2025/02/28 (金) 18:00
真冬の小松島競輪で行われたミッドナイトG3。
まさに『真冬』『小松島競輪』らしい天候で、とにかく寒さと風が強かった3日間でした。スタジオから一歩外に出ただけで、上着を着ていても、ビックリするような寒さ。この中で選手たちは走っているのかと思うと、震える身体に尊敬の気持ちが湧いてきました。
ただ、そんな天候を忘れてしまうようなさすがの走り。L級・S級ともにトップ選手たちの走りが心を熱くしてくれました。小松島でミッドナイト競輪が始まってからS級戦を見るのは初。加えて他場でもS級ミッドの放送を担当することがなかったので、全レースをがっつり見て、考えるというのは初めてのことでした。自分の中に走りの意図やスタイルがより強く印象づけられているS級選手たちが、競走得点順に1枠から並んでいることで、より展開が考えやすいような気がしました(今開催に限ったことかもしれませんが)。
また、L級戦も太田りゆ選手と児玉碧衣選手のツートップに加え、先行、自在、マークなど、それぞれにスタイルを持つ選手が多く、予想により具体性が生まれ考えている時点から楽しかったです。
その中でも、取り上げたいのは優勝した福岡の児玉碧衣選手。前検日に児玉選手はメガネをかけ、白のロングマフラーに少し顔をうずめて検車場に現れ、そのせいもあってか、なかなか笑顔を見ることができませんでした。前場所が完全優勝で調子も上がってきているのかなと思っていたので、余計に気になったのかもしれません。取材対応でもポジティブな答えは少なく、昨年からの低迷(と言ってもトップクラスの中でのことですが)がまだ続いているのかなあと思っていました。
もう絶対ではない。そう思うことが、切なかったです。
これまで勝って当たり前と思われ、とんでもない人気を背負いながら走ってきた児玉選手。レース後にかけられる言葉は、負けた時はもちろん、勝った時でさえ厳しいものがあったように感じています。そんな重責の中で、ガールズケイリンを引っ張ってきた児玉選手が元気がないように見えてしまうことが悲しく、勝負の世界の残酷さを見ているようでした。
しかし、前検日のその切なさを気持ちよく吹き飛ばしてくれた3日間の走り。予選は小松島の強烈なバックの向かい風を感じさせない捲りで連勝。初日は7車身、2日目は3車身、2着と差をつけての1着でした。
そして、決勝戦では太田りゆ選手との直接対決。残り1周手前から内へ切り込んだ走りはイチかバチかの賭けだったようにも感じました。そんな思い切った動きで太田選手より前に出たあと、捲りをあわせて押し切った児玉選手。かっこよすぎました。
優勝インタビューでは、たくさん笑顔を見ることができ、私まで嬉しくなりました。2024年から小松島競輪でガールズケイリンが始まる前から告知等に協力してくれていた児玉選手の優勝が小松島で見られてことも、さらに嬉しさを倍増させました。
やっぱり児玉選手には笑顔が似合う!
またG1に向けて頑張っていきたいという児玉選手。春にビッグレースの場で最高の笑顔を見られるのを楽しみに応援しています!
※写真はP-NAVI編集部が撮影したものです。
(P-NAVI編集部)
木三原さくら
2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。