2019/05/14 (火) 06:06
平成最後の〇〇、令和初の〇〇。この両方を経験できたのは平成31年4月30日が初日で、6日間開催となった松戸G1第73回日本選手権、通称=ダービーだ。優勝賞金はG1最高の6,500万円。当然、その賞金も魅力ではあるけれども、G1の中でも格式が高いとされており、競輪選手が最も欲しいタイトルでもある。令和初のチャンピオンはご存知の通りで脇本雄太(福井94期)だった。勝ち上がりの段階で村上義弘(京都73期)、村上博幸(京都86期)、平原康多(埼玉87期)、武田豊樹(茨城88期)、新田祐大(福島90期)、浅井康太(三重90期)、大会3連覇を狙った昨年のMVP・三谷竜生(奈良101期)、今年の全日本選抜覇者の中川誠一郎(熊本85期)、グランドスラムが懸かっていた山崎芳仁(福島88期)らが姿を消した。ファイナリストに名を連ねた中で、タイトルホルダーは脇本と深谷知広(愛知96期)の2人だけ。S級S班の清水裕友(山口105期)はいたが、筆者の印象として小粒感は否めなかった。
6日間の総売り上げは135億8,168万5,600円で、目標の140億円には届かず、昨年の平塚大会を僅かに下回った。場内はゴールデンウィークの真っ只中ということもあり、数多くのファンで溢れていたという。ただ……入場者数も重要だなのだが、売り上げはもっと重要なところではないか。そして、そもそも目標の140億円という志しが低くないか?日本一を決める大会、それも6日制の開催であるにも関わらずにだ。以前にも書いたが、達成することが大切だと思う関係者が多い。設定を低くすれば達成率は高くなる。しかし、低く設定して、この有り様では、もはや打つ手なしといった感じだろうか。2016年の静岡大会からゴールデンウィーク開催になり、その静岡は153億円を売り上げ、目標であった150億円をクリアした。(ただし、静岡開催自体も設定が低かったのは事実だ)今年のゴールデンウィークは10連休、関係者の期待も高まったのだが……最近、G1で目標をクリアした大会があっただろうか?
ファンサービスに関しても、それが車券購買につながっていたのかは疑問である。単純に有名人を呼べば良いという訳でもあるまい。評論家にしても毎度、毎度の顔が当たり前のことを言っているだけ。予想の“当たり外れ”で一喜一憂するのではなく、プロの目からの討論をしていただきたいもの。プロの目を持った評論家もいるのだから。
最後に……多くの競輪場が抱えている問題ではあるのだけれども、来場者の年齢層が高かったこと。競輪場についている古くからのファンを否定する気はない。しかし、それが逆に若いファンを拒否している部分もあるのではないだろうか?一朝一夕にはいかないことは百も承知だが、業界全体として若いファンの獲得に本気で動いていないツケが回ってきているように思えて仕方がない。
10連休で昨年の売り上げを超えられなかった現実。ダービーの日程をゴールデンウィークに持ってきた意義を業界全体で考えて欲しい。ましてや今回のゴールデンウィークは改元で世間は大賑わいを見せ、経済効果も大きかったと聞く。ポツンと、この業界だけが取り残され、寂しい気分になってしまったのは筆者だけなのであろうか?
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター