2025/04/04 (金) 18:00
netkeirinをご覧のみなさん、松浦悠士です。ウィナーズカップ後に体調を崩してしまい、出場予定の小倉FIを欠場しました。なんとか走りたかったのですが…。現在はだいぶ回復して、次の防府FIからの復帰を考えています。それでは今回のコラムでは玉野記念とウィナーズカップを振り返ります。
まずは玉野記念です。初日特選は犬伏君、裕友の3番手回りでした。眞杉君と二分戦のような形になりましたが、しっかりと犬伏君が主導権を取ってくれました。裕友は全日本選抜であまり好調とは言えない状態に見えましたし、「裕友に並ばせたくない」との思いもあって、場所的に僕が眞杉君を対応した方が良いと判断してけん制しました。あまりやり過ぎるとダメなので、「ちょっと張って、それからすぐに戻って」というイメージでしたが、裕友がタテに踏んだところで、「それなら外を踏もう」とコースを選択したところ、最内を来られてしまいました。踏んでいる感触は悪くありませんでしたが、イメージしている余力ではなく、感触以上に伸びていかなかったです。
次の二次予選は太我の腰痛の影響が不安でしたが、作戦通りに走ってくれました。たしかに本調子ではない感じでしたが、結果的に2着同着(※)ワンツーを決められて良かったです(編集部注※町田太我と村田雅一が2着同着)。太我はいつもよりモガく距離だったり、最後の踏み直しだったり、思い切って踏めていない印象でしたが、その調子の中でうまく走れていましたね。
そして準決勝は晝田宗一郎君と雄吾、地元勢の3番手でした。後ろ攻めだった真鍋君が押さえに来るのが遅かったので、「どうかな?」という感じでしたが晝田君が好判断で仕掛けてくれました。雄吾が番手捲りをして、自分は車間を大きく空けてそれを援護。抜き過ぎると後ろの選手を引き連れてしまうので、「待って、待って」とギリギリまで抜きに行くのを我慢しました。でもタイミングが難しいところでしたね。僕がイメージする自転車の進みと違うものがありましたし、雄吾がしっかり踏み直していたのもありましたが、それでも差し損じたのは良くなかったです。
決勝には中四国から6人が勝ち上がりましたが、並びを決めるキーポイントは『まず雄吾はどうしたいか?』ということでしたね。「6人で並ぶのはちょっと…」というのは共通意識で、「雄吾がどうしたいかを決めていいよ」というのが、雄吾以外の中国4人の気持ちでした。『2人ずつ三つに分かれるパターン』 、『4人と2人に分かれるパターン』など考えられるすべてのパターンを提示した上で、雄吾がどうしたいのか。最終的には雄吾が「自力でやります」となり、地元岡山の3人と、犬伏君-裕友-僕のラインに決まりました。
決勝は雄吾が気持ちの入った走りで、とても激しいレースになりましたね。後方がもつれ、形的には危ない流れになりましたが、柏野さんも南さんも一流なので大丈夫でした。裕友が柏野さんを持って行きましたけど、それに対応する動きや捌きはさすが柏野さんという感じでした。僕は裕友についていかなければいけない位置でしたし、結果として内に被る形になってしまいました。自分の前がどういう状況なのか?とかは僕の位置からは把握できませんでしたし、終始難しい流れになってしまったレースでした。
続いてウィナーズカップを振り返っていきます。シリーズに入る前に中国地区の選手で集まり、防府競輪場で合宿をやりました。この時はとても実のある練習ができ、良い感触を得ることができました。ですが、伊東の前検日の指定練習ではその感触とまた違う感覚が出てきてしまったので、防府で感じた好感触に近づけるように、サドルやハンドルなどセッティングを細かく調整して臨みました。玉野記念の調整を「1」とすれば、伊東では「7〜8」くらいのボリュームで調整を試みましたが、少しは近づけたかな? というくらいでしたね。
そんな感じでシリーズ入りして、初日特選は犬伏君マークでした。そして3番手がいつも一緒に練習をしている大川さん。大川さんとこういう舞台で一緒に連係できるようになったことが本当に嬉しかったし、「連係したい、連係したい」とは話していましたけど、なかなか実現に至ってはいませんでした。そういうのもあって、初日特選はいつも以上に気持ちが入っていましたね。
ただ、レースでは「こういう展開になったら苦しくなる」と懸念点を事前に伝えていたんですが、犬伏君がそっちの流れにしてしまった感じはありましたね。僕は3着で勝ち上がれましたけど、ラインとしてはちょっと厳しい形になってしまいました。僕自身は踏んだ感触も悪くなく、玉野よりも感覚が良くなっていることを自覚できました。
2日目の毘沙門天賞は裕友に前を任せて、岩津さんが3番手でした。このレースは何かと“想定外”が多いレースになりました。初手で眞杉君がなんで前を取ったのかな…という思いもありましたし、迎え入れられた郡司君があそこまで突っ張るのも予想外です。寺崎君があんなにも簡単に引くのも想定外でした。スタートからずっとイレギュラーなことが重なりましたね。
裕友が内に行ったのは「内に差してバックを踏むくらいなら」と考えた結果だと思います。また、想定外が重なっただけではなく、風が強くてとにかくバンクが重かったです。思うようにならないレースになりました。
準決勝で犬伏君と一緒というのはなんとなく予想していましたが、犬伏君が5番車で僕が9番車。これでは車番が悪過ぎるので、スタート勝負するよりは「後ろで脚をためて」の作戦でしたね。前回の全日本選抜の準決勝の件もあるし、ああいった展開になった時に脚を使わず後ろから一発行けるのかどうかっていう話もしていました。犬伏君の実力的には「行けるんじゃないか?」と判断してのプランニングでしたね。結果的には作戦ミスだったと振り返っていますが…。
僕もラスト1周で下りようとした時に入られてしまい、そこでかなり厳しくなりました。ピタッと付いていれば3着に入ることはできたかもしれませんが、脚力的な余裕があったわけでもなかったですね…。
犬伏君とは『トップレベルと対戦する時の戦い方』が目下の課題になっているとお互いに感じています。犬伏君は叩くタイミング次第では毎回ほぼ叩ける選手だと思います。でもやっぱりライン戦ですし、叩けたとしても、それで犬伏君が沈んでしまってはダメ。今はトップレベルのレースで戦う中で『2人でゴール勝負したい』と意思疎通はできています。
GIの初日特選、準決勝、決勝でしっかり力を出せてワンツーを決められるように。これが今後のテーマになっていく感じですね。犬伏君の脚質に寄り添って考えて行かないといけないし、色々とああしてみよう、こうしてみようと提案もしていこうと思っています。
最終日は裕友との連係でした。裕友が仕掛けどころを逃さず仕掛けてくれましたし、全日本選抜から玉野、玉野から伊東にかけてと裕友が徐々に上積みをしていることを感じました。気持ちの強さを感じ、ダービーまでにはいつも通りにしっかり合わせてくるなと思いました。
レースはちょっと難しい局面もありました。内に東矢君がいたのであまり車間を空けてしまうと入られてしまうリスクがありましたし、後ろには佐藤博紀さんもいる状態でした。佐藤さんには「見てるよ」という“目でけん制”をしてうまく対応できたんですが、脇本君が後方から一気に来て…。ゴール前でヨコに動きましたが、裕友の着もあるので、ギリギリまで待ってからのものになりました。
最終日はセッティングに収穫がありました。シリーズ4日間を通じて一番だったかなと振り返っています。前述したとおり防府の合宿で好感触を得ていたので、セッティングはそれを中心に考えていこうと思っていましたが、ウィナーズカップの最終日に試したセッティングもかなり良かったと思います。このあたりをうまく組み合わせていけたらもっと良くなりなそうなので、考えて調整していきたいです。
それにしてもウィナーズカップの決勝は古性君がすごかったですね。久々に「すごいレースを見たな」って感じになりました。寺崎君の仕掛けもすごかったし、新山君の粘りもすごかった。眞杉君をしっかり止めて、そこから踏んでしっかり勝ち切る古性君の強さ。すごくハイレベルなレースでしたね。僕は熱海駅で石原君と一緒に見ていました。なんにせよ、その場に乗れていないのは力がないってこと。その一点に尽きると思います。この気持ちを胸に精一杯頑張っていこうと思います。
ウィナーズカップ終了後に胃腸炎になり、小倉を欠場してしまいました。シリーズ明けの火曜日と水曜日が特別しんど過ぎて、とてもじゃないけどこれは無理だなという状態に…。全身の痛みや嘔吐、下痢でほとんど記憶もないです。救急車を呼ぼうかなっていうレベルでしたし、測ってはいませんが体重も落ちました…。小倉のシリーズに中に親交あるクロちゃんのトークショーがあったので、会えるわけではないにしても、参加したかったですね…。
胃腸炎の時はトレーニングも追い込めないと思うので、良くなるまではトレーニングも控えました。今はだいぶ良くなってきたので、次の防府に向けて立て直していこうと思います。ドジャースのムーキー・ベッツ選手も11キロ痩せてホームランを打っていたから大丈夫でしょう(笑)。本当に苦しみましたが、デトックスができたと信じて頑張っていきます!
それでは今月も質問に答えていきたいと思います!
ーー前回GIで暴走失格がありましたが、同地区の選手たちは「ルールだから失格は失格で残念、でもラインを思う気持ちは嬉しい」といったニュアンスのコメントを出していました。あのような場合って、敵というか他地区の選手はどのように思うものでしょうか?
“失格してでも”の気持ちを前提にしてラインから決勝進出者や優勝者を出そうって走られると、一緒に走る他のラインからしたらたまったもんじゃないですよね。ただ、誰しも「失格してやろう」と思って走っているわけではないと思うので。しっかりルールの範囲内で走るのが大事だと思うし、何してもいいわけではないですよね。暴走失格に関してはラインの先頭選手だけが罰を受けて、勝ち上がった選手が罰を受けないっていうのは、ちょっと不公平感が否めないとは思います。あくまでもライン競走を前提に走っているので。でもかといって全員失格するわけにもいかないし、難しいですね。
ーー競輪場でレースを観ると多くのお客さんが声援をあげていますが、中にはレース中に「今や!行け!」とか「まだ早い!」とか仕掛けのタイミングについて大声を出している人もいます。スタンドで観ているとまあまあの大きさの声なのですが、「思わず動いてしまった」とか「集中が切れてしまった」とか影響はないでしょうか?
発走前に大きな音を立てられると反応してしまう選手はいますね。僕は基本的に走っている時に誰かの『特定の声』っていうのは聞こえないタイプです。でも「構えて」の声が出てからは発走の方に集中したいので、その後の声や音は多少気になります。
昔の話ですが、デビューして2か月くらいの広島のチャレンジ戦で前を取った時、忘れもしないです。3コーナーくらいで「前を取って勝てるわけないだろ!」みたいに言われたんですよ。そのレースで勝つことができて、その声に対して「見たか!」って思いましたね。当時は売り上げも今ほどじゃなく、お客さんも少なくて声が聞こえやすかったのもあると思います。今は特別競輪とか大勢のお客さんの中で走っているので、『特定の声』というのはわからないし、影響はないですね。
ーー松浦さんは競馬やボートレース、オートレースなども嗜み、実はギャンブラーという意外な顔があると知りました。騎手との交流もあるようですし、将来的に馬主になろうとかは思いますか?
「馬主になりたいな」っていう思いはありますね。でもまだちょっと早いかなって思っています。タイミングがいつになるかはわかりませんけど、いずれは!っていう気持ちはあります。
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松浦悠士
Matuura Yuji
広島県広島市出身。日本競輪学校第98期卒。2010年7月熊本競輪場でレースデビュー。2019年の競輪祭でGI初優勝を飾り、翌2020年のオールスター競輪では脇本雄太との死闘を制し優勝、自身2つ目のGIタイトルを獲得した。その翌年2021年には日本選手権競輪を“有言実行”で優勝。3つ目のGIタイトルを獲得し、グランドスラムへの意識を高めた。2023年はGI優勝こそなかったが、賞金順位でKEIRINグランプリの出場権利を獲得。広島カラーを象徴する3番車で挑んだ大一番は最終直線で渾身の差し切り勝ちを決め、見事グランプリ王者となった。チャンピオンとして臨んだ2024年は度重なる怪我に苛まれてS班の座を明け渡すことになったが、グランドスラムを目指す気持ちには一点の曇りなし。中国地区の大エースとしてさらなる飛躍を目論む。