2025/04/14 (月) 18:00
2024年度の玉野競輪最後の開催は、ミッドナイト競輪チャリロト杯でした。4月からの放送体制の変更により、チャリロトSSスタジオ@TOKYOでの玉野ミッドナイト競輪の放送もこの開催が最後。2021年空っぽのスタジオから、この日までのことを考えると感慨深いものがありましたが、小松島競輪のミッドナイト開催も含めて一緒に放送を作り上げてきたスタッフの皆さんとともに最後の放送もいつも通りお届けしました。
さて、この開催のA級1・2班戦で優勝したのは福岡の八谷誠賢選手でした。2場所連続の優勝。49歳でなお、自力で活躍する八谷選手の魅力たっぷりの3日間でした。
初日は特選競走で別線を4番手で並走させる巧みな先行を見せラインワンツー。2日目は番手のレースで競り込まれる流れに。何度も競り負けかけながらも、それでも踏み勝って2着で決勝進出を決めました。本人にとっては納得のいくレース内容ではなかったかもしれませんが、そのしぶとさ、がむしゃらさがたまらなく魅力的でした。
そして、決勝戦は動いて位置を確保し、そこから捲っての優勝。後輩を振り切って2場所連続の優勝です。
優勝インタビューでは日に日に体力は落ちていくが、レースは勝てるようにまた頑張ると語っていました。
私は自力選手が好きと公言していますが、その中で細分化すると徹底先行のルーキーよりも40オーバーのシブいおじさんレーサーの自力の方が好きです。40歳を超えてバック回数を10回近く持ち、何なら逃げの決まり手の方が多い選手なんて特にたまりません。
昔、元選手の方から、年齢を重ねても自力で走る選手は不器用な選手もいると聞いたこともあります。一概には言えないのは重々承知で、なるほどと腑に落ちたのを覚えています。
選手としての経験を積み、技術が磨かれていく一方で、加齢とともに落ちていく体力。そこをカバーし、勝つために後輩に前を任せて番手を回るレースが増えていくのも自然なことです。しかし、簡単に番手を回れるかと言ったら、そうではありません。追走の技術であったり、また自身のスタイル、考え方を変えていかなければならないはず。どうしてもしっくりこない、やっぱり悔いなくレースをするためにも自力がいい。そう思う選手もきっといるでしょう。
さまざまな思いから、年齢を重ねても自力で頑張るシブおじレーサーたち。肉体の衰えに抗いながら、次々と登場する若い選手とガチンコ勝負をしながら、茨の道を風を切って進む。そんながむしゃらでしぶといベテランの選手は、やっぱりたまらなくかっこよくて、いとおしいです。
八谷選手は4月末に50歳の誕生日を迎えます。50代で脚質が「逃」の選手は現在4名。「両」の選手で16名です。300名を越える50代レーサーの中での希少さがうかがえます。まだまだ、その自力で突き進む姿を応援したいです。
新年度になり、また新人選手たちがデビューしてくる時期になりますが、シブくてしぶとい、かっこいい「シブおじレーサー」たちの活躍も期待しています!
※写真はP-NAVI編集部が過去に別の開催で撮影したものです。
木三原さくら
2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。