2025/03/10 (月) 18:00
現在屋外でレースが行われている競輪場は全国に40場あります。
バンク形状はもちろんのこと、立地、気候、同じものは一つとしてありません。季節によって吹く風や、地域によって変わる気候を予想のファクターとして加えることももちろんあり、そんな風に競輪を買っていると、ふと日本に生きてるなあと思ったり。北から南まで四季折々、豊かな日本の自然を感じながら車券を買っていると競輪の風情が増す気がしますね。
しかし、そんな悠長なことをいつも言っていられるわけではありません。勝負はいつだって真剣。バンクを吹く風を読み展開予想をすると、一番の敵は自然なのではと思うことがあります。
今年2月、小松島競輪で開催されたミッドナイトG3でのことでした。冬は強いバック向かい風が吹く印象の小松島競輪ですが、通常冬場といえどミッドナイトの時間帯だとおさまることが多いです。しかしこの開催、夜になっても冬の小松島競輪らしい猛烈な向かい風がバックストレッチで選手を待ち構え、加えて真冬の寒さもありました。選手にとってかなり厳しいコンディションの中、レースが行われました。
その中で地元の久田裕也選手がレース後コメントで「小松島の風、誰も知らないポイントがある」と話していました。普段から小松島競輪場で練習し、バンクをよく知る地元選手だからこそ分かることがある。まさに地の利を活かすレース。これは決勝戦の波乱を起こしてくれるかも、と期待が膨らみました。
しかし、競輪の神様は意地悪です。最終日にして小松島の風がぴたりと止みました。連日同様に仕掛けた久田選手でしたが、2日間と変わったコンディションの中、地元から優勝者を出すことは叶いませんでした。
また、こんなことも。
3月初め平塚競輪で行われたF1開催。初日と2日目は春のような天気で、気温も20度近くまで上昇していました。しかし最終日は一転冬に逆戻り。雨粒はときに氷になり、厳しい寒さが選手たちに立ちはだかっていました。
レースの流れも先行有利。この寒さと雨なら捲り不発で高配当チャンスもあるのでは? そう考えました。
狙うは大物。11RのL級ガールズ決勝で、予選2日間、スピードの違う捲りを見せていた太田りゆ選手。位置取りにそこまでこだわらない太田選手、後手に回って間に合わないなんてことも、このコンディションならありうるかも!と意気込み、太田選手の2、3着でいざ勝負! すると 決勝前に、先ほどまで降っていた氷のような雨が止み、バンクコンディションもいくらか回復していくではありませんか。
お天道様、私は何かしましたでしょうか?と天を仰ぎつつ、結果は言わずもがな、太田選手の素晴らしい捲りで完全優勝が決まりました。
あのとき、風が吹けば…。あのとき雨が止むなら…。そんなタラレバは意味をなさないことは、もちろん分かっています。地球相手には、さすがにどうすることもできません。それでもさまざまなコンディションが、味方にも、敵にもなる競輪の面白さ。そんなことを考える今日この頃でした。
※写真はP-NAVI編集部が撮影したものです。
木三原さくら
2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。