2022/03/13 (日) 12:00 1
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は大垣競輪場で開催されている水都大垣杯の決勝レース展望です。
【水都大垣杯】はSS班の3人と、昨年の優秀新人選手賞を受賞した、地元の山口選手の走りに注目していました。
SS班の郡司選手と平原選手、そして山口選手は決勝に進んだものの、もう一人のSS班である守澤選手は、昨年の落車から調子が戻り切っていないのか、二次予選で敗退しています。
ただ、3日目の特選では守澤選手らしい力強い走りで、今年の初勝利をあげました。最終日の特秀でも連勝ができるようならば、ここから一気に調子を上げていけるのかもしれません。
決勝に進んだSS班の2人ですが、郡司選手の後ろは南関東ラインで岩本選手。平原選手の後ろは関東ラインの石川選手と、それぞれが2車となりました。
また、山口選手の後ろには兵庫の村田選手が付けて、ここも2車のライン。3車が決勝に進んできた北日本のラインは、飯野選手-菊地選手-大森選手の並びとなっています。
4分戦となったレースですが、自力型で先行しそうなのは郡司選手か、飯野選手のどちらかでしょう。スタートを取るのは車番的にも山口選手と見ています。その後には車番の若い順に北日本ライン、南関東ライン、関東ラインで流れてきそうです。
前受けをした山口選手は捲りを狙っているだけに、道中は脚を使いたくはないはずです。後方から平原選手が抑えてきた時には、後ろまで車を下げると思います。それを見た郡司選手が先行体制に入った時の、飯野選手の出方がこの決勝の勝敗を左右します。
飯野選手は後ろにいる自力型の選手、特に郡司選手に先に仕掛けられたのなら、捲れないのは分かっているはずです。となれば、3車のラインを優位性を生かして先行すると思います。
それは郡司選手にとっては、願っても無い展開となってきます。準決勝でも後ろにいた、佐々木選手が動き出す前に自分から仕掛けて、そのまま押し切ってしまったあたりには、強さだけでなく、上手さも感じられました。
飯野選手が先行したのなら、郡司選手は北日本ラインの4番手に付けられます。そこから捲っていける脚があるのは、これまでのレース内容にも証明されています。この展開となれば、岩本選手とラインでのワンツーを決められる可能性は高いと言えるでしょう。
ただ、平原選手が北日本ラインを抑え込んだ時には、2車と言えども郡司選手は先行していくはずです。その時に南関東ラインの後ろに入れる平原選手に、逆転の目が出てきます。
後方にいる山口選手ですが、前のラインが短くなればなるほど、捲っていくには有利となってきます。ただ、準決勝でようやく勝利をあげたレース内容からしても、いい頃にはまだ戻り切っていない印象を受けました。
それでも、若手の選手はレースを走るたびに調子を戻してくる傾向があります。山口選手も特選より二次予選、そして準決勝とレース内容が良くなっていますし、その準決勝よりも更にいいレースを、この決勝で見せてくれるのかもしれません。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。