は豪華メンバーによるバトルへ突入する。それはまるで映画「幸せの黄色いハンカチ」で出所したばかりの高倉健がかつ丼とラーメンとビールを注文するようなものだ。
ひとまずビールを飲むわけだが、1Rの1番車に誰が選ばれるのかにまず注目される。犬伏湧也(26歳・徳島=119期)なのかどうなのか…。犬伏は今回がすでに正念場だと思う。真のスターなのかが問われるシリーズ。“戦う相手が相手だからこそ”だ。
犬伏は1月大宮記念(東日本発祥倉茂記念杯)の準決で深谷知広(32歳・愛知=96期)と戦った。
“これを見せてくれるんだ”とファンはゾクっとしたと思う。その後はFⅠ戦が多かったこともあり、3月に名古屋で開催されたルーキーチャンピオンを制したものの、それはゾクゾクするところではない。
犬伏の力が、強い相手に対してどうか…をとにかく待ち望んでいた。深谷との対戦があったからこそ、感じていた。『ノー競輪デー』からの飢えもあるわけだが、犬伏のファイトに対する飢えもあったので今回はより楽しみだ。
S級S班の5人を中心にこれから打ち倒すべき相手ばかり。犬伏はここで小さくなっていては、開くべき扉が開かず、開いていても抜けられない。もちろんそんな男ではないと思っているし、期待しかない。
ウィナーズカップの時に少し書いたが、郡司浩平(31歳・神奈川=99期)には真の頂点への戦いを、走りで見せてほしい。長く今の位置に居続けることだけでも、本当にすごいことなのは事実だが、“グンちゃん”にはもう一つ上がある。
昨年の大会も素晴らしいメンバーとのバトルを制したものだが、さらに…がある。郡司に逆らっちゃダメ、まで行ける男。と、書いていてだが、昨年の決勝。郡司には打鐘でカマして松坂洋平(39歳・神奈川=89期)を勝たせるくらいの走りを見せてほしかったのもある。
勝つだけじゃない。支配する走り。競輪界を支配する、流れを生む戦い。もう一度、郡司に大きなものを求めたい。
そんなこんなで売り上げは伸びている競輪界だが、よりよいものとするために現実的に選手が訴える案がある。
「競走得点の多角的制度設計によるリアルという現実をパフォームドした数値化と概念化による算定」を考案する選手がいる。“若狭湾のニュートン”と呼ばれている鷲田幸司(36歳・福井=92期)だ。宇宙規模の緊急取材体制を敷いていたら、判明した。
現在のひとつの着差による2点の間隔で形成される競走得点から、ドラゴンボールの戦闘力的なイメージにもつながる“強さ”をアプライズ。よりファンにわかりやすい「ワシダ式」を訴えている。これは現在「オギノ式」に続く、日本の2大「〜〜式」になる可能性を秘めている。
有給制度の話は、長く深谷が主張している選手強化の一策だ。競輪選手の選手サイクルは根本的な実力の向上には適していない。1年中、レースを走り続けるものである。開催参加、そして収入、級班決定といったものが絡んでくるため、現状は仕方がないと思われている。だが、例えば1ヶ月の休みを申請して、その1ヶ月は前年の獲得賞金の1ヶ月分を補償する、という制度にすれば強くなる期間を設定できる。
これはナショナルチームの実績から証明されるもので、こうした制度を作れないか深谷は唱える。
「オギノ式」「ワシダ式」を追う、現実的なスキームだ。ローンチへのモラトリアムはもはやアルマゲドン。競輪が世界最高の競技、スポーツであり公営ギャンブルとなるために…。
TwitteRでも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のTwitteRはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。